テレビ東京系「孤独のグルメ Season8」第3話が10月18日に放送された。

「時間や社会に囚われず、幸福に空腹を満たすとき、つかの間、彼は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。 この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒し、と言えるのである」

冒頭のナレーション。その中に「自由になる」という一文があるが、今回の五郎さんは自由を奪われていた。
「孤独のグルメ」「ロールキャベツ定食しかありませんけど」自由を奪われた五郎さんどうする?3話

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ドラマパートもグルメパートも相手ペース


個人で輸入雑貨商を営む五郎さんは、銀座のカフェで劇団主催者の武者小路朱雀(岸谷五朗)と商談をする。武者小路は、今作では珍しいほどのぶっ飛んだキャラで、店内でシェイクスピアの「リア王」を演じまわる奇人だった。五郎さんは武者小路に振り回され、「腹が減って」しまう。

疲れが溜まった五郎さんは、「パワー系」を求めて銀座の裏通りを徘徊。
「昼食堂」と書かれた看板と「ポークソテー定食」に惹かれて、見の客を寄せ付けないような地下の怪しげなバーへと入った。

武者小路に続いて、ここの店主(室井滋)もアクが強かった。のっけから水を運ぶ手伝いをすることになり、さらには「ロールキャベツ定食しかありませんけど」とメニューを限定されてしまう。

このドラマは、入店してからのメニュー選びも見どころのひとつだが、今回は「ロールキャベツ定食」一択。入店時に先客がいなかったことで、五郎さんが得意とするテーブルの覗き見もできなかった。求めていたはずのパワー系「ポークソテー」も食べられず、選択の自由もない。
普段は、一人であれやこれやと思考する場面に、五郎さんの人間味や、食のクセが見えるのだが、今回はそれが封じられてしまった形だ。

出てきたのは、和洋ごちゃまぜのフォーメーション


口を動かすと手が止まってしまう店主の長い話に付き合わされる五郎さん。自由を奪われ、やっと出てきた「ロールキャベツ定食」は、和洋ごちゃ混ぜのフォーメーションだった。店主が過去にロシアのウラジオストクで店を出していたことが関係するのか、「ロールキャベツ」はヨーグルトがかかった思いっきり洋風で、なのに付け合わせは、「わかめの味噌汁」「大根と人参の紅白なます」と和風も和風。ナイフとスプーンと箸で食べる定食だった。

「口の中に嬉しさが広がっていく……」

自由を奪われ、出ててきた料理はムチャクチャな組み合わせだが、肝心の味は五郎さんを満足させるものだった。コンソメスープがよく染みたロールキャベツは、ヨーグルトとトマトの酸味が合うらしく、なんと煮干し出汁の味噌汁とも、紅白なますとも相性が抜群だという。


五郎さんに与えられた自由


「スプーンでわしわし食べるロールキャベツ丼。最高」
ご飯をおかわりした五郎さんは、ロールキャベツを茶碗に乗せて「ロールキャベツ丼」を完成。一瞬で口に掻っ込むと、今度は逆にロールキャベツのスープにご飯を入れて「お茶漬け的な洋風スープライス」を作り上げる。心の中で「おう、おう」言いながら一気に平らげた。

仕事も注文も自分のペースでできなかった五郎さんだが、食べ物を前にすればそれはまた別の話。初めてきた完全アウェイの店で、「ロールキャベツ丼」や「お茶漬け的な洋風スープライス」を勝手に作り、冒頭のナレーション通り「誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為」を楽しんでいた。

(沢野奈津夫)

・「孤独のグルメ Season8」
放送時間:金曜24時12分〜
出演:松重豊、岸谷五朗 室井滋
原作:原作/久住昌之・画/谷口ジロー
音楽:The Screen Tones
久住昌之、フクムラサトシ、Shake、河野文彦、栗木健
オープニングテーマ:「Goo,Goo,Goro!」
作曲:久住昌之
演奏:The Screen Tones
エンディングテーマ:「五郎の12PM」
作曲:久住昌之
歌:伝美脚本:田口佳宏 児玉頼子
演出:井川尊史 北畑龍一 北尾賢人