
いまショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」で気づけば右肩上がりにガツンとフォロワー数を伸ばしているアーティストがいる。“エンドレス青春”と大声で叫ぶ4人組のダンスパフォーマンスユニット、新しい学校のリーダーズだ。
しかし、なぜ新しい学校のリーダーズはここまでTikTokをバズり散らかすことができたのだろうか。新しいコミュニケーション手段として、アーティストからも注目されているTikTokの投稿のコツ、そして人気の秘訣も一緒に聞いた。
40万人超のフォロワー数でTikTokをバズらせている新しい学校のリーダーズ

――数ヶ月でガツンとフォロワー数を伸ばしていて驚きました。何万単位でフォロワーが伸びていますが、TikTokをはじめた経緯を教えてください。
SUZUKA:TikTokをはじめたキッカケは周りの人から「TikTokやったら面白くなるよ!」ってよく言われるようになって、「初めてみようか」ってノリではじめました。その時、一発目にTikTokっぽいことをした動画を投稿したら凄いバズって。そこからどんどん投稿しはじめて、そしたらファンの子に同世代の子が増えたっていう変化が起きましたね。
――そうだったんですね。アーティスト活動をする中でファン層の広がりが見えないって悩みを聞いたりすることも多いけど、新しい学校のリーダーズとしても目に見える変化があったんですね。
SUZUKA:もともと同世代の子はいたんですけど、よりライブに毎回来てくれました。主催ライブで若い子たちの割合はだいぶ増えたと思いますね。めちゃ、うれしいです。
――それはうれしいですね。投稿されているショートムービーの反響は?
MIZYU:いちばんバズってたのはSUZUKAさんがわたしの髪の毛を回して、「やめてよ!」って言って喧嘩になりそうなところを、わたしが二つ縛りを回転させてSUZUKAさんにぶつけるっていう動画(笑)。あとは4人揃って踊ってる動画とかもバズりましたね。
――踊ってる動画は40万以上の「いいね」がありましたね。動画は「こんなのが撮りたいね」って事前に話したりされてるんですか?
MIZYU:この動画は学校の前のバス停に椅子があったんですけど、「椅子2個あるからなんか撮れそうだね」って言って座ったところで勝手に始まりました(笑)。
――わりと突発的に撮影されているものも多いんですね。個人的には新宿で撮影されたスカートを押さえるマリリンモンロー風の動画も面白かったけど、あれも突発的に?
RIN:あれこそ突発的にだよね?! あれはTikTok用に撮ったものじゃなくて、結構前の過去の動画を掘り出して載せた動画なんですよね。遊びで撮ってただけの動画を「これ載せたら面白そうだね」ってなって載せてみました。
――じゃあ、遊びの延長で撮ってたものが動画になっているんだ。
KANON:そうですね。TikTok用に作ってない遊びで撮ってた動画を使う事も多いんです。
RIN:全員でダンスの動画を撮ろうってなった時は、もともとTikTokにあったものを「どうしたらリーダーズらしくなるかな?」って動いてみて、「これでいいじゃん!」って撮ったりはしてますね。
――ライブの印象とは違う側面を見せられるっていうのもひとつの魅力に繋がってるのかなって思いました。
MIZYU:TikTokから知ってくださった人は、ふざけてるとこしか知らないので、ライブ映像とか見て「え!? 一体、本当は何者なの?」みたいなコメントがあったりします(笑)。
――ギャップに驚きますよね。
RIN:そうですね。TikTokのお陰で多くの方にいろんな面を見て頂けるようになりました。
――個人的には自身の楽曲にあわせてライブ写真を載せていたり、映像を繋いだ投稿もバンド然とした新しい学校のリーダーズらしさが見られてよかったです。
MIZYU:ライブ映像を切り取って載せたのもあったんですけど、それからその曲を好きになってくれた初見の方も結構いて、それをキッカケにライブ来てくれて、「あの曲のあのシーンが生で観れてうれしかった」とか「あの曲を生ライブで聴くのが今年の目標です」とかそういう言葉をいただいたりもします。私たちは “ティックトッカーさん”ではないので、投稿をきっかけに多くの方にライブに来て頂き、あの熱い空間、エンドレス青春を体感して頂きたいですね。
――ワンマンのライブの映像拝見しましたが、すごくコンセプトがしっかりしてて活動も精力的におこなってますよね。
RIN:ワンマンライブはまだ2回しかやってなくて、主催ライブも頻繁にしてるわけじゃないんですけど、自分たちだけを見に来てくださっている方が集まってるワンマンライブっていう空間はやっぱり他のライブとは違うなって思いますね。
――ワンマンを実施する際にTikTokも活用しましたか?
KANON:やったよね、告知。イベントが終わったあとに、イベントの様子とかを載せたりだとか。
RIN:TikTokで見つけてもらった人には、アーティストとしてのLIVE映像をアピールしないと、認識してもらいたい自分たちと違う自分たちになってしまうので、そこを分かってもらうためにライブ映像を自分達で編集して「載せましたよ~!」って告知はしてました。
動画投稿から即完売となったリーダーズの靴下
――活動の中で思い出深い出来事は?
