
新型コロナウイルスの影響により、東京ディズニーランド/東京ディズニーシー両パークの臨時休園が続いている(2020年6月現在)。大阪府のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(ユニバ、USJ)」が6月8日から段階的に営業を再開したこともあり、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの再開を心待ちにしている人も多いはず。
そんななか、日用品や小物など身近にあるアイテムを駆使して自宅でディズニーパークのアトラクションを再現した動画が話題だ。そのクオリティの高さに視聴者から「ディズニーに行った気分になった!」というコメントが相次いでいる。
動画配信元のYouTubeチャンネル「SNACKS」を運営している人物は、NHK大河ドラマ『いだてん』への出演歴もある俳優の三永武明。セット作りから動画編集まですべて1人で行っているそうだ。動画内にも自ら出演し、俳優ならではの表情豊かな演技でアトラクションのキャストやゲストを演じている。今回のインタビューではそんな彼にディズニー愛あふれるトークを繰り広げてもらった。
大好きなディズニーパークが休園 なんとかしようと考えた

――なぜ自宅でディズニーのアトラクションを再現しようと思ったんですか?
とにかくディズニーが大好きなんです。僕は高知県出身なのであまり舞浜のパークには行けなかったんですけど、子供のころからディズニー映画をたくさん観ていて大好きだったんですよね。それで大人になって上京してからはたくさん通いました。実際にパークに行ってみると、アトラクションで最先端の技術を使っていて感動してしまった。そんな大好きなディズニーパークがコロナ禍で臨時休園して行けなくなってしまったので、なんとかしようと考えて「子供のころから得意だった工作のスキルを使って自宅でアトラクションを作ってしまおう!」と思いついたんです。
――昔から工作が得意だったんですね。
はい。幼稚園のころから飛び出す絵本を自分で作ったり、小学生のときに子供部屋にお化け屋敷を作ったり、そういう立体工作が大好きでした。中学生のときに「読書感想画コンクール」で自分が描いた水彩画が最優秀賞に選ばれたこともありました。
――ディズニーパークのどんなところが好きですか?
繊細さです。アトラクションを体感して楽しむのも好きなんですけど、それよりもひとつひとつのアトラクションのディテールに注目してしまうんですよね。しっかりとしたストーリーがあって、その世界観を表現するために素晴らしい技術で細かいところまでセットが作り込まれてあって。行くたびに写真を撮ったりじっくりと観察したりしています。
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— SNACKS#おうちディズニー (@snacks_video) April 8, 2020
――ディズニーパークを観察して気づいたことはありますか?
いろいろあります。たとえばディズニーシーって園内がいくつかのエリアに分かれているじゃないですか。“マーメイドラグーン”とか“ミステリアスアイランド”とか。それぞれのエリアにはそれぞれの世界観があって、別々のBGMが流れているんですけど、実はエリアのつなぎ目のところは水の音が流れていたりするんですよね。なので歩いていると知らない間にBGMが変わっていて、違和感なく別のエリアに進むことができる。そういう細やかな演出がすごく好きですね。

――ディズニーアニメで一番おすすめの作品はなんですか?
一番を選ぶのはなかなか難しいですが……実は僕、ピクサー映画がとても好きなんです。ピクサー映画はどれもCG加工をはじめとした最新のテクノロジーを使っていて、本当に映像がリアルなんですよね。『トイ・ストーリー』や『バグズ・ライフ』、『モンスターズ・インク』はぜひ観てほしいです。
ストーリーをひっくるめてアトラクションなんだと気がついた

――トイ・ストーリーのアトラクションを自宅で再現した動画も素晴らしかったですね。アトラクションを再現するうえで気をつけていることはありますか?
まずは自分が好きなアトラクションのポイントを抑えることですね。トイ・ストーリーのアトラクションで言えば、最初に出てくる口をあけた大きなウッディ。あれがめちゃくちゃインパクトがあって好きなんです。そういうポイントをだいたい5つくらい揃えてから、自分の部屋を見渡してどうやったら再現できるのかを考えていきます。そしたら「あ、これは椅子でできるじゃん!」とか「キャリーケースがぴったりだ」とか思いつくんです。
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— SNACKS#おうちディズニー (@snacks_video) May 8, 2020
――いつも1人でセットを作っているんですか?
そうですね。基本的には全部自分でやっていますが、たまにカメラの撮影を友達に頼むことはあります。YouTubeチャンネルの「SNACKS」というのも、グループとか制作プロダクションではなくて、僕の個人アカウントなんです。
――ひとつの動画を作るのにどのくらいかかりますか?
セットの制作は平均すると3~4時間あればできちゃいますね。ただその前に構想する時間がありますし、セットを作った後に撮影と動画編集もやるので、すべて含めると2~3日はかかってしまいます。

