『キワドい2人』繊細な演技の山田涼介と柔軟な田中圭 質の違う二重奏だからこその妙
イラスト/ゆいざえもん

明るみになる黒木と神崎のキワドい関係 『キワドい2人-K2-』5話

キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木(TBS系 毎週金よる10時〜)最終回目前の第5話は、黒木賢司(田中圭)神崎隆一(山田涼介)のキワドい関係が明るみになっていく。

【レビュー】山田涼介
どんな姿・場面であっても、その瞳の輝きにいつも惹きつけられる“最高のアイドル”


冒頭は、賢司と隆一と彩乃(関水渚)の愉快な会話。日本家屋の居間でモンブランを食べながら「漫才ポリス」「DJポリス」とか「筋肉ポリス」とかたわいない話をして盛り上がる3人はすっかり3人きょうだいのようだ。
そこに猫もいて、日本の家族っていいな♪ と思わせる。

そうはいっても、赤の他人の彩乃がこんなに入り込んでくる必要性があるのか疑問も感じるが、のちのちその意味はわかる。それについては後述する。

ふいに信州で蕎麦屋をやっている賢司と隆一の父・神崎賢造(椎名桔平)が訪ねてきて、気を利かせた賢司が彩乃を送っていく間に、隆一と賢造は話し合う。

「おまえに話があってな……」と切り出す父に、「僕も話があって……」と隆一が先に話し出して、父の話を遮ってしまう。「兄弟がいることが嬉しいんだ僕」と無邪気に微笑む隆一に、何も言えなくなってしまう賢造。隆一、父の話も聞いてあげて!

話ができずに帰る道で賢司と会ったお父さんは、隆一の母親の手紙を託す。

「俺に何かあったときは……」と意味深なことを言って去っていく賢造は、第4話のラストに描かれた植田(中村育二)銃殺事件と、続いて起こった元警官・安藤の銃殺事件の容疑者になる。2人はかつて神崎の上司と部下だったのだ。

この事件を関連付けるのが、賢司が思い出しては時々PTSDのようになる22年前の事件。父と一緒にいたファミレスで、中学生だった賢司の目の前で、井原(高橋努)という男が射殺された。幼い子供を人質にとって銃をつきつけたため、やむを得ない発砲だった。


発砲を行ったのが植田と安藤。彼らの殺され方は井原の撃たれ方と酷似していた。よって今回の一連の事件は、賢造の情報屋として働いていた井原を彼らが発砲したことへの賢造の復讐ではないかと警察は考える。とすると、そのときもうひとり現場にいた澤登副署長(六角精児)も狙われるかもしれない。

22年後の急展開。しかも元警官の賢造がいきなり容疑者。現場近くの防犯カメラに映ってしまっているうえ、タイミングよく賢造は姿を消していた。隆一は「おまえグルじゃないよな?」なんて疑われてしまう。

心配した賢司によって捜査から外された隆一は、独自に捜査を進め、井原家の墓で謎の女(仙道敦子)に会う。その日は10月4日。偶然にも、井原の命日だった。この謎の女は誰なのか。


その頃、賢司は、井原の事件に彼の内縁の妻・松原ひかりが関わっていたことを突き止めていた。謎の女とひかりは同一人物なのだろうか……。

お膳立てされていたかのようににわかに話が深刻になってくるが、彩乃が話をよけいに面倒くさくする。お母さんみたいになって、賢司に食事の世話をすることも、「隆一へ」という手紙を見つけて、おせっかいすることも、ことごとくうざ過ぎる! 

仕方ない。彩乃というキャラは、こういう役割を担うためのキャラなのだ。男だけの2人暮らしよりも、女性がひとりいたほうが華はあるし、彼女が2人に関わっていき、物事を動かしていくと話を書きやすい事情はわかる。

物語の世界には、こういうお役立ちキャラが必要なものだからこそ、彩乃がただただうざくなってしまわないように描いてあげてほしかった。やることなすことうざく描かれていて、不憫でならない。そんななかで演じる関水渚は無邪気で溌剌として、うざいと思う気持ちを跳ね返してしまう。

『キワドい2人』繊細な演技の山田涼介と柔軟な田中圭 質の違う二重奏だからこその妙
最終回は10月16日放送。画像は番組サイトより

彩乃から見せられた母からの手紙を読んだ隆一は、自分の秘密を知ってしまう。この手紙の素っ気なさに隆一が気の毒になる。こんなことだけ書いた手紙を残されても自棄になるってもんだ。
隆一は、賢司に「いつから知ってた? 質問に答えろ!」と問い詰める。

口調も表情もこれまでの隆一とは別人。「どうして(僕のところに)来たんだ!」と怒鳴って家から出ていく隆一に、やりきれない賢司と彩乃。3人で撮った写真を飾った写真立てが割れている。

冒頭で「筋肉ポリス」と言われるだけある山田涼介。今回も顔の筋肉をみごとに動かしている。顔の新体操競技があったら金メダル級である。顔も身体の一部であって、身体を鍛え、すばらしい筋肉の持ち主だからこその、表情筋の動き。くわっと極端に大きな表情の変化ではなく、神経質なまでに繊細に、凶悪犯の息子であったことを知り、アイデンティティーが崩壊していくさまを表情と口調で見せた。

対する田中圭も負けていない。しなやかな身体でどんな状況にも柔軟に合わせていく。山田が硬質なピアノとすれば、田中が弾力性のある弦楽器で、ピアノのメロディにやわらかに絡みついていく。
その質感のちがいは血のつながった兄弟でなかったことの説得力にもなるし、逆に質の違う二重奏だからこその妙がある。

次回最終回! どうなる澤登副署長! 

22年前の回想で、六角が若く見せるために前髪を厚めにしているのがチャーミング。そして、キャップをかぶった椎名桔平は、金曜ドラマの先輩であり、名作『SPEC』で彼が演じた公安の津田にしか見えない。
(木俣冬)

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番組情報

TBS 金曜ドラマ『キワドい2人-K2-』
毎週金曜よる10:00〜10:54
番組サイト:

https://www.tbs.co.jp/kiwadoifutari_TBS/

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