「はい、免許証見せてくれるかな? お兄さん、これから仕事?」

三浦貴大、夏帆主演のドラマ25「ひとりキャンプで食って寝る」(テレビ東京・金曜深夜0時52分~)。ゆるい「ソロキャンプ」をテーマにした、趣味ドラマである。


さて、冒頭のセリフは誰が誰に言ったものでしょう? 正解は、夏帆演じるソロキャンパー・七子が、山で見つけたキノコに向かって言ったセリフでした。ソロキャンプでは独り言も多くなる模様。
夏帆「ひとりキャンプで食って寝る」山菜の天ぷらサクッ、ビールグビッ、きのこたっぷりこりゃたまらん4話
イラスト/まつもとりえこ

山菜の天ぷら&ビールが最高すぎる


偶数話の主人公・七子は、海に、山にと、自然の食材を獲って食べる。今回のターゲットは山。山菜を採って食べようというのだ。山菜かごを腰にくくりつけ、意気揚々と山へと分け入っていく。

さっそく、ワラビ、コシアブラ、ウドなどの山菜をゲット。さらに山中で出会ったお婆さん、みさお(藤夏子)に教えられたキノコ、タマゴタケも採ることができた。毒キノコはちゃんとスルーしていてえらい。

タマゴタケはキノコ汁に、山菜は天ぷらにする七子。揚げたてをサクッと頬張り、ビールをグビッ、キノコ汁をズズッ。こりゃたまらん。夢中になるあまり、普段はわりと気軽に見知らぬ他人とコミュニケーションを取る七子が、話しかけてくる人たちをほとんど無視するほどだ。


途中、みさおの孫、久丸(坂東龍汰)がタマゴタケを毒キノコと勘違いして、七子が吐いたり(たぶん)、バッドトリップのような悪夢を見たりするトラブルもありつつ、最後は山菜とキウイを乗せたチーズピザをトーチバーナーでこんがり炙って、これも美味しくいただきましたとさ。どんな味がするんだろう?

「ひとりキャンプ」と銘打ちながら、主人公たちにはいろいろな出会いがある。今回は七子がお礼に訪れた久丸にキノコ汁を振る舞おうとしたり(未遂)、一緒にチーズピザを食べたりするが、最後はお互いに車のワイパーで合図するだけで別れていた。

先週の健人(三浦貴大)とあかり(北香那)と同じように、男女の良い雰囲気になることはない。これが趣味に生きる者たちの流儀なんだと思う。さっぱりしていて良い。

山菜採りについてのエトセトラ


ドラマの内容からは離れるが、山菜採りについては、気をつけなければいけないことが多い。まず、山林が私有地の場合、勝手に山菜を採ったら窃盗にあたる。国立公園や国定公演、自然保護区に指定されている山での山菜採りもNG。信濃川日出雄による登山グルメマンガ「山と食欲と私」には、主人公が山菜やキノコについて「とっていいのは写真だけ 許可がない限りは採らないのが基本です」と話すコマがある(2巻)。

また、遭難事故にも気をつけなければならない。今年6月には「山菜採りで遭難多発、注意呼びかけ 東北6県の死者・不明者16人」という記事が産経新聞に掲載されている。
高齢者が山菜やキノコを目的に山に入り、遭難したり、クマに襲われたりするケースが多いのだという。今回のお婆さん、みさお(藤夏子)のケースそっくりだ。

夢やロマンがないようだが、山菜採りは許可されたエリアで行うか、山菜採りツアーに参加したほうが良いと思う。

もう一つ、アウトドアに詳しい視聴者から、コシアブラの季節は春で、タマゴタケの季節は秋だという指摘があった。それぞれウィキペディアを確かめてみると、たしかにそう書いてある。制作側の単純ミスなのかもしれない。

本日放送の第5話は、健人が部屋の中にテントを張って缶詰を食べる。おまけに友人までやってくる。「ソロキャンプ」とは一体何ぞや。今夜0時52分から。
(大山くまお)

作品情報
ドラマ25「ひとりキャンプで食って寝る」
監督:横浜聡子(奇数話)、冨永昌敬(偶数話)
脚本:冨永昌敬、保坂大輔、飯塚花笑
音楽:荘子it(Dos Monos)
出演:三浦貴大、夏帆
主題歌:Yogee New Waves「to the moon」
プロデューサー:大和健太郎、滝山直史、横山蘭平
制作:テレビ東京、東京テアトル
※動画配信サービスひかりTV、Paraviで放送1週間前から先行配信
※放送後にTVerで配信中
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