松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事 主演ドラマでヘッドハンター役に

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

雫井脩介の小説を原作とした『連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~』が11月16日(土)、WOWOWプライムにてスタートする。

松下奈緒が扮するヒロイン・鹿子小穂(かのこ・さほ)は、創業者である父が経営するアウトドア用品メーカーに勤務していたが追い出され、ヘッドハンターという未知の世界へ飛び込むことに。凛とした強さと上品なしなやかさを併せ持った小穂は、松下自身のイメージに重なる役どころである。

監督は『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』を手掛けた西浦正記。駆け引きや陰謀が渦巻く骨太なビジネスエンターテインメントの顔を持つ一方で、一人の女性が仕事を通して人と向き合い成長していく様を丁寧に描き、働くことの意味そのものを問う作品を期待できそうだ。

取材・文/大前多恵 撮影/コザイリサ
編集/田上知枝(エキサイトニュース編集部)

ヘアメイク/土橋大輔 スタイリスト/大沼こずえ(eleven.inc)
衣装協力/ワンピース(アッシュスタンダード/アッシュ・スタンダード アトレ恵比寿店 TE. 03-5475-8497)、ネックレス(4℃/エフ・ディ・シィ・プロダクツ TEL. 03-5719-3266)、サンダル(スタイリスト私物)


ヘッドハンターは非常に意義のある仕事


松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――ヘッドハンターという職業について、この作品で初めて知られたそうですね。

松下:はい。「ヘッドハンティングされた」という話は聞いたとしても、そういえば「私はヘッドハンターです」という人に出会ったことはないなって。

――ご自身で演じてみて、どんな魅力を感じましたか?

松下:こんなにも大変な仕事だとは思わなかったですね(笑)。逆に言うと、その分得るものが大きいんじゃないかな? とも思いました。人と向き合ってたくさん会話をして、その人のことを見極めて、自分の判断でその人の人生を左右してしまう、責任重大な役割で。なかなかやろうと思ってもできない、非常に意義のあるお仕事だと思います。

――ご自身にはヘッドハンターの資質はあると思われますか?

松下:いや、ないと思います(笑)。「この人はこの仕事に合う」というのを、私が決めていいの?と思ってしまって。しかも短期間で。「そんな恐ろしいこと、私できません!」と思ってしまいますね。でも、ヘッドハンターがちゃんと導いたことで人生を新しく切り開いてもらえて、後々「あの人のお陰で」と感謝してもらえるのは羨ましいお仕事だな、と思いましたし、本当に素晴らしいことですよね。

――脚本を読まれた時の第一印象はいかがでしたか?

松下:「あ、小穂かわいいな」って思いました。台詞の言い回しが普通の話し言葉というか、“私の隣にいる33歳”みたいな、友だちのようなイメージで見えてきたので、全く違和感なく入ってきました。読む前は、黒いスーツを着てバリバリと働くような女性なのかな? 「一人で生きていけるわ!」というテンションの女性像かな?と思っていたんです。そういう社会派なWOWOWさんのドラマのトーンも好きなんですけど、今作はそうじゃなかったので、新鮮でした。小穂はごくごく普通の女性で、怒られるとシュンってするし、泣くし、笑うし。そういうところにすごく親しみやすさを感じました。出会う人によって変わっていきやすい、良い意味で純粋さをちゃんと持った女性だったので、最初に持ったそういうイメージを大事に演じよう、という想いはずっと頭にありましたね。

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――小穂と松下さんご自身とは、どんなところが重なりますか?

松下:小穂という女性は、ドン! と構えていられるような強さがありながらも、女性らしいたおやかさというか……そういうきめ細やかな堂々とした感じは必要だなと思っていたんですね。それが自分の中にあるかどうかは別にしても(笑)、お芝居でなんとか表現したいなって。小穂という人間はどこにいても熱いものをちゃんと持っていて、何に対しても諦めない。その粘り強さはしつこさに思える時もあるんですけど、そこは自分と「似てるな」と思います。誰かに対してしつこいんじゃなくて、自分に対してしつこさをちゃんと持てる、ということですよね。その共通点があるからこそ、この役を今回は自分の中でうまく噛み砕くことができたかな?と思います。

――“自分に対するしつこさ”というのは、例えばどんな局面で役に立ちましたか?

