深山瑤子(天海祐希)に押しつけられた「トップナイフ」と呼ばれる脳外科ドクターたちのワケありな過去がチョイ出しされた。

ストーカー妄想も脳のせい?
今回の患者は、酒をあおり自宅の屋上から飛び降りた桑原和子(濱田マリ)。
治療に当たった外科とカテーテルの“二刀流”西郡琢磨(永山絢斗)は、「オレは難手術をするためにここに来た」ということで、単なる自殺未遂の患者に興味を示さず。目覚めた和子へも、
「3階とかじゃなかなか死なないから」
なんて嫌みなことを言っていた。
しかし和子が飛び降りた原因が、10年以上にわたる顔の痛みのせいだと知って西郡の態度が変化。脳内のテント髄膜腫が三叉神経に触れることで痛みを引き起こしているのではないかと突き止めた。
一方、1年前のバス事故で脳挫傷を負った後、頭痛が続いているという牧羽由香里(松本若菜)は、治療を受けに来たのではなく、自分に付きまとっている脳外のドクターを告発しに来たという。その相手は黒岩健吾(椎名桔平)。
しかし、目の前を黒岩が歩いていても気付かず、話を聞くたびに別のドクターの写真を指さすなど、様子がおかしいことから、深山は他人を見ているのに、恋人など親しい人だと思い込む「フレゴリ妄想」を疑う。
実際は精神疾患なのか、外科的手術で治るものなのか、判断が非常に難しいようだが、そこはトップナイフ。黒岩がサクッと手術をして治していた。
医療ドラマと見せかけて学園ドラマなのかも……
「この世に残された唯一の未開の地」である脳を扱うということで、「妄想も顔の痛みも、まあ全部脳のせいなんだろうな」と、患者の病状については予想が付いてしまう面があるが、今回は患者たちに触発されて、ドクターたちの“過去の傷”もクローズアップされた。
由香里から付きまとい疑惑をかけられていた黒岩は、常々「オレは素人の女には手を出さない」なんてうそぶいていたが、逆に女性から付きまとわれている模様。
6~7年前に「割り切った関係」だったという彼女は、「アナタの子どもだから」と息子を連れてきていた。女癖が悪いとは聞いていたが、子どもまで作ってたの!?
和子の「痛み」に反応していた西郡は、昔の女らしき電話相手から「アナタは逃げたの、あの痛みから」なんて言われている。
なにか持病を抱えているのか、それとも精神的な物なのか、それ以降、チョイチョイ手の震えが出ていた。
「トップナイフ」という触れ込みで東都総合病院にやって来たはずなのに、色々ワケありな過去がありそうだ。
……もうひとりの小机幸子(広瀬アリス)は、単なるポンコツなだけっぽいけど。
彼らの管理を深山に押しつけた今出川孝雄(三浦友和)は、
「キミが腹立たしく思っているドクターたちも、それなりの悩みを抱えているのかも知れないよ」
なんて言っていたが、腕は良いけどワケありなドクターたちが集められ、その再生を期待されているのでは……。
そう考えると、医療ドラマと見せかけて、問題児いっぱいで学級崩壊気味なクラスを教師・天海祐希が立て直す学園ドラマ的要素もあるのかも?
手術中に手の震えが出てミスを犯した西郡を優しくフォローしたり、パワハラ発言を受けた幸子をかばい、黒岩を問いただしたり……。なかなか「3年B組深山先生」感がある。
そんな深山自身も、ワケありな過去を抱えているようだ。
第1話では「女帝」、今回は「氷の女」なんて呼ばれ、かつては「できない医者はあの先生の元で、どんどん辞めさせられた」という。
娘らしき人物から「誰かさんのせいで、私の人生メチャクチャだよ!」なんて言われた記憶もフラッシュバックしていたが……。
濱田マリ、10年振りのメイクに涙
ドクター側の事情の方に目が行ってしまったが、10年振りに顔の痛みから解放された幸子の姿には感動させられた。
冒頭、屋上から飛び降りたシーンでは、室内に大量の化粧品が散乱しており、化粧をすることが好きだった様子がうかがえた。
それなのに、10年以上もメイクどころか、顔を洗うことすらままならないというのは、相当につらいことだっただろう。
手術を終えて顔の痛みがなくなり10年振りに化粧をして夫と対面した幸子。
「10年振りくらい、いやもっとかな。何か変?」
「いや、きれいじゃないか。よかったな」
セリフは少ないが、濱田マリのぎこちない笑顔にグッときた。
「フレゴリ妄想」患者を演じた松本若菜もそうだが、話題性は少ないものの、手堅い仕事をするゲスト患者を揃えている。
まさかエンディングダンス、毎回違うの……!?
ラストには、深山の娘が登場。ワケあり感ビンビンだ。
そして、みんなが唐突に踊り出すことで違和感がぬぐえないエンディングのダンスシーン。
今回は、第1話とはまた別バージョンがオンエア。……もしかして、毎回変わったりするのか? どこに力入れているんだか。
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・TVer
・Hulu
「トップナイフ─天才脳外科医の条件─」(日本テレビ)
原作:林宏司『トップナイフ』(河出文庫刊)
脚本:林宏司
音楽:横山克、鈴木真人
主題歌:JUJU 「STAYIN' ALIVE」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
医療監修:新村核、岩出康男、谷川緑野、本田俊哉、松本尚、中村光伸
看護指導:石田喜代美
医療CG:奥山正次(デキサ)、横山敦子(GAIN)
医療担当助監督:竹中修
医療協力:セコメディック病院、第一会若葉クリニック
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴木亜希乃、茂山佳則
演出:大塚恭司、佐久間紀佳、茂山佳則
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