『相棒season17』(テレビ朝日系、水曜午後9時)(公式)の第6話「ブラックパールの女」。平均視聴率は16.4%。
脚本・山本むつみ。監督・権野元。

相棒 season16 上 (朝日文庫)
遠峰小夜子とレクター博士
西田尚美演じる遠峰小夜子は、連続殺人事件で塀の中にいる。
詐欺は認めているが、殺人は否認。
塀の中から、特命係の杉下右京と冠城亘を使って事件を解決するというキャラクターなのだ。
ハンニバル・レクター博士か!
ハンニバル・レクターは、トマス・ハリスの『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『ハンニバル・ライジング』に登場するキャラクター。
なんといっても、アンソニー・ホプキンスがレクターを演じた映画『羊たちの沈黙』で知名度をあげた。
レクター博士は、優秀な精神科医。
塀の中にいながら、新人FBI捜査官クラリス(ジョディ・フォスター)を翻弄し、主導権を握り、事件を解明するのだ。
挿核手術っていわれても
遠峰小夜子は、まさに相棒版ハンニバル・レクター。
「弁護士は利害のためにしか動かないでしょ。わたし真実を追求する人と話しがしたかったんです。記事がいかにデタラメか分かってほしくて」
と語りニヤリと笑う遠峰小夜子。
真実の追求は、記事のデタラメさだけではない。
警察が事件性がないとみていた溺死事件の真実を追求するのが裏の目的だったのだ。
平成の毒婦・遠峰小夜子が黒真珠詐欺をする回想シーンで出てくる。これが、すごい。
「真珠は取れるんじゃなくて生まれるんです」
と言いながら、四つん這いで男の横に移動。
「美しい真珠を育ませるあめに」
手をとり、男の手を開く。
「貝にメスで切り込みを入れて」
男の手のひらに指を置き、すーっと動かす。
「挿核手術っていうですけど」
ぎゅっと手を握りしめさせて
「核を仕込みます」
指二本、握った手に挿入する。
そして、手を開くと、黒真珠がそこにある。
これは、騙される男がいるよなー。怖いなー。
しかも、彼女は相貌認識能力が高く、一度見た顔は忘れない。
初対面と思わせて、話をピッタリとあわせてくる。
天才的詐欺師だ。
『相棒season16』の第9話「目撃しない女」では、人の顔が覚えられない相貌失認が扱われていた。
この話も、脚本は山本むつみだ。
モンスターにはモンスターを
毒婦・遠峰小夜子の言葉をきっかけに捜査を進める右京と冠城。
冠城亘「魔性の女が美女に限るなんて経験値が低いヤツの言うことです」
青木敏夫「あなたのようにストライクゾーンが広ければぼくの経験値もあがるんですけどね」
などと能天気な会話をしている間も、冠城さんは毒婦の手玉に乗っていたわけである。
連城の「モンスターにはモンスターをと考えましたがね」というセリフ。
「いつもあなたの思惑どおりに行くとは限りませんよ」右京さんの宣戦布告。
「あの2人、使える」遠峰小夜子の独り言。
さらに、「彼女にはうかつに近づかないように。彼女は危険です」「なに言ってるんですか。俺は会うことはありませんよ」「そうだといいのですかねぇ」右京と冠城の会話は、ダチョウ倶楽部さんの「押すな押すな」だ。
いずれ遠峰小夜子が再登場して、冠城さんがもっとたぶらかされて、右京さんとの全面対決の時がくるのだろう。
次回、「特命係の亀」がTwitterのトレンドになった第7話「うさぎとかめ」(2018年11月28日水曜日よる9時から)。
ゲストは、山中崇、関幸治、松田賢二と亀。
期待。(米光一成)
『相棒season17』第6話「ブラックパールの女」(2018年11月21日水曜日よる9時から):水曜日午後9時/朝日テレビ系
エグゼクティブ・プロデューサー:桑田潔(テレビ朝日)
チーフプロデューサー:佐藤凉一(テレビ朝日)
プロデューサー:高野渉(テレビ朝日)・西平敦郎(東映)・土田真通(東映)
脚本:山本むつみ
監督:権野元
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日/東映
出演
杉下右京(水谷豊)特命係警部
冠城亘(反町隆史)特命係巡査
遠峰小夜子(西田尚美) ブラックパールの女
連城建彦(松尾諭) 弁護士
角田六郎(山西惇)組織犯罪対策部第五課課長
青木年男(浅利陽介)特命係巡査部長
伊丹憲一(川原和久)捜査第一課刑事
芹沢慶二(山中崇史)捜査第一課刑事
月本幸子(鈴木杏樹)花の里の女将
谷岡邦夫役で谷藤太 バイオ工学の第一人者
谷岡麻子役で宮田早苗 邦夫の妻
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