
江戸川乱歩の大ベストセラー『少年探偵団』シリーズを原案とした、新感覚学園ミステリー、映画『超・少年探偵団NEO ‐Beginning‐』が10月25日より全国公開される。
怪人二十面相と対峙する、初代小林少年のひ孫・小林芳狼を高杉真宙が演じ、世代を超えて愛される『少年探偵団』シリーズを現代に蘇らせる。

エキサイトニュースでは、芳狼の親友で、常に芳狼のことを気にかけているワタリ役の佐野岳と、学校で起こる怪事件を芳狼らと共に追うミステリー同好会のメンバー、夢野正太郎役の板垣瑞生にインタビュー。劇中ではワタリが高校3年生、正太郎が高校1年生という設定だが、実際には年の差8歳の二人。その差を感じるかと思っていたが、取材中は和気あいあい、むしろこちらが止めないといつまでも二人で話してしまう仲良しぶり。そんな中で、それぞれに演じた役への想いや、現場でのとっておきエピソードなどを話してくれた。
空き時間に二人きりでカフェへ 思い出の写真もいっぱい


――今回はお二人ともオーディションからの参加とお聞きしました。
佐野岳(以下、佐野):オーディションは紙一枚にセリフが書いてありました。キャラクターごとにはなっていましたが、僕らはどの役を受けているかはわからなかったです。ですが、絶対にとってやると思って臨みました。
板垣瑞生(以下、板垣):(他の人には)負けたくない、って(笑)。
佐野:自分なら(演じた)ワタリか、(長村航希が演じた)クロサキかなとは思っていました。
板垣:僕は全部の役に受かろうと思ってました(笑)。
佐野:でも本当にそんな感覚です。
――そのときの様子を監督がコメントされていて、佐野さんは“一人だけ身にまとっているオーラが違った”と。
佐野:負けたくないっていう気持ちが大きかったから、監督がそんな風に受け取ってくださったのかもしれません。


――板垣さんのへの感想は、“背が高くてイケメンなのに話をしてみたら中身は小学生のよう”って。
佐野:それ、ぴったり(笑)。
板垣:えっ? めっちゃちゃんとしてるんですけど(笑)。最近、「中身おじさんだよね」って言われること多いですし。
佐野:確かに年齢より大人な部分はあるけど、人との距離の詰め方とかは独特で。天真爛漫だし、(板垣を)嫌いになる人はいないだろうなって思います。
板垣:(喜んで)うわ~! 聞きました、今!
佐野:交代(笑)。
板垣:はい(笑)。岳くんは優しくて、二人でカフェに行くことがあったんですけど。
佐野:そうそう。
板垣:現場に着いたら朝から夜まで時間が空くってわかって。でも、僕から「ご飯、行きましょう」とかって言えないじゃないですか。やっぱり年下だし。そしたら岳くんの方から「カフェ行かない?」って声をかけてくれたんです、カメラを持って。
佐野:俺、いまだに瑞生の写真持ってるよ。
板垣:ホントですか?
佐野:フィルムカメラにハマってて。
板垣:僕も最近やってます。
佐野:マジで? 今度一緒に撮りに行こうよ。
板垣:行きましょう!
(佐野がスマホを出して、そのときの写真を見せてくれる)
板垣:レモネード飲んでるやつだ(笑)。懐かしい~。
佐野:散歩してたらメダカをたくさん飼ってる家があって、そこのおじさんと仲良くなったりもした。
板垣:うわっ! 思い出した。
(ひとしきり、そのときの状況を語り合う二人)
――そろそろ(笑)。
板垣:あっ、はい(笑)。だから、こんなに年の差(8歳)もあるのに、いい意味でそれを一切感じさせないように接してくださって。それはホントに助けられました。今回の現場は年上の方々がみんな優しかったから、お芝居でも好き勝手やらせてもらえて。岳くんはすぐに笑うんですよ(笑)。
佐野:本当に面白くて。瑞生がツボに入っちゃって(笑)。


――スクリーンを通しても、板垣さんがいきいきとオタクキャラを演じているのが伝わってきました(笑)。
板垣:いきいきやらせて頂きました(笑)。(佐野と)二人のシーンで、芳狼を心配するみたいなところも、小道具で飲み物があったんで、それをずっとズルズル音を立てながら飲んでみたり。
佐野:俺、途中で笑っちゃって。
――それはご自身で考えてやっていたんですか?
板垣:そういうのはやりまくってました(笑)。そもそも科学が好きなのに、幽霊を信じているみたいなキャラクターで、本気で幽霊を捕まえてやろうとか、ちょっと面白い設定の人だったので。セリフ通りのボケとツッコミをする以上のことをしてました。それに、カットが全然かからない現場で。
佐野:確かに(笑)。



