【のん連載#3】阿部真央と“KAIWA” 怒りをエネルギーにエンジンがかかる<NON女子KAIWA>

NON女子KAIWA #3

【のん連載#3】阿部真央と“KAIWA” 怒りをエネルギーにエンジンがかかる<NON女子KAIWA>

のんが立ち上げた自主レーベル「KAIWA(RE)CORD」。その象徴と言えるライブイベント『NON KAIWA FES』の第2回目が2月29日(土)に開催される。前回の出演者はすべて男性アーティストだったが、今回登場するのは女性アーティストばかり。「女の子の怒りはポジティブなパワーになる!」をテーマに、のんシガレッツ、阿部真央、リーガルリリー、チリヌルヲワカの4組により、パワー溢れるガールズロックフェスが実現することになった。

たかはしほのか(リーガルリリー)、ユウ(チリヌルヲワカ)と続いた出演者対談連載「NON女子KAIWA」もいよいよラスト。のんがカラオケに行けば、この人の楽曲は必ず歌っているという阿部真央と、今回も「怒り」をテーマに“KAIWA”する。

取材・文/前原雅子
題字/のん
編集/田上知枝(エキサイトニュース編集部)


女性の怒りと男性の怒り


【のん連載#3】阿部真央と“KAIWA” 怒りをエネルギーにエンジンがかかる<NON女子KAIWA>

──初めて会ったのはいつですか?

阿部真央(以下、阿部):昨年の大晦日ですね。『COUNTDOWN JAPAN』に出演したんですけど、のんちゃんが観に来てくれて。

のん:この度はありがとうございます。

阿部:いえいえ、こちらこそ。前からラジオとかで曲をかけてくださっているのは知ってたので。声をかけていただいて嬉しかったです。光栄です。

のん:いえ、こちらこそ嬉しいです。今回、女の子は怒ってるんだー!っていう気持ちで「女の子の怒りはポジティブなパワーになる」っていうコピーをつけたんですけど。あと、怒りって単に負の感情じゃなくて、前向きに明日を生きる力になるんだっていう気持ちもあって。

阿部:なるほど、淀んでない怒りはっていうことね。

のん:でもそういう気持ちって男性にはわかりにくいみたいで。男性の記者さんに「どういうことですか? ちょっと持ち帰ります」みたいに言われたりします。

【のん連載#3】阿部真央と“KAIWA” 怒りをエネルギーにエンジンがかかる<NON女子KAIWA>

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阿部:「女の子の怒りはポジティブなパワー」って、強さっていうことなのかな、それとも発散して次に行くみたいな感覚?

のん:例えば曲に込めることでエネルギーになって、エンジンがかかるみたいなイメージですね。

阿部:女の子は怒ってる、かぁ。……でもたしかに男性のアーティストって、怒っている人は実はあまりいないですよね。怒ってるようなサウンドのロックバンドは多いけど、歌っていることは綺麗な歌詞だったりして。だから女々しい人ほどちゃんと怒ってる。高橋優くんとか。怒られそうだけど(笑)。もしかしたら怒りをストレートに出すって、女性的な思考なのかもしれないですね。

──男性は抱え込む?

阿部:そう。抱え込むし理性的。だから女の人は感情的で男の人は理性的っていうところに辿り着くのかもしれないけれど。実際、生まれてくる作品とかパフォーマンスも、女の人のほうがダイレクトに怒りとか感じますよね。演技でもそうでしょ、怒る演技は女優さんのほうが見ていてグッと引き込まれるもんね。

のん:女の人は感情のほうを大事にしているっていうか。でも男の人は理由が先に立っている感じがしますよね。

阿部:そう。良い悪いじゃないんですけど、それは感じるな。きっと強いんでしょうね、女の子のほうが。怒りに対しての耐性があるというか。

のん:あ、そうかも。カラッとしてる。

阿部:そうだと思う。自分のなかで生まれる怒りにも慣れてるし。大人になると、月イチで変わるバイオリズムでイライラする時もあるじゃないですか。そういうのにも慣れてるし。自分の感情と向き合うことに慣れているかもしれないですね。

のん:なるほど、それはあるかもしれない。

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阿部:だから怒りに気付くのも早いし、怒りが表に出るのも早い。

──処理するのも早いかもしれないですね。

阿部:うん、早いかもですね。逆に男の人のほうが現実的というか。「明日も仕事があるから、もうこの話はやめましょう」って言えるとか。日々の仕事やタスクをこなすことに長けているぶん、感情を押し込めちゃう。その点、女の子はダイレクトだから気分の浮き沈みが出やすいみたいなとこ、ありますよね。

のん:沈んでると、スケジュール組めないですよね。

阿部:組めない。ホント組めない、なんもできないですもんね。

「ふんっ!」と怒って、「ボンッ」と殴るのん


──怒りの感情を曲にすることもありますか?

阿部:ありますね。ありますけど、怒っている時は書けなくて、だいぶ復活してきてから書くっていう感じです。失恋の時も悲しい時も、そう。立ち直ってからじゃないと書けないですね。

のん:私は怒っている時が頭がいちばん回転するっていうか、冴えるんで。そのまま書き始めますね。

阿部:書いたら発散にもなる?

のん:うん、そうですね。そっちに集中して、なんかまた頑張るぞ! っていう気になっていくっていうか。じゃあ、阿部さんは怒りを表に出さないほうなんですか?

【のん連載#3】阿部真央と“KAIWA” 怒りをエネルギーにエンジンがかかる<NON女子KAIWA>

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阿部:TPOによりますね。身内のスタッフだけの時はけっこう言いますし、彼氏にはもっとですね、すぐ怒る(笑)。

のん:溜めない。

阿部:溜めちゃダメですね。彼氏に対しても、仕事に対しても。だってちゃんと伝えとかないと二次被害、三次被害がどんどん起きちゃうんで。だから怒るっていうよりは、文句を言う。

──わだかまりがあるなら、その場で言うほうが被害が少ない。

阿部:そうそう。特に仕事って人間関係がベースだから。最初の頃は気持ちをどうやって伝えていいかわからないから、わーって怒ることが多かったんですけど、それじゃ意思の疎通はできないから。そういうことを20代で学びましたね。

のん:自分の怒りは信用できるほうですか?

阿部:できますね。

のん:なんか、「これ、怒ること……?」って足踏みしちゃう、みたいな声もありますが。

阿部:わかる。すごくわかります。恋人でも友達でも仕事仲間でも「……?」と思うことってあるじゃないですか。でも「自分が変なのかな……」「我慢すればいいのかな……」と一度は思うんですよ。だけど何カ月か経ったとき、最初に感じた「……?」は大きな事件になったりしてね。あぁ「……?」は正しかったんだなっていうこと、私は多かったので。

のん:なるほど……。あと私、自分が怒っている状態が好きっていうのがあって。

阿部:えっ? 変わってる、それ。どういうこと?

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のん:負の感情で、恨みみたいなのが混ざってる怒りだったら楽しめないんですけど。睨んだり唸ったりしながら、仲のいい人と話してるのが好きっていうか。

阿部:その人に対して怒ってるってことですか?

のん:そうです。えっと、んっと……絡むっていうか。

阿部:絡む……、仲の良い人に?

のん:そうです!

阿部:それ、独特な感情だなぁ。初めて聞きました。

のん:「ふんっ!」って殴ったりとか。ちょと乱暴に絡んでくのが好き。ケンカじゃないのにケンカ売るみたいな。

阿部:それは結局どこに落ち着くんですか?

のん:「もうやめなさい」って仲裁してもらって終わる。

阿部:仲裁をするんだ、第三者が。

のん:そうですね。だからなんか猫のプロレスごっこみたいな。

阿部:それってどこがいいの?(笑) 発散になるっていうこと?

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のん:発散になるのと……あと、なんか楽しい、面白いなって。殴ったフリとかもすごい好きです。「ボンッ」って殴るんですけど。

阿部:もうね、その感じ、ただただ可愛いですけどね(笑)。でものんちゃん、どういう時に怒るの? 話を聞いてると、けっこう怒りの沸点、低そうじゃないですか(笑)。ちょっとしたことで怒っちゃう? ほら、私も知っとかないと、ライブまでに。危ない、危ない(笑)。

のん:一番多いのは、自分の思ったことが伝わらない時、すぐに「ふんっ!」ってなっちゃうんですね。

阿部:思いが伝わらないと、ってことですね。

のん:そうですね。特に仲の良い人とかだと、全く同じ気持ちでいたいっていう思いが強いから、考え方が違ったりすると「ふんっ!」ってなります。

阿部:そうか、共感というか同調というか、同じ気持ちでいてほしいんですね。

のん:ですね。「なんでわかんないの!」って、そっちになりやすい。

阿部:理解者でいてほしいんでしょうね、仲の良い人とか、信頼している人には。

のん:だから悲しくなるより怒りになっちゃうというか。自分のほうが正しいって思っちゃうから、怒るんでしょうね。

理詰めで逃げ場をなくす阿部真央


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――阿部さんはどんな時に怒りを感じますか?

阿部:私は仕事面だったら、潤滑に回らないことが、まずイヤですね。それと阿部真央チームは一丸となって動いているところがあるから、誰か一人でも相手に失礼なことをしでかすと「阿部真央のスタッフが」ってなるから、それもイヤ。日常生活でもそうですけど、失礼な人はホント嫌いです。

のん:そういう時は文句を言う?

阿部:言う。しかも怒ると理詰め。言葉が出る出る(笑)。だから意外と、のんちゃんみたいな怒り方をしてくれるほうが相手は逃げ場があるかも。

のん:逃げ場をなくすんですね。

阿部:私はそうです。

のん:逃がさない。

阿部:絶対負けないもん、口喧嘩だったら。

のん:怖いですね、逃げ場がないのって。

阿部:怖いよ~(笑)。でも、これでもだいぶよくなった。10年前とかはガッチガチだったんで。なんていうのかな、クソ真面目みたいな。失礼があっちゃいけないと思うあまり、逆に相手に気をつかわせることになるっていうことを10年間で学びました。だから思うままに怒っているほうがいいんですよ。

のん:よしっ!(笑) でも歌っている時は最初から「オラオラ」ですよね。

阿部:と見えるじゃないですか。でもホントはもっとオラオラしたかったんですけど、いろいろ考えて、ああなったんです。私、ステージに立っている時もわりと冷静で。「こっちばっか見てるから、次はあっち見ないとな」「2曲前のハンドマイクの曲、こっちから歩いて行ったから、今度はそっちから行こう」「次は上も見ないと」みたいなことをずっと考えていて。

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のん:プロデューサー目線なんですね。

阿部:そういうとカッコいいですけど。なぜか冷静になっちゃうんですよね。

のん:自分に対しても逃げ場をなくす、みたいな。う~~ん、カッコいいですね。

阿部:えっ? カッコいいですか?

のん:はい。思っちゃいました。

阿部:イェーイ! これ、書いといてください(笑)。

のん:でも私も怒り方が変わってきたかもしれないです。前は自分の怒りを信用しすぎてて、自分が一番正しいって思ってたから。怒りも全部出しちゃって。なんか攻めるっていうか、相手に対して「傷つけ!」と思って言っていた気がします。

阿部:すごいわかる。けちょんけちょんになればいいのにって思うよね。

のん:理詰めだから、よけい逃げ場がなくなりますよね。すごい、いいですねー。

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阿部:やってみます? 理詰め、練習します?

のん:練習したいですね。

阿部:やめたほうがいいと思う(笑)。

のん:(笑)。理詰めをやってるとこ、見てみたいです。

阿部:見ます? 怖いよ(笑)。

のん:……遠くからにします。

友達までのハードル


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──今回のような対バン式のライブは好きですか?

阿部:昔はすごく苦手だったんですけど、最近好きになってきました。デビューして5年目くらいから、アーティストの友達も増えてきたりして。そこから対バンが怖くなくなってきて、むしろ今は楽しいくらい。のんちゃん、アーティストとかの友達は多いですか?

のん:全然いないですね、お恥ずかしながら。

阿部:たぶん人見知りですよね?

のん:人見知りですね。

阿部:あと、友達までのハードルが高くないですか?

のん:あ、そうかもしれないです。

阿部:私もイヤだけど、「俺たち友達!」みたいに言われるの、すごいイヤなタイプじゃないですか? 「私とプロレスの一つもしてないくせに友達ヅラすんな」ってタイプだと思いますよ(笑)。

のん:あははははは(笑)。そうやって人を分析しながら見ているんですね。

阿部:そうなんです~(笑)。

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のん:でもたしかにそんな感じです。

阿部:本当に心を許した人しか、のんさんのなかでは友達じゃないんでしょうね。あとは友人とか知り合いみたいな括り。友達としては、それくらいの人数しか必要ないんですね、きっと。

のん:分析されてるー。でもわかりやすい(笑)。相談、めっちゃされそうですね。

阿部:そうなんですよ、すごいされるんです。ファンの人にもですけど、プライベートもわりと多くて。

のん:相談したい時はどうするんですか?

阿部:しないです。自分で決めます。

のん:自分にも本当に逃げ場を作らないんですね。

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阿部:相談って、いろんな人の意見が欲しかったり、決めるまでの一押しが欲しいだけだから。結局は、その人が答えを決めるわけで。その作業を私は一人でやっているだけで。相談しない人っていうのは、そういうことかも。だからそこがちょっと男っぽいんですよね。

のん:お~~、すごい。やっぱりカッコいい!

阿部:そうですか? 嬉しい。あの、これも書いといてください(笑)。

ライブ情報


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NON KAIWA FES vol.2
【日程】2020年2月29日(土)
【会場】東京・EX THEATER ROPPONGI
【時間】16:00開場 / 17:00開演
【出演】のんシガレッツ / 阿部真央 / リーガルリリー / チリヌルヲワカ
【チケット】1Fスタンディング¥6,500、2F座席指定¥8,000(ともに税込)
※未就学児童入場不可
【問い合わせ】クリエイティブマンプロダクション(TEL. 03-3499-6669)

e+
https://eplus.jp/nonfes/
ぴあ
https://w.pia.jp/t/non/
ローソンチケット
https://l-tike.com/search/?lcd=73933
LINEチケット
https://ticket.line.me/sp/nonkaiwafes_2

Profile
のん

女優、創作あーちすと。

1993年、兵庫県生まれ。2016年公開の劇場アニメ『この世界の片隅に』で主人公・すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭「審査員特別賞」を受賞、高い評価を得る。作品は同映画祭で作品賞、第40回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。

2017年に自ら代表を務める新レーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足。シングル『スーパーヒーローになりたい』『RUN!!!』とアルバム『スーパーヒーローズ』をリリース。2019年にはミニアルバム『ベビーフェイス』、デジタル配信限定シングル『わたしは部屋充』をリリース。2020年2月にはのん主催のフェス『NON KAIWA FES vol.2』の開催が決定している。

創作あーちすととしても活動を行い、2018年自身初の展覧会『‘のん’ひとり展‐女の子は牙をむく‐』を開催。

2019年には初めての舞台『私の恋人』へ出演。1年半の軌跡を追った映画製作ドキュメンタリーYouTube Originals『のんたれ(I AM NON)』と初監督映画『おちをつけなんせ』、劇場アニメ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開された。

来る3月6日にはヒロインを演じた映画『星屑の町』が公開になる。


関連サイト
オフィシャルサイト@non_staffnews@non_kamo_ne


Profile
阿部真央(あべまお)

2009年1月21日、アルバム『ふりぃ』でデビュー。等身大でリアルのみを綴った歌詞と、バラエティに富んだ楽曲ごとに変化する、表現力豊かなヴォーカライゼーションは高く評価され、同世代の女性を中心に幅広い層からの支持を得るシンガーソングライター。デビューイヤーから夏フェスの大舞台でのライブに出演し、その圧倒的な存在感をともなったライブパフォーマンスも高く評価されている。2020年1月22日、9枚目のアルバム『まだいけます』をリリース。3月14日からツアー『阿部真央 らいぶNo.9』を開催する。


関連サイト
オフィシャルサイト@abemao_staff


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