そんな知られざるバトン強豪国・日本で、97年、98年と団体2連覇に貢献。
その情熱と実力が見込まれて、バトン未開の地・ブラジルに招へいされ、現地で代表監督を歴任。4年間バトンの振興に努め、世界大会に出られるレベルまで引き上げた男がいる。

簾田武志さん。2歳から始めたバトン歴は38年。現在はバトン教室「さくらバトンクラブ」を自ら率い、都内や九州全域などでも開設。約50名の生徒を抱えている。目標は年内100名だ。
世界一の男にムチャなお願い
バトントワリング。一本の棒をたただひたすら優雅に美しく回すどこまでもシンプルな競技。
すると、「バトンのためなら、なんでもやります」と、チョー快諾の返事。そこで早速、その日指導している合間に外に出てもらい、いろんなものを回してもらうことに。
この日用意したのは左から、フランスパン、ごぼう、金属バット、プラスチックのバット、芽ねぎ、カムシウムたっぷりのフィッシュソーセージ、のどごし抜群の本生水ようかん、リコーダー、長ネギ、突っ張り棒。

いやはや、こんな景色もへったくれもないところですみません。
だが、簾田さんはこれらを見るなりハイテンション!「いいですね!いいですね!」と、声をあげ、うずうずしている。
――どうですか回せそうですか?
「傘や杖、ほうき等、長いものなら何でも回してきましたけど、これらは全部初めてですね。でもワクワクしますね」
フランスパンをバトンに
まずは簾田さんが手にしたのはフランスパンだ。「このフランスパンも、まさか回される日が来るとは……」と言いながら、回す。

そして華麗に投げ上げる。

だがフランスパン、投げ上げることはできるのだが、なかなか難儀なよう。
簾田さん「自分に適したバトンを考える時、そのポイントになるのは、自分の腕の長さです。この長さと同じぐらいの物であれば大抵は回せます。
続いてはリコーダー。ちょうど口のあたりに来た1枚。横笛みたいになってる。

続いてソーセージ。


そんなソーセージ、やはり短いのと、弾力がありすぎることが手になじまないようだ。
続いては長ネギ。

最初は良かったが、投げ上げたりしているうちにしおれてしまった。
やはり棒にはある程度の強度が必要なようだ。
続いて芽ネギ。これは、すでにフニャフニャで、すぐ真ん中から、へなってしまった。

続いても食べ物、ごぼう。

今度は名店のようかん。

やはり長さがネックのようだ。
ある程度の長さは必要らしい。
突っ張り棒は上手く回るのか
突っ張り棒。見た目は一瞬バトンのようだが…

意外とうまくいったのがバット。

プラスチック製のおもちゃのバットも好感触だったが、軟式用バットは、適度な重さが良いらしい。

と、いろいろと回してもらった結果、世界一のバトントワラーが回しやすいと判断したのは、回しやすいものから、本当のバトン、軟式バット、突っ張り棒、長ネギ、おもちゃのバット、ロングソーセージ、リコーダー、フランスパン、ごぼう、ようかん、そして芽ねぎの順でした。

こんな厄介なことを引き受けてくださった簾田さんはこう語る。
簾田さん「バトンは1本の棒を使いながら、音楽のリズムに合わせ、身体の柔軟性、体操技、芸術性を競うスポーツと文化が融合する新しい競技です。そして何より、手先の『指』を使うことによる脳の活性化など、他の競技には無い特殊性のある芸術スポーツが魅力です」
大人も子ども、そしてお年寄りも、簡単にそして安全に、そして健康にできるバトン。ぜひあなたもやってみてはいかがだろうか。