――エンドロールに出てくるシーンはそのときのものですか?
板垣:そうです。あれ、全部アドリブなんですよ。岳くんがツッコミキャラでもないのにツッコミを入れてくれて。
佐野:役的に僕がツッコミを入れないと終わらない感じだったから(笑)。
板垣:カットがかかるまで、とにかくボケ続けてました(笑)。
佐野:今回、撮影に入る前にみんなで人狼ゲームをやったりする時間があったんです。
板垣:僕だけそれに行けなくて。
佐野:嘘だ(笑)。でもそういうことを事前にしていたこともあって、セリフがなくても続けるってことができたんだと思います。
板垣:ホントにすごい仲良かったですよね。
佐野:本当に学校にいるみたいな感じでした。
高杉真宙の佇まいに「俺ももっと頑張ろう」(佐野)


――佐野さんはワタリを演じる上で意識していたことはありますか?
佐野:芳狼との関係性をきちんと見せるというのは意識しながらやってました。ワタリは芳狼を守り過ぎちゃうところがあって、そこでちゃんとキャラを立たせないと、物語として転がっていかないとも思いました。
――アクションシーンもありましたよね。
板垣:あそこは本当にカッコ良かった。
佐野:物語の展開として、ワタリってこんなに動ける人だったんだって、ちょっとびっくりするかもしれないですが(笑)、アクションシーンをやれたのは嬉しかったですし、一つの見どころにはなったと思います。
――板垣さんが印象に残っているシーンは?
板垣:電人コンテストとは? みたいな説明するシーンがあって。実はあそこ、何ページもある超長セリフだったんですけど、完成作ではだいぶカットされてて。
佐野:必死に覚えてたのにね(笑)。
板垣:DVD化するときには収録されたらいいなって思ってます(笑)。



――主演の高杉さんについてのお話をお聞きしたいのですが、佐野さんは『仮面ライダー鎧武/ガイム』(13年~14年)以来の共演でしたよね。
佐野:数年ぶりの共演だったので、成長した姿を見せたいと僕も思っていましたし、向こうも思っていたと思います。その中で、顔つきもそうですし、現場の居方や、立ち居振る舞いも大人になっていたのが印象的でした。一貫して役に向き合う姿勢や、常に葛藤を抱きながらシーンに臨むところとかはいい意味で変わっていなかったです。そこに刺激を受けて、俺ももっと頑張ろうっていう気持ちになりました。主演としても、高杉くんのやり方で引っ張っていこうとしているのを感じたので、そこは少しでも手伝ってあげられたらなと思いました。
板垣:僕も以前、お仕事で一緒で、それ以来、久々にお会いしたんですけど、すごく優しい方っていう印象で。あんまり自分からよく話す印象はないんですけど、「そうだよね」って話を聞いてくださって。あと、真宙くんってわりとクールなイメージがあると思うんですけど、すごく熱い人で。それは共演して感じることですね。


――先ほど、皆さんとても仲が良かったというお話でしたが、お二人はポジション的にはどんな役割でしたか?
佐野:瑞生はムードメーカーって感じでした。変なことをして、笑いが起きる(笑)。
板垣:岳くんはお父さんみたいな感じでした(笑)。(出演者が)10代が多かったこともあって、温かく見守ってくれてて。
佐野:そうだったね。僕、この作品まであまり年下の人たちと一緒にやる機会がなくて。だから、自分の中で年下の人たちとの現場をどうしたらいいのか、って、初めて考えた作品になりました。上の人たちに頼るだけではだめだと思うきっかけになった作品です。
完成作の鑑賞中は「ずっと笑ってました」(板垣)


――今作が学園ミステリーってことで、お二人の学生時代のお話も少しお聞きしたいのですが。
板垣:岳くんの聞きたいです!
佐野:俺、マジで普通だよ。
板垣:どんな子だったんですか?
佐野:運動ばっかやってた。高校時代はサッカー部だったし。
――今回、お二人とも思い余って友人を殴ってしまう、というシーンを演じられていましたが、学生時代を振り返って、ちょっとやってしまったな、とか、今ならこうするのに、みたいなエピソードはありますか?
板垣:高校の卒業式にパンダの着ぐるみを着て行って。それはやんなくても良かったなって(笑)。
佐野:それ、なんで?(笑) ちょっと目立ってやろう、みたいな?
板垣:自由な校風の学校で、制服もなくて。それで、最後だし、みんなでやろうぜ!みたいな感じになって。だから、他にも着ぐるみを着た人とかもいたんですけど、うちのクラスだけだったから。ウケるよりも、ざわざわが勝ってました(笑)。やっちゃった~みたいな。まあ、それも含めていい思い出にはなりましたけどね(笑)。
佐野:僕はサッカーばっかりだったので、もっと芸術に触れておけば良かったなって思います。演劇部とかもあったので、もう少しそういうことに目を向けていたら、今の表現が違っていたのかなと思います。あとは語学もやっておけば良かったです。