――動画制作を通して再発見したディズニーの魅力はありますか?
本物のアトラクションの素晴らしさをあらためて感じましたね。やっぱり自宅だと空間的な制約もありますし、どんなに忠実に再現しても本物のアトラクションの壮大な世界観には敵わない。動画を作るたびに「やっぱりディズニーパークに行きたいな」って思ってしまいます(笑)。
――動画を作ることでアトラクションの見え方が変わることはありましたか?
たとえば「タワー・オブ・テラー」っていうアトラクションがあるじゃないですか。あれを自宅で作ってみて再発見したんですが、落ちるスリルがあればいいわけではないんですよね。もちろん乗り物が急降下するのも楽しいんですけど、それだけではなくて乗り物に乗るまでの間に登場する呪いの偶像“シリキ・ウトゥンドゥ”の紹介とかハイタワー三世のトークとか、そういったストーリーをひっくるめてアトラクションなんだってことに気がついたんです。

――視聴者から寄せられたコメントで一番印象に残っているのはなんですか?
「本当にディズニーパークにいる気分になった」という感想が一番多かったですね。僕にとっても一番心に残っている嬉しいコメントです。あとは「そのアイテムでこのアトラクションを再現したのか!」っていうツッコミがけっこうきて、「あ、気づいてくれた」って思って嬉しかったです。食べ物とか日用品を使ってディズニーのアトラクションを再現しているので、「家にあるモノを見るだけでディズニーを感じるようになった」っていうコメントもきて嬉しかったですね(笑)。
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ウォルト・ディズニーが言うように限りない夢を抱き続けていたい

――ディズニーの動画を出してから、YouTubeのチャンネル登録者数はどのくらい増えたんでしょうか?
ほぼ全員です(笑)。いま4万5,000人くらい登録していただいているんですけど、ディズニーの動画をやる前は1,000人にも満たなかったんですよね。1カ月でこんなに増えてしまったのでまだ気持ちが追いついていません。
――大きな反響に対してどのように感じていますか?
とにかくプレッシャーを感じています(笑)。もともとは身近な人たちに共感していただければいいと思っていたんですけど、いまはたくさんの方々から反響をいただいているので、いろいろ工夫しなければいけないなと。
――動画がきっかけで、これまでディズニーに興味がなかった人も「実際にアトラクションを体験してみたい」と思うようになるかもしれませんね。
そうなんです。そういったコメントもいただいていて、「今まではテーマパークとかアトラクションに興味がなかったけど、動画を見たら行きたくなってきた」ですとか、「最近ディズニーランドに行ってなかったけど、営業再開したらすぐにでも行きたい」ですとか。そういうコメントを見ると動画を作った甲斐があったなと思います。

―― ディズニー動画のシリーズは今後どのような展開を考えていますか?
ゆくゆくはライド系のアトラクションだけではなくて、ショーやパレードなどもいつか自宅で再現したいなと思っています。ゴミ箱を使ったパフォーマンスだったり、そういった細かい演出も再現していきたいなと思います。
――そうするとネタに尽きないですね。
そうなんですよ。終わりがないんですよね。ディズニーパークもどんどん新しいアトラクションが増えてますし。ディズニー創立者のウォルト・ディズニーの名言で「ディズニーランドが完成することはない。世の中に想像力がある限り進化し続けるだろう」という言葉があるんですけど、僕自身もそういうふうに限りない夢を抱き続けていたいなって思います。
1995年4月14日生。高知県出身。舞台俳優として活躍し、「パズル&ドラゴンズ」のテレビCMやNHK大河ドラマ『いだてん』などにも出演。2020年4月から自身のYouTubeチャンネル「SNACKS」でディズニーパークのアトラクション等を再現する動画シリーズを公開、大きな注目を集めている。