SUZUKA:高校のダンス部に行って、振付講座をしたんですけど、それが印象深いです。同世代の子たちと一緒に振付を考えて、多分リーダーズのことをめちゃめちゃ好きなわけではないと思うんですけど、すっごいノリノリになって一致団結してやってくれてたんです。新たにTikTokを見てる同世代の子たちが知ってくれて、「学校に来てほしい」とも言ってくれてるので、多くの学校に行けたらいいなと思います!
KANON:ミュージックビデオを撮影した中学に行って、ライブしたのは思い出深いですね。またその時みたいに、学校に行ってライブしたいな。
MIZYU:新しい学校のリーダーズは「ルールは守って、でも個性は出していこうよ」っていう自分たちが大切にしてるコンセプトがあるんですけど、学生は校則があるので、制服のスカートを短くしたりとかルールは破ることはできない、でも個性は出したい、それが出せる場所ってどこだろうってなったときに、靴下だなって思って靴下を作ろうって話になったんです。
――グッズになっている靴下ですよね?
MIZYU:はい。いろんな方に協力してもらって、『はみ出し靴下』ってのを作るようになって、いまとなっては10種類くらいあるのかな? 曲を出すたびに、テーマが増えるたびに作ってて。TikTokに映ったその靴下に注目してくれる人が多かったりもします。「この子達こんなダンスしておもしろい」ってコメントよりも、「え、なに履いてんの?」みたいなのが多かったりして(笑)、私たちらしさの一つの靴下が見てもらえて、評価をしていただけたのは嬉しいなと思います。
――靴下ってあんまり見られないイメージもあるけど、個性が主張されたものだと目を引きますもんね。動画から靴下に火がつくって面白い。
MIZYU:靴下が意外と自分たちの個性を主張していたみたいです(笑)。
投稿のコツはなりきることも大切だけど前提で楽しむこと

――普段はTikTokでどのような動画を見られてるんですか?
RIN:おすすめを流れて来るものたちを見させていただいて、面白そうなやつはみんなで見ます。そして「これ自分たちっぽくやってみよう」の繰り返しかな?
――そうなんですね。最近、真似してみたいと思った動画は?
SUZUKA:海外のめっちゃ腹筋バキバキの男の人が上半身裸でセクシーに踊ってるのとか、自分やりたいなと思うんですけど。まず性別が合わないんですよね(笑)。もし自分が男で腹筋バキバキやったら、セクシーに踊ったりしたいなーって思いますね。
――フィルター機能で腹筋バキバキになれるっていうのがあれば良いんですけどね(笑)。
SUZUKA:確かに!
――TikTokって、はじめるまでのハードルが高いって感じている人も多いと思うんですけど、投稿のコツやバズる秘訣みたいなものってあるのかな?
SUZUKA:なりきりまくってる人がおるイメージが強いんだと思うんですけど、なりきることも大切やけど前提で楽しむことが一番なんじゃないかなって思いますね。
MIZYU:見ててもやってても思うんですけど、「楽しそうだな」っていうの見てると楽しいですね。そういうのが多いんで「TikTokって楽しいな」って思えるし、自分たちも載せてるのを改めて自分たちで見ると、「楽しそうやないかい!」ってなります。
RIN:TikTokってもともと可愛らしい女の子とか超イケメンの男の子とかが撮ってるイメージが強かったんですけど、実際はじめてみると面白いことをやってる人、本格的に運動してる人、料理載せてる人もいて、凄い幅広いんだなって思う。いろんなコンテンツがあるからInstagramとかTwitterみたいに自分を発信するコンテンツとしてショートムービーが載せられる。オススメにいろんな国の人とか流れてきて知らなかった発見もあるから面白いなって思います。
KANON:そうだね、なんでもありな気がする!
――楽しそうと言えば、そこからギャグも生まれたりしてますよね? 麻布十番ネタとかパンチがあって面白かったけど、これこそなりきってる?
@japanleaders "ミマジ武夫"シリーズ新作きました。久しぶりぶりだね。##ミマジ武夫って誰ですか ##おうちで過ごし隊
オリジナル楽曲 - 新しい学校のリーダーズ
SUZUKA:小さい頃って家族ごっこが好きだったりするじゃないですか。
――美容師の動画は?