松下:「こんな感じかな?」「これでいいかな?」と思ってしまったらそれでOKになって終わってしまうことが多いので、そう簡単に思わないように自分のハードルを上げていく、ということかな?と思います。どんなお仕事でもそうだと思うんですけど、私の場合は幸いなことにお芝居と音楽というものがあって、どちらも自分で(『これでOKだ』という)ピリオドを打たなければいけないことも多いなかで、粘るということですよね。誰かに言われなくても「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気がすごく大事で、それはこの何年かで学んだことでもあります。

皆さんテストも本番も毎回全く違うお芝居をしてくる方たちでした(笑)


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――先輩ヘッドハンター・渡会花緒里(わたらい・かおり)役に内田有紀さん、相談相手となるプロ経営者・畔田知行(くろだ・ともゆき)に要潤さんが出演。NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』以来のご共演はいかがでしたか?

松下:内田有紀さんとは、実は『まんぷく』の時よりも今回のほうが長く一緒にいれました(笑)。『まんぷく』の時は1週間ぐらいで 終わってしまって、それ以来、内田さん(※夭逝する姉の役どころ)は“夢枕に立ちに”大阪(のNHK)に来られていたんですけど、私はなかなかお会いする機会がなかったんです。だから、今回のほうが毎日お会いできてすごくうれしかったです。私自身も内田さんに憧れていますし、すごく素敵なお姉さん的存在でもあるので、それは小穂の気持ちと似ていると思うんですよね。花緒里さんにいろんなことを言われないと気付けない、というところが小穂のまだ甘いところだな、と思いながら演じていたんですけど(笑)、先輩である花緒里さんに導かれて、小穂は自分の人生の歩み直しをすることができたと思うんです。私自身も内田さんを尊敬していますし、それは小穂と同じ気持ちだったのかな?と思いますね。

要さんは『まんぷく』では夫婦だったんですけど、光栄なことに、ご一緒するチャンスが本当によくありまして、安心しますね。何度もご一緒している要さんが現場にいてくださると、何も心配することがないので。「この前は夫婦だったのにね(笑)」と笑い合うところから今回の現場はまず始まりました(笑)。慣れ親しんだ中でも、違う設定でまたこうしてご一緒できるのは非常にうれしいことだな、と思いました。

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――現場の雰囲気は全体的にいかがでしたか?

松下:すごく楽しかったです。内田さんもそうですし、(小穂が勤めるヘッドハンティング会社)フォルテフロース組は小手(伸也/ボス・並木剛役)さんをはじめ、皆さんテストも本番も毎回全く違うお芝居をしてくる方たちで(笑)。それを一連で演じ始める緊張感もありましたし、またいつもとは違ったお芝居の面白さを感じました。座ってお話するシーンが結構多かったんですけど、それをあえて立って演じてみたり、動きながら試してみたり。現場で変わるハラハラ感があったり、台本で読んでいたのとは全然違って見えてくることがあったり。それをチームみんなで楽しみながらやってみて、その瞬間をちゃんと捉えていただける、というのがドキュメンタリーのようで面白かったです。

ダークな雰囲気は全くないんですよね。もちろん悩むところはしっかり悩むけど、小穂の周りには明るさがあって、弾けるところは弾ける。一番出さなければいけないのはそのメリハリなのかな?と、台本を読んだ瞬間に思っていました。非常に難しいなとは思ったんですけど、ホッとできるシーンとハラハラするシーンがいい塩梅のバランスになっていると思います。

――今作では、親子の関係も印象的に描かれていますね。

松下:ウチのお父さん(長谷川初範扮する鹿子隆造)とお母さん(高橋ひとみ扮する鹿子みどり)はすごく素敵なんですよ! お父さんは威厳があって、「もう小穂とは口を利かない!」という雰囲気を醸し出しつつも、実は娘にデレデレなんです(笑)。お母さんは本当にかわいくて、「このお母さんだからこそ、お父さんはこれまでやってこられたんだろうな」というような、一家の花みたいな感じで。お母さんが良い意味で力が抜けていると、お父さんも自然と「ダメだ」と言っていたことが良いように思えてきたりして、心が広くなるのかな?と。

