第12週「絶対何とかなるから!」 第70回 12月20日(木)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」70話、萬平と重労働しているイッセー尾形も占い師だ
イラストと文/木俣冬

70話のあらすじ


追徴課税10万円の不当な請求に対抗する策として、弁護士・東太一(菅田将暉)は会社を解散することを提案する。

罰金が7万で税金が10万


「おはよう日本 関東版」の高瀬耕造アナは、谷村美代子(藤本泉)と福子の涙を「美しかった」と賞賛していた。
70話も福子が涙。
7万円払ったと思ったらまた10万円が請求された。

「罰金が7万で税金が10万ということでしょう」と電話で福子と話す東。
また出た、何か言っているようで何も言ってない、それもう聞いたよっていうダネイホン師匠の名調子。
聞きそびれた人に気遣っているのだろう。老若男女、朝の支度しながら見てる人も、じっくり見てる人も、まだ目が覚めやらない人も、等しく見て楽しむ。それが朝ドラ。
だから、後半、福子が海で源ちゃんを背負って、泉大津の日々を回想して泣いていた。

泉大津のできごと、もう何度、回想で見たことだろう。
しかも、サブタイトルも第7週が「わたしがなんとかします!」だった。「なんとか」が2回もサブタイトルに。

もっとも、「おはよう日本」や朝ドラや「あさイチ」を見て、そこで起こった出来事や会話をすぐに、ツイッターやブログやネットニュースに書き込んでいるのも同じこと。みんな、反芻が大好きなのだ。
そう、朝ドラの魅力は「反芻」(何度も繰り返し楽しむこと)である。


東の妹がダネイホンで


会社を解散することで東京財務局電話(電話かけてきた人の声は菅原大吉)の追及を逃れ、逆に現金が手に入り、それで新しいことができる、という提案に「簡単に言うな!」「他人事だと思っているんでしょ」と激怒する萬平に「思ってません!」とついに声を荒げた東。
東がなぜこんなに萬平のためにお金にならない弁護をしているかというと、栄養失調になった妊婦の妹がダネイホンで救われたからだった。妊婦で栄養失調、福子と境遇が似ている。
一回、大きな声を出した東であるが、すぐまた弁護士としての冷静さを取り戻す。
精密演技四天王のひとりと私が思っている菅田将暉、精密度が群を抜いている。

また、大器晩成


「(会社がなくなっても)なんとかなる」と励ます剛田一隆(イッセー尾形)。
なぜ彼が萬平の会社がなくなることを知っているのかというと、占い師で、顔相を診ることができるのだとか。
69話、鈴が占いに行ったことと合わせて、唐突な占い師の大判振舞。

確かに69話で、「あんたふだんは腹を立てたことがないんだろう。うんそういうのに限って一度火がついたらもう歯止めがなくなるんだよ」と思えば、占い師が言いそうなことを言っていたっけ。
で、剛田さんも萬平を「大器晩成」と占う。
何で捕まったか萬平に聞かれてもっともらしいことを話していたが、ほんとは詐欺師なんじゃないかと疑ってしまった。

さて。
「幽霊」を登場人物の潜在意識として描いたダネイホン師匠(手軽に栄養がとれてひとの役に立つすごく売れてる商品のことですよ)は、今度は「占い」を使ってドラマにおけるネタバレ(未来がわかっている)を正当化してみせた。
すばらしい。どういうことかというと、朝ドラの一代記は先が見えているので安心して見られると同時に、先が見えているため退屈になってしまったりあれ(まんぷくの場合、インスタントラーメン)はまだかとじりじりしてしまったりするのだが、物語の中に、登場人物の未来は「大器晩成」でいいことがあるというエピソードを加えることで、安心と楽しみが同時に得られるという仕組みである。
「幽霊」「占い」という非科学的なことをうまいこと生かしたダネイホン師匠は、寸劇による人生のダイジェストを最終回にもってきた「わろてんか」のダイジェスト師匠こと吉田智子先生と並んで、ええ仕事しているといえるだろう。じつにすばらしい(本気で褒めています)。
(イラストと文/木俣冬)

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
「うわ〜」ってなるもの クリスマス間近
69話

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
新次郎があさのほっぺや頭に触れまくり
41話
42話