「見た目は子供 頭脳は大人」のコナンは本当に小学校に通えるの? 弁護士に聞いてみた

「見た目は子供 頭脳は大人」のコナンは本当に小学校に通えるの? 弁護士に聞いてみた
出典:Amazon/劇場版 名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン) [DVD]より リンク

名探偵コナンの行動を法的に解説してもらう本企画。前編(※関連記事参照)では作中でよく目にする麻酔銃やスケボーのシーンなどの“あるある”行動について村田浩一弁護士に解説いただいたが、後編となる今回は映画「銀翼の奇術師」の法的解釈や、コナンや工藤新一の探偵行動に関係する法律などを聞いていく。

「見た目は子供 頭脳は大人」のコナンは本当に小学校に通えるの? 弁護士に聞いてみた

小学生がヘリや飛行機を運転しても大丈夫なのか


――コナンは小学生で免許を持ってないんですけど、たまに車やヘリやボートを運転しています。あれは違法にならないのでしょうか?

基本は免許が必要ですね。ただ、ものすごく切羽つまった状況の場合は違法でないこともあります。

――崩れるビルから脱出する、爆発から逃げるとかでしょうか?

そうですね。緊急避難というものがあって「自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危機を避けるために止むを得ずにした行為はこれを免れる」という法律があります。

たとえば映画「銀翼の奇術師」ではコナンが飛行機を操縦するシーンがありますよね。

――飛行機での密室殺人をテーマにした映画ですね。

作中ではコナンが飛行機を操縦するシーンがありますが、これは法律上の「緊急避難」になると思います。コナンが操縦しないと機体が落ちるというところだったので、やむを得ずだと思います。
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――映画「天国へのカウントダウン」でも、車に乗って爆発から脱出するシーンがありますね。

そうですね。あれも運転しないと爆発で死んでしまうので、緊急避難になりそうです。
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ただ、コナンに関して言うならその場に毛利小五郎などの大人がいるなら頼った方がいいと思います。緊急避難はけっこう条件が厳しいですから。

――たしかに、何かと自分で解決したがるコナンですが、捕まらないためにもちゃんと大人を頼ってほしいですね。

見た目は子供だが頭脳は大人の小学生は小学校に通ってもよいのか


――では続いての質問なんですが、「見た目は子供だが頭脳は大人」の小学生は小学校に通ってもよいのでしょうか?

学校教育法で上限年齢が決まっているので、それを超えていなければ通えますね。コナンの場合は高校生かどうか特定もできないですから、大丈夫でしょう。

ただ気になるのが……作者の青山剛昌先生によると、帝丹小学校って私立の小学校らしいんです。

――そうなんですね!

これがもし公立の小学校だったら、住所さえあればいいんです。コナンは恐らく住民基本台帳には載っていませんが、毛利家の住所があるので公立の小学校なら入学できると思います。

ただ、私立の小学校だと入学のときに住民票などを出すことになると思うので……。帝丹小学校に、本当に入れているのかがわからないんです。
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――あれだけ毎日通っているのに、コナンも灰原哀も実は小学校に入れていないかもしれないんですか!

そうですね。住民票がないのでわかりません。それに、いまは小学校だからいいけれど、本人確認や手続きをするときも大変でしょう。

――住民票が必要になる前に早く黒ずくめの男を捕まえて元に戻ってほしいですね……。

小学生や高校生で探偵をするのは違法ではないのか?


――コナンはもともと高校生探偵だったんですが、これは労働関係の法律にはひっかからないんでしょうか?

これは雇用ではないので問題がないです。雇用というのは「お金をもらって命令されて労働すること」なんですけど、工藤新一を見ていると特に誰かから命令を受けているわけでもなさそうなので、労働関係の法律には引っかかってこないと思います。

――新一は自分で好きにやっているから大丈夫だということでしょうか?

そうですね。仮にお礼としてお金をもらったとしても、命令はされていないので大丈夫です。

――ただ、学生で探偵をやっているとかなりの頻度で参考人として呼び出される気がするんです……。

そうですね。参考人って子供でも呼び出されるんですよ。

知っている限りだと、3歳6カ月で証人として裁判所に呼び出された例があります。幼児でも証言できるとされているので、コナンぐらいの年齢なら呼び出されると思いますよ。

――もしかして我々に見えないところで、コナンは警察や裁判所に通い詰めているんでしょうか。

証拠って2種類あるんですね。ひとつは警察に取り調べを受けて、調書にまとめてもらうパターン。もうひとつは本人が裁判所で証人として証言するパターンです。

なので、書類で済む場合は裁判所に行かなくてもいいんですけど、どちらにしてもコナンはたくさんの事件で目撃者になっているので連日警察で取り調べは受けていると思います。

――彼は学校に行けているんでしょうか……。

どうなんでしょう。少年探偵団の5人もよく事件を目撃しているので、学校でいつもの5人が欠席になっているかもしれません。
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――なるほど。友人・元太たちの学校生活に響いていないことを祈るばかりです。

コナン以外の人たちの行動は法的に問題ないのか


――では最後にコナン以外の登場人物についてお伺いします。まずは毛利蘭について。空手で他人を制圧するのは法的に問題ないんでしょうか?

暴行や傷害にあたる可能性はあります。ただ、正当防衛の場合は違法ではありません。

たまに言われるのが「空手の有段者だから手を出したら傷害になる」というものですが、これは実際にはありません。段があるかないかに関わらず、生理機能を害したら傷害にあたりますし、正当防衛なら大丈夫です。もちろんやりすぎはダメですが。

――蘭はむやみには暴力を振るわず、ピンチになった時に繰り出している傾向が強いので、正当防衛のケースが多そうですね。

そうですね。私から見ても過剰な防衛という印象はありません。

――また、目暮警部たち刑事についての質問ですが、顔見知りだからと毛利小五郎や工藤新一に情報を教えたりしているんですけど、これは問題ないんでしょうか。

地方公務員法に違反していますね。この辺りはコナン以外の警察を扱う作品ならよく出てくるところですが、警察官ってランクが9段階あるんですね。

で、目暮警部、佐藤警部補、巡査部長の高木さんや千葉さんあたりは地方公務員にあたるので、地方公務員向けの法律に違反しています。ついでに言うと、服部平次のお父さんの服部平蔵は警視監で国家公務員なので国家公務員法になりますね。

こういう警察の組織図を見てみると、目暮警部が意外と偉くなかったり、高木さんより佐藤さんの方が偉かったり、子供の頃に見た印象とは少し違うかもしれません。

――小さい頃から見ているコナンですが、大人になって知識を持って見てみると意外な発見があっておもしろいです。本日はありがとうございました!

■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。

Twitter:https://twitter.com/_maishilo_
note:https://note.mu/maishilo

Profile
村田浩一

弁護士。2009年中央大学大学院法務研究科修了。2010年弁護士登録。根本法律事務所に在籍。近著『外国人雇用の法律相談Q&A』(法学書院、編集代表)が発売中。


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