働いているということに関して言えば、(父と娘)二人とも同じなので、ある意味経営者が二人家にいるようなものじゃないですか? 父と娘という事と上司と部下という関係性を、お母さんがうまく柔らかくしてくれて、“娘である”ということをちゃんと思い出させてくれる、というか。本当に素敵なご夫婦で、こういう家族だったらいろいろなことを乗り越えていけるなって思いましたし、すごく素敵な家族になったんじゃないかな?と思いますね。

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

「自分の守るべきものは何なのか?」を一番に考えることは必要


松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――かつては終身雇用が主流でしたが、現在は転職を繰り返してキャリア形成をしていく人も多い時代で、タイムリーな作品だと思います。松下さんはご自身のキャリア形成についてどうお考えですか?

松下:ありがたいことに、私は女優と音楽のお仕事をさせていただいてます。なので、いろいろと考えると……「もう私はここでしか生きていけない」と思いますね(笑)。じゃあ、同じところに腰を据えて長く働くにはどうしたらいいのか?と考えることもあります。自分ももちろん飽きないようにしたいし、周りの人たちも飽きさせないようにしたいな、と思うし。“継続は力なり”と言いますけど、継続することこそが難しいなって思うんです。自分がいかにこの仕事を好きでいられるか?ですよね。「ここで生きていく」と決めて、だったらそのためには、どんなことを表現して、発信していきたいか?ということを考えるきっかけになりました。

やっぱり“働くって難しいんだな”と、すごく思いましたよね。自分は今この環境にいて、「これしかない」と思っているわけですけど、もしこの仕事をクビになったら「私どうやって生きていけばいいんだろう?」となりますし、そういうことが世の中には実際あるわけじゃないですか? だから、ヘッドハンターという仕事をする人たちが良い巡り会いをちゃんと提供できる環境が増えていけば、働く意欲がより一層湧いてきたり、自分の好きなことを見つけやすくなったりするのかな?という気はしますね。

――台本を読んで印象的だったのが、ワンマンの社長とイエスマンの秘書を引き合わせる、という小穂の成し遂げた仕事です。ヘッドハンターというのは優秀な人を探せばいいというわけでもなく、マッチングの妙なんですよね。ちょっとお見合いみたいなところもある、というか。

松下:そうですよね。本当に恋愛と一緒じゃないですか?(笑) どれだけウマが合うか、どれだけその人に寄り添えるか。そういう組み合わせに気付くかどうか、気付けるような関係性をヘッドハンターとして築けるかどうか。だから、人との向き合い方が非常に大事になってくる職業なんだなと思います。その人のことをいかに理解するかですよね。

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――自分自身の人間性も問われる職業ですよね。松下さんはお仕事で悩まれた時、例えば先輩ですとか、どなたかに相談されますか?

松下:いえ、もう自己解決です(笑)。人に相談するほど悩んでいないんだな、と思う反面、自分で解決していることも多いんだな、とも思います。もちろん、家族やマネージャーに相談はしますし意見は聞きたいんですけど、やっぱり最終的に決断を下すのは自分でありたいな、という想いがあって。自分で出した決断には責任も伴うし、「自分が決めたんだからやろう」と思う原動力にもなるんです。

――お話を伺っていると、松下さんは経営者タイプのように感じます。

松下:いや、たぶんダメだと思います(笑)。

――決断は早いほうですか?

松下:早いですね。早いし、その決断が間違っていたとしても貫こうとする頑固さもたぶんあります(笑)。どこか頑固じゃないといけない部分と、どこかフラットにいなきゃいけない部分と、両方なければいけなくて。それはどういう境遇でもそうだと思うんですけども。小穂みたいに、どこかは柔軟だけどどこかは頑固で、「自分の守るべきものは何なのか?」を一番に考える、というのも必要なことだなと思います。

今までとはちょっと違ったアプローチで演じ、挑戦した


松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――ヘッドハンターは人を見る目が重要ですが、松下さんご自身は人と接する時、人となりを判断する上で何を重視されていますか?

松下:話し方ですかね。「こうだからこういう人だ」という決め付けはないんですけど、すごく丁寧な人とそうじゃない人って、やっぱり分かりますよね。自分も気を付けますし、それは相手の方にもすごく求めてしまうことが多いかもしれないですね。

――小穂は対面でのコミュニケーションをとても大事にしていますが、松下さんはいかがですか?

