テレビ東京系「孤独のグルメ Season8」第4話が10月25日に放送された。

埼玉・新座市と東京・ひばりが丘団地。
うどん屋とカフェの二軒を県またぎで訪れた五郎さん(松重豊)。メインにプラスして軽くまんじゅうを食べる程度ならともかく、2度の「腹が、減った……」は珍しい。
「孤独のグルメ」肉汁うどん→カステラパンケーキと県をまたぐ五郎さん。2度の「腹が、減った…」は珍しい

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仕事もそうそうにうどん屋へ


普段は、五郎さんが仕事に勤しむドラマパートに放送時間の半分近くを割くのだが、今回はほぼ無し。さっそく「腹が、減った……」と一軒目を探し始めた。しかし、住宅街な上にまだ午前の11時とあって店は開いていない。ようやく見つけたのが、「うどんや 藤」だった。

「いい味出してるな。
このくっつけた屋根、のれんの色と面積、木の引き戸のわびさび。この店は何か持っているぞ」

直感にしたがって引き戸を開けると、客席で女将(池谷のぶえ)がうどんを踏みながら「いらっしゃいませ」。むき出しになった業務用冷蔵庫、お世辞にも綺麗とは言えない壁紙、色あせたメニュー、そしてなんだか妙に細い木のテーブル。埼玉で都心は近いが、どこか地方のような雰囲気が漂っていた。

五郎さんは常連客から盗み聞きをしてメニューを決定。肉盛り田舎うどん中盛り、五目野菜の付け汁追加、揚げ玉ゴマのおむすび、肉増し1.5倍、先着7名サービスの味玉。
一見さんでは手間取ってしまいそうなバリエーションの多い注文も、女将のわかりやすい説明のお陰で難なくこなした。

「コシが強いというよりは、麺ががっしりしている」

すするではなく、箸で口に運ぶといった感じの田舎うどんだ。肉汁と五目野菜汁をそれぞれ楽しみ、ありそうでなかった揚げ玉入りのゴマおむすびを頬張る。ラストは、テーブル上で「肉乗っけおむすび」を作ってフィニッシュ。もうお腹いっぱいだ。

本日2度目の「腹が減った」


満腹状態の五郎さんは、バスで居眠りしながら西東京市のひばりが丘へ。団地をリノベーションしたオフィス(?)で次の商談相手(安東弘樹)と出会う。
そうそうに仕事を終えるが、ドアの向こうから漂ってくる甘い匂いにつられて、こちらも団地をリノベーションしたカフェ「COMMA,COFFEE」を発見。日光が差し込む自然な色合いのオシャレなカフェに、五郎さんは、「小腹が、減った」とそのまま入店する。甘い匂いの正体は、分厚い鉄板でじっくり焼いたカステラパンケーキだった。

「なんか入ってる。こっちにも入ってる。混ぜちゃえ。
きっと、美味しさも倍増」

小綺麗な女性スタッフ(奥山佳恵)に促され、セルフサービスで2種類のデトックスウォーターを見つけた五郎さんは、なんと混ぜることを選択する。そもそも色んなフルーツを混ぜて作るデトックスウォーターなので、混ぜて飲んでも問題はないが、よく知りもせずに迷わず混ぜる五郎さんの自由っぷりはさすがだ。

知らない水を混ぜ、おしぼりを取るためにウロウロして、出てきたパンケーキをニヤニヤしながら食べる。「オシャレなカフェにこんなおっさんが一人でカステラパンケーキなんぞを食べても良いのだろうか?」と二の足を踏む様子が一切見受けられない。周りの目なんか気にしない。さすがは“おひとりさまブーム”をけん引する存在。
ケンタッキーの軟骨回りの肉をしゃぶり尽くせる男だ。

「うおぉー。これはこれは、ふわり姫。香りのままの食感」

30分待って届いたカステラパンケーキは、まわりはザクザクしながら、中身はスフレのような食感らしい(五郎さんではなく、筆者の友人談)。アイスコーヒーでリセットした後、五郎さんはメープルシロップが鉄板でジュワジュワする音を楽しむ。

「端っこ? 行くでしょ。
ここ好き」

どんなにオシャレな食べ物でも、鉄板際の焦げた部分が美味いのは一緒だ。心の声は、いつものように味を伝えるよりも、「ふふふふ」「あー」と幸福度を伝えることが多かった。

仕事の後の飯は美味い


仕事の後の飯は美味い。通常このドラマは仕事のしんどさと料理の美味さで落差が生まれ、ストーリーが作られる。だが今回は、古き良きうどん屋でのガッツリとした食事と、リノベーションしたオシャレなカフェの真新しいパンケーキで落差を作った。

店、メニュー、さらには池谷のぶえと奥山佳恵、すべての雰囲気でギャップを作って視聴者の胃もたれを回避して見せた第4話。間違いなく意欲作と言える「孤独のグルメシリーズ」だが、今回は特に攻めた構成の回だったと言えるだろう。さぁ、今夜放送の第5話は、恒例となっている焼肉回だ!
(沢野奈津夫)

・「孤独のグルメ Season8」
放送時間:金曜24時12分〜
出演:松重豊、池谷のぶえ、奥山佳恵、安東弘樹
原作:原作/久住昌之・画/谷口ジロー
音楽:The Screen Tones
久住昌之、フクムラサトシ、Shake、河野文彦、栗木健
オープニングテーマ:「Goo,Goo,Goro!」
作曲:久住昌之
演奏:The Screen Tones
エンディングテーマ:「五郎の12PM」
作曲:久住昌之
歌:伝美脚本:田口佳宏 児玉頼子
演出:井川尊史 北畑龍一 北尾賢人