SUZUKA:美容師のは、あの鏡の部屋をお借りしてたので、「この鏡で何か動画撮ろうよ」って生まれたのがなぜか美容師だったんですよ。鏡あっただけで(笑)。
――そうして謎キャラが誕生するんですね。
SUZUKA:昔から人のモノマネをするのが好きだったんですよね。お笑い好きになったきっかけになった先輩がいるんですけど、その人とよく絶妙なところをモノマネするっていうのをして、どっちが上手く笑かせるかみたいなことをよくしてました。
ショートムービーでライブの予習ができる時代

――ふざけた動画だけでなく、配信中の「ケセラセラ」の振付が見られるのも個人的にうれしかったです。いま新型コロナウイルスの影響でなかなかライブができない状況ではあるけれど、ライブでこの曲がどんな風に成長していくのかも楽しみになりました。
MIZYU:独学のパラパラやってるんですけど、別の曲にも昔から入れたりしてて、あのシュールな感じは好きですね。
SUZUKA:ケセラセラはライブでやったらもっと可能性があるって思ってて。今はパンパーンってサビで盛り上がれる爽やかな感じですけど、自分たちがもっと大きくなっていけばいくほど、最後のほうのアンコールとかでやると、凄い心に染みるような、焼肉後のアイスみたいな感じの良い締めになると思います。
――コロナで大変な時期だからこそ響くものある曲だなって感じました。
SUZUKA:またお互いが距離を近づけて肩を組んで楽しめる、それが未来に絶対待ってるっていう風に思いながら、ステップを踏んで歌いながら聴いてもらえたら嬉しいです。
KANON:洗濯物を干しながら聴きたい。
RIN:太陽が出てるとき、昼間の洗濯物干すだとか、朝ご飯を作る時にめちゃくちゃピッタリだなと思って。ドライブとかもそうだと思いますけど「ケセラセラ」があう天気の日がイメージ的にあって、それを“ケセラセラ日和”って勝手に呼んでるんですけど。太陽の下でも雨の日でも「明日は晴れるよ」って思って聴いてくれればなんとかなるんじゃないかなと思います。
MIZYU:サビの最後も<明日はケセラセラ>。ケセラセラっていう言葉が「なるようになるさ」っていう意味なので、こんな時だからこそ「明日はなるようになるようになるさ」ってポジティブシンキングにどんどんなって欲しいなって思います。
コメント数が多いから、「これどう思う?」って聞きたくなる

――4人にとっていろいろ表現する方法ってあると思うんですけど、TikTokってどんなツールですか?
SUZUKA: 日常で生まれる簡単なお遊びみたいなのをすぐに形にできるから、自分たちが日常からひょこひょこ出してる魅力を簡単に伝えれるものなんじゃないかなって思いますね。
KANON:はじめる前は謎な部分が多かったグループなんですけど、ラフな部分を多くの人に知ってもらうきっかけになりました。
RIN:TikTokは「これで投稿するにはちょっとアレだし」みたいな絶妙な動画も載せられる。TikTokを見てる人だったら「面白がってくれそう」みたいな気持ちで載せれるものがすごい多いかもしれない。
MIZYU:簡単にコメントとか「いいね」が出来るじゃないですか。インスタとかTwitterで投稿するよりもコメント数が多いから、「これどう思う?」って聞きたくなる。載せたほうも反応を見るのが楽しいのがTikTokかなと思います。
――ある種のファンとのコミュニケーションの新しいツールにもなっているのかもしれないですね。リーダーズとしては、これからどんなことを発信していきたい?
SUZUKA:新しい学校のリーダーズを見て同世代の子たちが「コイツら、カッケー」「こんな奴らになりてー!」「ついて行きてー!」みたいに思ってくれる存在になっていきたいですね。大人の人たちには「この子たちには未来任せられるんちゃうかな?!」みたいな期待をしてもらえるような若者の存在になりたいです。
――頼もしいですね。
KANON:青春日本代表って活動しているんですけど、ライブをする上でもTikTokでも「応援したいな」って思われる存在でいたいですね。
RIN:リーダーズって言う位だからリーダーみたいに引っ張っていきたい。ライブももっとして、どんどんどんどん大きくなっていってTikTokをフォローしていてくださっている方が全員ライブに来て、とんでもない規模でライブがしたいです(笑)、新しい学校のリーダーズはアーティストとしてこういう活動をしてるっていう認識をもっと知ってもらえたらって思います。TikTokでもライブやりたいですね。
――いま生配信ライブも積極的にやってるので、生配信ライブとかできたら楽しそうですね。
MIZYU:普段ライブに足を運ばないような人とかも、「リーダーズなら行ってみたい」って思ってもらえたらと思います。自分で見てても、青春を謳歌してる感じが本当すごいと思うんですよ。学生のエネルギーは半端ないけど青春は学生だけのものじゃなくて、大人になっても「今を全力で楽しんでいたら青春だよ」っていうのを伝えていきたいんで。私たちは一生、青春し続けると思いますし、“自称青春日本代表”ですけど、「自称じゃない青春日本代表だ! じゃじゃじゃ〜ん!!」みたいな感じになれたらいいなぁって思います(笑)。
(取材・文:後藤千尋)
「歌い踊るセーラー服、青春日本代表。」と称され、現代社会を強く、楽しく生きるべく、個性を発揮し、社会に怒られないレベルで、個性や自由を表現し 【はみ出していく】 それが新しい学校のリーダーズ。ライブや音楽、ダンス、前衛的動画など378度くらいの全方位で、もっと自由にもっと個性を出していける社会になる事を望み、ざわつきを生み出し続ける四人組。楽曲の振付、および演出などは全てメンバー自身が考案・構成している。