松下:これだけメールやSNSが楽になってしまうと、なかなかできないですよね……。「したいな」とは思っても、やっぱり便利なほうに傾くので。ただ、お礼を伝える時にはちょっとした一言でもなるべくお手紙を書くようにはしています。メールだけだと「あ」と押しただけで「ありがとう」って(予測変換で)出てきますし(笑)。こういう時代だからこそ、私ももし手紙をもらったらすごく心に残るし、それはすごく素敵だなと思うんです。だから、できる限り自筆で何か書けるような大人でいたいですね。

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

――クールな役どころが魅力だった人気シリーズ『闇の伴走者』に続き、今作は、松下さんにとってWOWOW『連続ドラマW』で主人公を演じるのは三作目となります。最後に、一番の挑戦だったことと、見どころをお願いします。

松下:「ヘッドハンターの流儀」というサブタイトルを見ると、「またカッコいい系の話なんだろうな」と想像されると思うんですけど、そうじゃないです(笑)。カッコよさもありますが、チャーミングな部分が10%ぐらい多い感じの役柄になったかな?って。前作「闇の伴走者」ではカッコいい女性だったので(笑)、今回はもっと人懐っこさを大事に、人に好かれるような人でありたいなと思って演じていました。そこが今までとはちょっと違ったアプローチでしたし、見どころでもあり、私の挑戦した部分でもあります。ぜひお楽しみください!

番組概要


連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~
11月16日(土)スタート(全5話)、毎週土曜よる10:00
※第1話無料放送

松下奈緒 「もう一歩上へ、先に行ってみよう」と思える心意気が大事  主演ドラマでヘッドハンター役に

キャスト:
松下奈緒 内田有紀 小手伸也 / 渡部篤郎
要 潤 秋元真夏(乃木坂46) 中林大樹 高橋ひとみ 石黒賢 長谷川初範 杉本哲太
戸次重幸 木村祐一 神尾佑 原田泰造 笹野高史 駿河太郎 忍成修吾

原作:雫井脩介『引き抜き屋(1)(2)』(PHP研究所刊)
監督:西浦正記
脚本:渡辺千穂
音楽:木村秀彬
制作協力:ホリプロ
製作著作:WOWOW

公式サイト:https://www.wowow.co.jp/dramaw/hikinukiya/

<ストーリー>
「私をクビに?」――父親が社長を務めるアウトドア用品メーカー、フォーンの幹部として働いていた鹿子小穂(松下奈緒)は愕然とした。ものづくりへの信念を引き継いで仕事に励んでいたが、突然の解雇。背景には“あるヘッドハンター”を介して招聘された人物の策略が……。

そんな中、小穂の前に「ヘッドハンター」を名乗る渡会花緒里(内田有紀)が現われ、くしくも彼女が働くヘッドハンティング会社・フォルテフロースで働くことに。そして、ボスの並木剛(小手伸也)に連れられて初仕事に行くと、そこには競合の剛腕ヘッドハンター戸ケ里政樹(渡部篤郎)が……。

駆け引き、裏切り、だまし合いを繰り広げながら、小穂は一癖も二癖もある経営者らクライアントやキャンディデイト(ヘッドハンティングの候補者)と対峙し、「人の人生を預かる仕事」にやりがいを見いだしていくが……。その一方、フォーンの経営に暗雲が漂い始めていた。その裏にいるのは……。



Profile
松下奈緒
マツシタナオ

2004年女優デビュー。その後、数々のドラマ・映画で主演を務める。2010年、NHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』ではヒロインを演じ、同年NHK『紅白歌合戦』では紅組司会を務め、ドラマの主題歌でもあった「ありがとう」を演奏した。

ピアニストとしては2006年2月に発売された『イマージュ 5cinq』に自身がヒロイン役を演じた『恋におちたら~僕の成功の秘密』主題歌カバーを収録。同年12月には国際フォーラムホールCのステージを行い、初ライブを行った。映画「アジアンタム ブルー」では劇中曲を3曲、ピアノ演奏しており出演シーンを自らの演奏で飾った。

アイカ役で出演した映画『エンジェルサイン』が11月15日に公開。


関連サイト
松下奈緒 オフィシャルサイト

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