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「エール」44話 裕一の初めてのレコード。古関裕而と野村俊夫の「福島行進曲」


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第9週「東京恋物語」44回〈5月28日 (木) 放送 作・清水友佳子 演出・橋爪紳一朗〉


「エール」44話 裕一の初めてのレコード。古関裕而と野村俊夫の「福島行進曲」
イラスト/おうか

44回はこんな話


福島から上京して2年、裕一はついにプロの作曲家となる。
裕一(窪田正孝)、鉄男(中村蒼)、久志(山崎育三郎)の3人で酒を酌み交わしたとき、鉄男が書いてきた「福島行進曲」という恋の詞に裕一が曲を書き、それが初めてのレコードになった。ただ、残念ながら歌は久志ではなかった。

私って強欲?


鉄男が酔って騒いで大変だった一夜が明けて、音が学校でそのことを眠そうに話すとき、つい漏れ出た「主人」という言葉に同級生たちはびっくり。

「いま、主人って言った?」
「人妻で、学生で、カフェーの女給ってこと?」

妻、学生、女給……3つも属性を持つなんて信じられないようで、千鶴子は音を「強欲」と責める。
子供のときからすべてを犠牲にして、歌一筋でやってきたから、音のような人に負けたら立つ瀬がない。千鶴子は、「椿姫」のヴィオレッタを勝ち取ってみせると宣戦布告する。

禁欲 VS 強欲

人生で誰もがぶつかる問題であり、朝ドラでもこの問題は必ずと言っていいほど出てくる。いわゆる、仕事と恋、仕事と結婚。仕事と子育て。ふたつとも取るか、どちらを選ぶか、主人公が選択を迫られ悩むのである。

「エール」の主人公は音ではなく裕一だが、彼はかつて藤堂先生(森山直太朗)に「何かを得るためには何かを捨てろ」と言われている。そして故郷を捨てて、音楽と音を取った。

音の場合、大事なものをひとつも捨てずにいまがある。そして彼女はそれを強欲だとは自覚していない。いつの間にか豊橋に戻って軍人さんと結婚の準備が進んでいる姉の吟(松井玲奈)がふいに東京に出てきていて、音に「強欲上等」と背中を押す。

ただ、音の場合、自分の意志とは別に、幼いとき、大事なお父さんを早くに失っている。なにひとつ失うことなく人生を謳歌しているわけではないのである。彼女の場合は、そこで人生のバランスをとっていると言ってもいい。ちなみに、お父さんは熱心なキリスト教信者であったはずで、キリスト教では「強欲」は罪とされていた。音は、父の死と共に「強欲」は罪であるという概念を失ったといえるかもしれない。

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「「エール」44話 裕一の初めてのレコード。古関裕而と野村俊夫の「福島行進曲」」の みんなの反応 1
  • 匿名さん 通報

    音さんが夜遅くまで水商売で働いていても、文句言わずにお客さんに酒と肴を用意する裕一さんは、この時代には珍しい寛容な男ですね。変わり者?

    1
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NHK「連続テレビ小説」第102作目のテレビドラマ。窪田正孝、二階堂ふみが、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而と、歌手としても活躍したその妻・古関金子を演じる。2020年3月30日~放送中。

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