即興のラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』、テレビ朝日で毎週火曜日深夜放送。
さらに、Abemaフリースタイルダンジョンで、最新回が無料で観れる!
4th season Rec 6-1 Rec6。

ナレーションは、サイプレス上野さん。
苦心と絶妙な編集で構成。

チャレンジャーが5人のモンスターを倒せば賞金100万円獲得の即興のラップバトル。
即興で、韻を踏みながら、言葉とリズムを相手にぶつける8小節2ターンの勝負だ。
3本勝負、2本先取で勝利。
ただし、判定が全員一致するとクリティカルとなり即勝利確定である。

「フリースタイルダンジョン」ミソジニーシーンと対峙する椿&呂布カルマ。モンスタールームに女いない理由
フリースタイルイラスト/まつもとりえこ

ファーストバトル。
チャレンジャーは、高校生RAP選手権第12回大会優勝の17歳、語るCore-Boy
煽りVで「(自分の出現で)新しい波ができる」と語る(それどころじゃない事件で勝手に新しい波が来てるのだが!)。

対するモンスターは、六本木ドンキの水槽に大歓喜の裂固
(リンク→「Sight of the Moment/裂固 」

ツイッターに「プロジェクトが進行中」とたびたび書いてることをディスって、
「ラッパーは動き続けるもんだろ」
と放つ裂固に対して、
Core-Boyが、
「常に動き続ける俺は水面下でずっと動いてんだ」
と返す。
さらに
「プロジェクトが進行中 お前レベルの下位層のラッパーには伝わんねぇ
ジブさんや【コンプラ】レベルは良く知ってるよ」

と続ける。

「ジブさんや【コンプラ】」のコンプラって、もしかして「UZIさん」だろうか。
UZIさんがコンプラなんて(泣)。

Core-Boyは、ディスひとつひとつを拾い上げて、しっかりとアンサーしていく。
裂固は、「マセガキ」「ダメ出し」「揚げ足」「架け橋」
ガンガンに脚韻を踏みながらも、流れるような文意文脈。
クリティカルで裂固の勝利だ。

続くバトル。

チャレンジャーは、フィメールラッパー椿
(リンク→1st ALBUM「美咲紫」
3rd Season Rec5に登場回について、「めっちゃめっちゃ怒ってます」と激おこ。
「ミソジニー(女性蔑視)発言、ばんばん出てるのに、会場が沸いてるっていう」
ディスり合うというスタイルで、あらゆる属性を利用して戦ってる場に、女性として立つ。
そこで、一番わかりやすい「女性」をディスられる。
そのシーンを変えていくと宣言する。
カッコいい!

ところが、椿さん、「クソ加齢臭」とディスる。

「加齢臭」というのは、中年以降の男性にみられる独自の体臭を指す言葉で、化粧品会社が広めた造語だ。
中年の男が自然に発する臭いを、レッテル貼ってディスるような言葉を使ってしまうミサンドリー(男性蔑視)。
人間は2色ではない。
男だの女だの中年だの、わかりやすいレッテル貼り。
「加齢臭」に対して、呂布さんは、
「俺 お前みたいにメンスのにおいしねぇけど勘違いすんな」
と、ジェンダー的にはひどい返し。
その後、
「君が男だろうが女だろうが俺は胸を痛めつつぶっ叩くだけだ」
と宣言する。

相手が言ったのと同じ範囲で反転して返すスタイルで、
最後に
「無理した言葉 ボロが剥がれるぜ」
とシメる。
攻めあぐねてる感じもあったが、
ROUND1は、4対1で、モンスター呂布カルマ勝利。

「(モンスタールーム)そこに女がいない理由は?」という呂布カルマの問いかけに、椿が返す。
「OKかわいい担当は崇勲がいるからだろだから女がいねぇんだ
セクシーはLilyに任せとけかわいいは崇勲に任せとけ」

女がいる理由は、「かわいい」と「セクシー」なの?
煽りVで、せっかく「華が欲しいだけなら、ほか行きな」って言ってたのに。
モンスタールームに女がいない理由は、HIPHOPシーンが男が優先される歴史であり仕組みであり構造だからだろう。
ROUND2、3対2でチャレンジャー椿の勝利。


最終ROUNDの椿。
「下とかじゃない上とかじゃない見せつけるジェンダーレス
大事なのは変化です
不可能と言われた青い薔薇だってできたように私はやってやる」

突き刺さる言葉だ。
シーンを変えていこうとする決意宣言。

最終的に、呂布カルマが勝利する。
力量的に勝っていたが、いつもの圧倒的な自信をひっさげての勝利ではなく、
何かひっかかって、いつもの戦い方じゃなく、どうすればいいのか戦いあぐねていた感じもした。
呂布カルマが「お前ら女のくせに情けねぇな」と言い放ったとき、椿の口を真一文字に結んだ顔がアップになった。
椿さんのような人たちがもがきあがくことで、シーンは大きく変化していくだろう。(テキスト/米光一成 イラスト/まつもとりえこ