『危険なビーナス』伯朗は母に教わった“人を信じる心”で墓穴を掘る? 信頼できない矢神家と楓
イラスト/ゆいざえもん

『危険なビーナス』4話 百合華の言葉と一字一句同じことを言う楓

11月1日に『危険なビーナス』(TBS系)の第4話が放送された。

【前話レビュー】伯朗と百合華に見せてしまった楓の本心。そこから楓の正体を推測する

3話のエンディングで支倉祥子(安蘭けい)が失踪し、祥子の娘の百合華(堀田真由)手島伯朗(妻夫木聡)に一緒に探してくれるよう頼み込んできた。
その際、百合華は伯朗に念を押すのだ。

「この話は絶対に楓さんにはしないでください。あき君(矢神明人/染谷将太)と連絡とれないし、結婚も急ぎすぎだし、私やっぱり楓さんは怪しいと思います」

たしかに、矢神楓(吉高由里子)は怪しい。4話では、特に気になる点が大きく2つあった。

(1)「お義兄様が見えたので侵入しちゃいました」
祥子の手掛かりを探すために支倉家を訪ねた伯朗は、祥子だけでなく夫・隆司(田口浩正)の部屋など家中を調べ回った。そんなとき、伯朗は何者かにうしろから口を塞がれてしまう。
楓だった。

「外からお義兄様が見えたので、つい。庭のところが開いてたんですよ。物騒ですよね(笑)」(楓)

このタイミングで支倉家に忍び込み、2階にいる伯朗に接触できたのはあまりにも間が良すぎる。

(2)伯朗と百合華の会話を盗聴していた?
百合華は楓を怪しんでいる。当然だ。
楓は怪しいことしかしていないのだから。百合華は明人と一緒に写った写真を伯朗に見せた。そこには、兄の伯朗も知らない表情の弟がいた。百合華は明人から伯朗の印象を聞いていた。

「あき君の言っていた通りでした。伯朗さんは心のまっすぐな人だって。
嘘がつけなくて、曲がったことが大嫌い。駆け引きも苦手。だけど、『兄貴はまっすぐで温かい、自分を犠牲にしてでもみんなに幸せになってもらいたいと考えるほどだ』って。私もそう思いました。もしも私があき君と結婚していたら、伯朗さんは私のお義兄様になっていたんですね。それ、最高だったのになあ……」(百合華)

お義兄様としての人気が異常に高い伯朗。
やはり、明人と百合華は付き合っていたのだと思う。

「伯朗さん、やっぱりちゃんと確かめたほうがいいいですよ。楓さんが本物のお嫁さんかどうか。ただ、こう聞くだけです。『明人は俺のこと何て言っていた?』って。楓さんが本物のお嫁さんなら、私がさっき言ったことと同じ言葉をあき君から聞いてるはずですから」(百合華)

伯朗はためらいながら楓に尋ねた。

伯朗 「明人は俺のこと、どんなヤツだって言ってた? 何か聞いてないか、俺のこと?」
 「心のまっすぐな人だって言ってましたよ。嘘がつけなくて、曲がったことが大嫌い。駆け引きも苦手。あっ、あと、こうも言ってました。『兄貴の心はまっすぐなだけじゃなくて温かい。自分を犠牲にしてまでみんなに幸せになってもらいたいと考えるほどだ』って」

百合華が言っていたことと一字一句同じである。
完璧すぎて逆に怪しい。伯朗と百合華の会話を聞いていたんじゃないだろうか? 彼女は伯朗が支倉家を訪問することを知っていたし、伯朗と百合華の会話の内容も知っていた。楓は伯朗にGPSと盗聴器を仕掛けた疑いがある。勇磨(ディーン・フジオカ)の車にGPSを付けたくらいだから、伯朗に同じことをしていてもおかしくない。

『危険なビーナス』伯朗は母に教わった“人を信じる心”で墓穴を掘る? 信頼できない矢神家と楓
第5話は11月8日放送。画像は番組サイトより

伯朗の母・禎子(斉藤由貴)は生前、伯朗にこう言い聞かせていた。

「勇気を出して相手を信じなくちゃいけないの。信じて信じ続けていれば、いつか向こうも信じてくれる」

楓の素性を怪しんだ伯朗は母から教わった“人を信じる心”で、楓のことを信じることにした。彼が人を信じやすいのは、幼い頃の育てられ方からきている。

伯朗は母の形見であるネックレスを楓にあげてしまう。喜んだ楓は「まずいな……。ちょっと泣きそうになってる(笑)」と、フニャッとした笑顔を伯朗に投げかけた。これがクセモノなのだ。伯朗にあったはずの警戒心は溶けてなくなり、それどころか恋心に変わった。だんだん、楓の笑顔が怖くなってきた。

しおらしくなったふりをして全く“いい人化”してなかった祥子

隆司は看護師の永峰杏梨(福田麻貴)と浮気をしていた。しかも、隆司の机には高血圧の薬を常用する祥子に飲ませるための昇圧剤が隠されていた。浮気がバレたときに祥子を殺すため、隆司が用意していたものだ。

一方の祥子は「隆司が心配して探してくれるのでは」と身を隠していた……そんなわけない。急にしおらしくなって変だと思ったが、まるで“いい人化”していなかった祥子。何せ、彼女は使用人の君津光(結木滉星)とデキているのだ。「勇気を出して信じ続けていれば、いつか相手も自分を信じてくれる」という禎子の言葉とまさに真逆で、この夫婦に信頼関係なんてあったもんじゃない。

祥子の部屋の引き出しにあった「あなたの夫は善良ですか?」「あなたの夫は信用できますか?」「あなたは夫に殺される」と書かれた手紙は、祥子が用意した自作自演だと考えられる。狂っている矢神家。しかも、矢神の血が流れていない隆司も含めて正気じゃないのだ。矢神家はクズばかりだと再確認した4話だった。

あと、ここに来て君津の存在が俄然クローズアップされてきた。妙に目立たないところも、逆にメチャメチャ怪しい。単なる愛人程度で満足するとは思えないオーラを放っているし……。なんたって、名前が君津(きみつ)である。何か、機密を握っているのか?

伯朗は隆司の不貞を秘密にし、祥子と隆司(と百合華)の幸せを願った。しかし、そのせいで祥子の計画を手助けした形になっているのは皮肉だ。

次回予告がまた伯朗の妄想だったら許せない

それにしても、4話は何だったのだろうか。怪しい人は怪しいままだし、何も解決していない。1つも進展していないのだ。しかも、本題のはずの明人が失踪した件は全スルーである。それどころか、今や明人の行方より楓の正体のほうが興味深い。

次回予告では、伯朗がなぜか義父の康治(栗原英雄)を守る描写が流れた。いくらなんでも、これは伯朗の妄想ではないだろう。もしそうだとしたら、いいかげん私は怒る。
(寺西ジャジューカ)

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番組情報

TBS 日曜劇場『危険なビーナス』
毎週日曜よる9:00〜9:54

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/