第10週「私は武士の娘の娘です」 第56回 12月4日(火)放送より
脚本:福田 靖 
演出:保坂慶太
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」56話。執拗な取り調べに疲れ朦朧としている萬平さんの演技が細かい長谷川博己
イラストと文/木俣冬

55話のあらすじ


萬平(長谷川博己)たち以下従業員が全員逮捕され、途方に暮れる福子(安藤サクラ)だったが、克子(松下奈緒)と忠彦(要潤)が手伝いに来てくれて、ダネイホンと塩作りを続ける。
やがて、萬平に倉庫を借した世良(桐谷健太)の元にまで進駐軍が現れ、彼を連行していく。

克子と忠彦が来た。


知らせを受けて、大阪市内から克子と忠彦がとんでくる。留守はタカ(岸井ゆきの)ら子供たちに任せて。
夜、未成年4人を置いて留守にしちゃって大丈夫なのかと心配になるが、電話を貸してくれる近所の乾物屋さんをはじめとして、この時代はきっとご近所さんづきあいが厚かったのだろう。

福子も鈴(松坂慶子)も克子も混乱するばかりであったが、こういうときやっぱり男が頼りになるって感じで、
忠彦が冷静に状況判断する。
進駐軍が日本に残っている武器弾薬を徹底回収している。21年5月、マッカーサー暗殺未遂事件があったため捜査と取り調べが厳しくなっているので、最悪、軍事裁判にかかって死刑かも……と言う忠彦の話を聞き、「源をお父さんのいない子にするつもり〜」と嘆く鈴。お父さんがいないだけでなく罪人の子になってしまう。

残された福子たちがやれることは会社を守ることだと、塩とダネイホンの生産を女3人、男1人でやることに。
男15(プラス萬平)でやっていたことをこの人数でやるのは到底ムリと思うが、できないことをやっているからこそ悲痛さが伝わってくる。
それにしてもダネイホンの製作状況が、たくさん病院に卸すことになったわりにあまりに家庭内手工業感覚に溢れていて笑えた。どうやって調達しているのかスモモもしっかり使用して、家庭用のすり鉢とすりこぎですり潰していたし……。

取り調べ


執拗な取り調べを受けてる萬平さん、こういうとこ、演技のしどころとばかり寝かせてもらってなくて朦朧としている感じを出す長谷川博己。
萬平さんはいい人。
倉庫を借りた人を言えと言われても口をつぐむ。世良にあんなにネコババされても彼を友人と思っているのか。

真一(大谷亮平)は取り調べでお酒をすすめられる。酔わせて本当のことを言わせる手口なのだろうか。
真一は、真面目に自分の思いを語るが、進駐軍は信じない。

取り調べとは、都合のいいことを言わせる脅しのようなものと思う場面の連続であった。

岡崎体育も妙にかっこいい


手榴弾で魚をとったのは悪いことだが、そこまで追い詰めたのは会社が強いてきた重労働ではないか、など、ああだこうだと従業員15人が感情を吐露する場面。
55話ではしっかり顔写真と名前が出て、高瀬アナも「妙に、妙に、かっこよかったんですけど あれなんでなんですかね」と感心していたが(「好み」らしい)、56話の会話シーンはいやに薄暗くて顔がよくわからず残念ではあるものの、明るい灯りの下では雰囲気も出ないので仕方ない。

そこにチャーリー(岡崎体育)が来て、またしても、明らかに日本顔で大坂弁をしゃべってるのになぜアメリカ側についているのかと従業員たちが因縁をつけると「日本が嫌い」「金髪の白人に生まれたかった」「今度騒いだら懲罰房に入れるぞ」と英語で吐き捨てる。
日本人じゃないことを強調するため英語を使うチャーリー。
日本が嫌いだという気持ちや、おまえらには英語がわからないだろうという侮蔑にも感じる(でも大阪帝大出の神部が聞き取ってしまう)が、理由はどうあれ、岡崎体育の英語がやたらうまいのと、シリアス演技もイケる人なんだなということがわかった。浜野謙太といい、星野源といい、ミュージシャンは芝居がうまい人が多い。

神部が「懲罰房」の部分を語らなかったのは、そこは聞き取れなかったのか、それを言うとみんなが動揺するから自主規制したのか。
どっちだろう。
いろいろ気持ちを想像させる場面だった。

世良まで……


たちばな塩業の従業員が一斉逮捕されたことが新聞に載り、世良も三田村(橋爪功)も事件を知る。
世良が福子に電話で事情を訊いていると、進駐軍がやって来て、連行されてしまう。
萬平さんの決死の黙秘も役に立たなかった……。
どうなる、たちばな塩業。
福子、「私は武士の娘の娘です」とそろそろ立ち上がれ。

カツオ・セラって英語読みされると何人だ? と思う世良勝夫。セラが「ケ セラセラ」みたいで。そう思うと、この人の生き方と名前はとても合っている。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
明美がたけちゃんに美味しいものをごちそうしてもらう想像する場面がすてき。
56話

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
「あさが来た」名作回のひとつ・お姫様抱っこの17話、一方、はつは姑に蔵に閉じ込められる18話
17話
18話
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