「スカーレット」33話「まだあるよ、まだあるよ」大借金に喜美子大笑い
連続テレビ小説「スカーレット」33話。木俣冬の連続朝ドラレビューでエキレビ!毎日追いかけます

(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)

連続テレビ小説「スカーレット」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
「スカーレット」33話「まだあるよ、まだあるよ」大借金に喜美子大笑い

『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第6週「自分で決めた道」33回(11月6日・水 放送 演出・鈴木航)


3年、家から離れていたため、状況を何も知らなかった喜美子(戸田恵梨香)。
泥棒が入って以降、川原家は無理していて、オート三輪を買ったものの、常治(北村一輝)が捻挫して、
しばし働けない間に借金が増えていたという話を泣きながらする直子(桜庭ななみ)。

直子が桜庭ななみになって、以前ほどキンキン、ヒステリックにならずホッとする。
すこしは大人になったんだろうか。
それともいつか爆発する回もあるんだろうか。どきどき。

まだあるよ まだあるよ


代わりにややクレージーだったのが喜美子。
結局、喜美子が病院に行っていくらかお金を払って来て、そのまま家に戻り、家計簿を見せてもらい、あまりのつけの多さに大笑い。この笑い方が尋常じゃなかった。狂気の域。


さらにそこに「まだあるよ まだあるよ」と畳み掛けるマツ(富田靖子)。
借金多すぎて笑い転げる母子。まさに悲劇と喜劇は紙一重だ。
たくさんつけにしてくれている近隣の人たちの優しさに救われていると思う。

お父ちゃん何文字やった?


借金苦のなか、マツは久しぶりにたくさん笑って、気持ちが楽になった様子。
お茶入れると立ち上がる喜美子に、「お茶いれる喜美子、見とこ」と言うマツにはほのぼの。

喜美子は、18歳のとき出会った常治(北村一輝)は「何文字だった?」と聞く。

何文字とは肩書のことだ。「いがくせい」「こうむいん」などの五文字が女性には好評。

マツ「商家の丁稚奉公」(呼び折り数える)
喜美子「あ、なんかすいません もういいです」

「でっち」で三文字というところか。女性に全く効果なさそう。肩書ではなく「中身」だったことで片付けようとするが、中身もねえ……。
ともあれ、何文字という隠語の使い方は面白い。
「げいじゅつか」はどうだろうか。

照子との再会 


お茶いれながら、なにげない会話する母子。そこから、喜美子を実家に戻そうと常治が思った根拠が語られる。
かつて、断られた丸熊陶業に再び就職の可能性があり、喜美子に帰ってきてほしい常治が飛びついたのだ。
社長に会いに立ち寄ると、照子(大島優子)がいて、抱きついてくる。
なつく照子とぶっきらぼうにあしらう喜美子。この関係性が楽しい。

「きれいになった?」と聞く照子。喜美子が恋してちょっと変化したことに鋭く気づいているのだろうか。でもすぐに自分の話題に切り替えるところが照子らしい。

一旦喜美子が大阪に戻るも、すでに常治が速達を出していて、さだ(羽野晶紀)たちは、喜美子の荷物を送り返す準備をしていた。3年もいたのにものすごく荷物が少ないことが胸をつく。

喜美子は信楽に帰って就職するのか。
せっかくの進学はどうなるのか。
毎日が土曜日回のような渋い話だからか、視聴率は19%代のことも多いが、こういう内容の朝ドラがあってもいいと思うので、志を捨てずに作り続けてほしい。

次作「エール」の脚本家が交代


先週、戸田恵梨香と溝端淳平のターンで、ふたりの共演ドラマ「BOSS」の脚本家・林宏司は次作「エール」の脚本を担当していると書いたところだったが、なんと降板が発表された。
ちょうど日本テレビ1月期、「BOSS」で主演していた天海祐希主演の医療ドラマを書くことが発表され、続けざまに降板も発表に。代わりに、湊かなえのイヤミスドラマの脚本などを書いている清水友佳子と、NHKの「ベビーシッターギン!」などを書いた嶋田うれ葉のふたり、そしてスタッフが書いているとか。ドラマの脚本は倉本聰や橋田壽賀子のように一字一句変えてはいけないという作家のチカラの強いものもあれば、プロデューサーや演出家が脚本に手を入れるものもあるのでスタッフが書いていてもおかしくはない。また、何人かの脚本家が書いている朝ドラといえば「てっぱん」(10年)がある。

「君の名は」(91年)は後半、脚本家の体調不良により交代になりやはり複数で書かれた。当時の女性週刊誌などではそのことに関する様々な記事が書かれているが、今回は脚本家が代わってこのまま順調に制作されるように、放送を楽しみに待ちたい。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)


●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、大阪の荒木荘に就職する。やがて、美術学校に進学を考える。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉 

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。高校生になっても友達がいないが、楽しげな様子を書いた手紙を大量に喜美子に送っている。喜美子とは幼いときキスした仲。

熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。高校で友達は照子だけだったが、ラブレターをもらう。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻・里子の行方を探している。喜美子に柔道を教える。大阪に通訳の仕事で来たとき喜美子と再会。大阪には妻が別の男と結婚し店を営んでおり、離婚届を渡す。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

●大阪 荒木荘
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。

酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。喜美子に密かに恋されるが、あき子に一目惚れして、交際のすえ、荒木荘を出る。

庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。

平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
不況になって大手新聞社に引き抜かれた。

石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

泉田工業の会長・泉田庄一郎…芦屋雁三郎 あき子の父。荒木荘の前を犬のゴンを散歩させていた。
泉田あき子 …佐津川愛美 圭介に一目惚れされて交際をはじめる。

ジョージ富士川…西川貴教 「自由は不自由だ」がキメ台詞の人気芸術家。喜美子が通おうと思っている美術学校の特別講師。
草間里子…行平あい佳 草間と満州からの帰り生き別れ、別の男と大阪で飯屋を営んでいる。妊娠もしている。


あらすじ


第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。
第五週 昭和30年秋から暮にかけて。喜美子、初恋と失恋。美術学校に行くことを決める。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき