上島竜兵ばりに嫌がりながら振る春樹
春樹の株が下がり続けている。ケイトとの破局を察した小泉愛花(関水渚)に告白され、彼はそれを受け入れた。小泉とエレベーターを待っていると、ケイトと鉢合わせしてしまう。エレベーターに入り、ボタンを連打してドアを閉めようとする春樹の慌てぶり。新恋人の存在がバレたくない気持ちがだだ漏れだ。
交際にあたって、春樹は小泉に釘を差した。
「あのさ、1つだけ約束してほしいんだ。なぜ真壁さんと別れたか、その理由だけは聞かないで」
ダチョウ倶楽部・上島竜兵の「押すなよ、絶対押すなよ!?」じゃないんだから。聞いてくれと言わんばかりの振り。春樹はもう、言いたくてたまらなくなっている。
ケイトと尾高が2人で話していると、春樹はいまだに顔を曇らせる。彼はケイトへの想いを引きずっている。良い感情も悪い感情もケイトに向きっぱなしだ。
今作は1話完結のお仕事パートと、ケイトの出生の秘密、そしてケイト─尾高由一郎(柄本佑)の恋愛パートの3つの歯車で成立している。そんな中でぶっ込まれた春樹と小泉のキスシーン。若い2人の恋愛パートはただの蛇足と思えなくもない。
いや、抑えの効かない春樹がケイトの秘密を喋り、それを聞いた小泉がケイトの過去を公にする……という展開が容易に予測できてしまうのだ。一見どうでもよく思える春樹&小泉カップルは、ケイトの天敵になるかもしれない。
自分の仕事に疑問を持った尾高と、持ち始めたケイト
元警察署長の沖田秀則(勝野洋)が孫を殺害したという事件が起きた。明らかに、元農林水産省事務次官の長男殺害事件をモデルにしている。動機について、沖田は口を閉ざしたままだった。
ケイトは無差別殺人の犯行動機を語らない乃十阿徹(小林薫)を事件と重ね合わせ、記事が書けなくなってしまった。倫理観がぶっ壊れ、人のプライベートに土足で踏み込んできたケイトが、初めて自分の仕事に疑問を持った。
目の前に死にそうな人がいても、助けるよりシャッターを切ることのほうが大事じゃないとできない報道カメラマン。尾高は自分の仕事に疑問を抱き、動物カメラマンに転向した。
沖田は孫が保育園の爆破を計画していた事実を隠し、孫の尊厳を守るべく、黙して罪を被ろうとした。記事に書くことは沖田の思いを踏みにじる行為であり、そこにケイトは疑問を持ってしまった。
乃十阿が犯行動機を語らないのも、きっと何か特別な理由がある。沖田と同じように乃十阿は誰かを庇っている。その真相こそ、「知らなくていいコト」のはずだ。
妻帯者の尾高にしたたかに近付くケイト
尾高は乃十阿が事件を起こしたキャンプ場にケイトを連れて行った。「ここにケイトが1人で立ってる姿は想像したくない」という理由からだ。
「昔なじみだから」(尾高)
妻子のいる尾高。ケイトに惹かれる自分に「昔なじみ」という言葉で必死に釘を差しているように見える。
「母の納骨はもうした」というケイトの言葉は強がりだった。酔ったケイトを家まで送り届けた尾高は、リビングにある遺骨を目にする。ケイトは「見ないで」と慌て、尾高は「何も見てないよ」と返す。
どう見てもケイトは尾高に甘え過ぎである。相談を持ち掛け過ぎだし、既婚者に対しての距離感ではない。春樹を振り回す小泉の小悪魔っぷりは後味が悪かったが、優しき尾高の“ほっとけない女”であろうとするケイトの態度もしたたかだ。しかも、彼女はだんだん止まらなくなってきている。お互い満更じゃなさそうなので、いつ間違いが起きてもおかしくない。
直後、奥さんから尾高にLINEが届いた。「明日の朝、保育園送ってくれるよね?」「そのつもりだよ」。保育園に届けているということは、尾高の家庭は共働きなのだろう。
尾高の生活を見ていると不思議だ。なぜ自宅に帰らず、仕事場で寝泊まりしているのか。「今日も晩御飯いる?」「編集長と焼き鳥いくので大丈夫です」という夫婦のやり取りは妙に事務的だし、夕食を食べないのが基本のようにも見える。
尾高の家庭は本当に円満なのか? 奥さんが知ったら、頻繁に2人きりでいる夫とケイトの親密さはほとんどアウトだろう。
今夜放送第6話で、ケイトは乃十阿からホースで水をかけられる。予告映像では、ケイトと尾高の2人がホテル……恐らくラブホテルにいるシーンがあった。体が濡れたケイトを流れで連れて行っただけかもしれないが、いくら何でも危ない。「今はまだ不倫じゃない……」とケイトは自分に言い聞かせるが、あともう半歩で一線は容易に越えてしまえそうだ。
ちなみに6話で週刊イーストが追うのは、人気棋士と女優の不倫騒動である。
(寺西ジャジューカ)
『知らなくていいコト』
脚本:大石静
主題歌:flumpool 「素晴らしき嘘」(A-Sketch)
音楽:平野義久
演出:狩山俊輔、塚本連平 ほか
プロデューサー:小田玲奈、久保田充、大塚英治(ケイファクトリー)
チーフプロデューサー:西憲彦
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中