――では最後に、お二人が出来上がった作品を観ての感想を教えてもらえますか?
板垣:(試写を)長村くんと隣同士で座って観たんですけど、ずっと笑ってました。
佐野:僕は二人のちょっと後ろから観てたんですけど、前の方でゲラゲラ笑ってて。
板垣:自分たちで面白いことをしたのを、自分たちで笑うっていう(笑)。主観で観てしまってるからなんですけど、「これ、やったやった」みたいな。思い出しながら笑っちゃいました。
佐野:撮ってたのは2年前だから懐かしさもありました。
板垣:「こんなことしてたな」「何やってるんだろう」みたいな(笑)。
佐野:アニメーションや、音楽、怪人二十面相の声など、撮影していたときはなかったところが、想像の何倍も超えてました。
――怪人二十面相の声は、声優の神谷浩史さんがやられているんですよね。数々の名キャラクターの声を演じられている方で。
佐野:神谷さんとご一緒できたのは嬉しかったです。
板垣:あんな素敵な声になるとは思ってなかったです。
佐野:そういうことも含めて、「あれがこんな風になるんだ!」っていうところが興味深かったです。完成作はより面白くなっていたので、ぜひ、たくさんの方に観ていただきたいです。
作品情報

映画『超・少年探偵団NEO ‐Beginning‐』
10月25日(金)全国順次ロードショー
出演:高杉真宙/佐野 岳、堀田真由/長村航希、板垣瑞生、前田旺志郎/神谷浩史(声の出演)/佐藤二朗/丸山智己
原案:江戸川乱歩『少年探偵団』シリーズ
監督:芦塚慎太郎
脚本:赤尾でこ 芦塚慎太郎
音楽:丸山漠 (a crowd of rebellion)
主題歌:a crowd of rebellion「Calling」(Warner Music Japan Inc.)
(c)2019 PROJECT SBD-NEO
公式サイト:https://sbd-neo.com/
ストーリー
初代小林少年のひ孫・小林芳狼(高杉真宙)は、親友のワタリ(佐野岳)、そして幼馴染にして明智小五郎のひ孫である明智小夜(堀田真由)とともに、ごく平凡な高校生活を送っていた。そんなある日、芳狼の前に10年ぶりに怪人二十面相が姿を現す。二十面相は「約束の時は近い」とだけ言い残し去って行く。果たして二十面相の言う「約束」の真意とは?
同じ頃、学園には次々と怪事件が起こり、ミステリー同好会メンバーであるクロサキ(長村航希)、夢野正太郎(板垣瑞生)、塚原舜(前田旺志郎)は事件の謎解きにのめり込んでいく。芳狼は、10年前のある出来事をきっかけに封印していた怪人二十面相との記憶を徐々に思い出し、自らの秘められた能力や宿命と向き合い始めるが、怪人二十面相に引き寄せられていく芳狼を心配するワタリや小夜との関係には不穏な空気が漂い始める。
佐野岳(サノガク)
1992年4月3日生まれ、愛知県出身。2011年、「第24回JUNONスーパーボーイ・コンテスト」にてグランプリを受賞しデビュー。近年の主な出演作品は、映画『純平、考え直せ』『honey』『となりの怪物くん』『ふたつの昨日と僕の未来』、ドラマ『陸王』(TBS)『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ)『仮面同窓会』(東海テレビ・フジテレビ系)など。今後は、ドラマ『黄色い煉瓦~フランク・ロイド・ライトを騙した男~』(NHK BSプレミアム/11月27日放送予定)、ドラマ『黒蜥蜴(くろとかげ)‐BLACK LIZARD‐』(NHK BSプレミアム/12月29日放送予定)など、出演作が続く。
板垣瑞生(イタガキミズキ)
2000年10月25日生まれ、東京都出身。2013年より俳優活動を開始し、映画、ドラマを中心に活動。2015年、映画『ソロモンの偽証』に物語の主要人物として出演し、「第25回日本映画批評家大賞新人男優賞」を受賞。2019年は待機作の『ゴーストマスター』(12月6日公開予定)を含む5本の出演映画が公開。『初恋ロスタイム』(9月20日公開)では、映画初主演を果たす。また、2014年よりボーカルダンスユニットM!LKのメンバーとしても活動。11月6日には結成5周年を記念する10thシングル『ERA』を発売予定。