物語のあらすじ
12年前、主人公の中村慶介(亀梨和也)は、ワイドショー「ザ・プレミアワイド」の情報操作によって、女児殺害事件の犯人扱いされた母親を失ってしまう。時を経て慶介は、幼なじみの野田大地(高木雄也)と共に、番組関係者に復讐を企てる。
![林遣都凄い「FINALCUT」3話、亀梨和也が高校生時代を演じない理由がトリックであって欲しい](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewmov%252F2018%252FE1517239210568_905f_1.jpg,quality=70,type=jpg)
林遣都のための1時間
過去2話のターゲット、プロデューサー井出(杉本哲太)とディレクター真崎(水野美紀)は、悪の自覚があった。数字のため仕事のために偏向報道もいとわず、覚悟を決めて人を傷つけていた。賛同者は少なそうだが、おそらく多少の美学を持っていたはずだ。
しかし、今回のターゲットであるディレクター小池(林遣都)は違った。12年前の事件のときも、状況に飲み込まれて何もわからずに偏向報道に加担していた。2人のように人を傷つけることに躊躇いがあるからか、突撃系の取材から遠ざかり、暇ネタコーナーばかり担当していた。
だが、自分の仕事が認めてもらえないことからいつも不満げだ。
そんな小池は、今話で一念発起して突撃系取材を敢行する。世間を賑わすビッグニュースを提供することになるが、それがまさかの誤報。結局、何をやっても上手くいかない自分に嫌気がさし、いつも通りネットの神になる。
この欲求不満でヘタレな役柄、林遣都が異常に似合う。椅子に浅く座り、背もたれに思いっきり体重をあずける。大きいのに力のない目つきは、ひと目で現状に不満を抱えていることを教えてくれる。
いつもダルそうにして、「本気出してないんす」という空気を醸し出しているくせに、動揺したときはギョロッギョロに眼が泳ぎ、関節が少なくなったようにぎこちなく動いて、人としての底の浅さを露呈する。
すっごいダメそう。
高校生役を細田佳央太が演じる意味
そういう意味では楽しめたのだが、ちょっとモヤモヤが残る。なんだか主人公の慶介の影薄い。もちろん復讐のために一生懸命動いているし、若葉(橋本環奈)と雪子(栗山千明)とラブコメして情報収集をするなど、出番自体はあるのだが、なんか復讐感が足りない気がする。
これは僕の想像力の無さの問題かもしれないが、慶介の回想シーンを別の役者(細田佳央太)が演じているからではないだろうか?
慶介は現在30歳。
これで細田佳央太のシーンが少なかったら気にならなかったのかもしれないが、毎話毎話、亀梨和也バリに出番があるのも違和感を強くしている。細田佳央太が頑張れば頑張るほど、亀梨和也とリンクしづらくなるのだ。さらに他の役者、例えば林遣都が12年前と顔が同じなこともこの現象に拍車を掛けている。
ではなぜ、12年前の慶介を亀梨和也が演じないのか? 普通に考えれば、高校生役を演じる年齢ではないからだろう。だが、それでも別の人間が演じるよりは違和感は少ない気がする。明確には言えないが、慶介を2人で演じているのは、物語的に何か理由があるのだと思う。というか、無いならもっとモヤモヤしてしまう。
(沢野奈津夫)