第13週「スター発掘オーディション!」 65回〈6月26日 (金) 放送 作・嶋田うれ葉 演出:野口雄大〉

65回はこんな話
コロンブスレコードの社運をかけた新人歌手オーディションの最終審査に落ちたプリンス久志とスター御手洗。納得しかねる審査ではあったが、久志だけは研究生として残ることができた。廿日市が意外にも
64回の視聴率は21.2%と今週の4回のなかでは最高。やっぱり歌の力は強い。あと、久志と御手洗のインパクトも大きかったのであろう。楽しいことはいいことである。盛りに盛り上げたコロンブスレコード新人歌手オーディションの結果は、帝都ラジオ会長の息子・寅田熊次郎(ジュノンボーイコンテンスト出身の坪根悠仁)・18歳が選ばれた。ドラマのなかに実際登場した受験者のなかでは一番歌はうまくなかったと思うが、顔はよく、若く、なんといっても帝都ラジオ会長の息子である。64回の上層部(小倉一郎ほか)の会議ではえらい人たちはみな彼を推し、廿日市だけが反対しているようだった。
この時点では皆が誰を推しているかは描かれず、これまでいけすかなさ満点だった廿日市が意外とまともなことを言っているらしいと期待しつつ、ふたをあけたら、上層部は歌のうまい人(たとえば、「鉄道唱歌」の岡島敦や「おそばに置いてほしい」の林喜一)を推して、廿日市は「あんなこと言ってるからダメ」と言って帝都ラジオの息子を推すといういやな展開になって、がっかりさせられるかもしれないと用心していところ、そこまで捻くれた展開ではなかった。
むしろ廿日市が見直される展開に。最初は相変わらず寅田におべんちゃらを言っていたが、調子にのっている彼をドスの利いた声で糺(ただ)すのである。
廿日市は音楽界の重鎮・小山田(志村けん)に頼まれ、しぶしぶ裕一と契約し、なにかと裕一に厳しく当たっていたので、売れている者にへつらい、売れてない者に厳しい、典型的な出世志向のいやなやつかと思っていたが、どうやら違ったらしい。
廿日市には廿日市の信念があり、いい歌が作りたいのであろう。結果を出している小山田の頼みは断れないが、西洋音楽かぶれで義務付けられた仕事をいっこうにしない裕一には厳しい。考えてみたら正論なのである。「福島行進曲」も藤丸の歌を選んだことや、有名な双浦環に歌ってもらえばなおいいという判断も間違ってない。廿日市は、実力がない人を無理に持ち上げることは一切していないのだ。