『危険なビーナス』2話でも相変わらず怪しい楓と憲三 なぜ2人が怪しいのか掘り下げてみた
イラスト/ゆいざえもん

『危険なビーナス』2話

10月18日に『危険なビーナス』(TBS系)の第2話が放送された。初回レビューでも触れたが、矢神明人(染谷将太)の妻を名乗る矢神楓(吉高由里子)がメチャクチャ怪しい。1話のみならず、2話でも彼女は怪しかった。


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2話で楓が怪しかった点

まず、矢神牧雄(池内万作)がエスカレーターから突き落とされ、パトカーが駆けつけた途端、手島伯朗(妻夫木聡)の手を引いて「行きましょ、いいから!」と、逃げるように現場から立ち去ろうとしたのが気になる。それだけ慌てているのに、パーキングから車を出すときは律儀に領収書を欲していたのも理解不能だ。

そのまま矢神家へ向かうと、駐車場に停めてある車に触れて熱さを確認し、「今戻ってきたばかりだと思う」と推測。そして、矢神家の面々のアリバイを片っ端から確認するという常人離れした行動まで見せた。

別日には矢神勇磨(ディーン・フジオカ)の車にGPSを貼り付けようと提案した楓。「そんなことしていいのか?」と躊躇する伯朗に「日本の警察の捜査では違法らしいんですけど、お義兄様は一般人ですよね?」とGPSを手渡し、勇磨の車に付けるよう彼女は促すのだ。まるで、一般人の伯朗ならOKだけど、自分が付けるのはNGと言わんばかりの態度。
楓は明らかに一般人ではない。刑事か? はたまた探偵? 少なくとも素人とは思えぬ手際の良さだ。

楓は伯朗や明人に敵対する存在ではない

そんな怪しすぎる楓の素性を探るため、勇磨は「楓のスマホを盗んでこい」と伯朗に促した。楓からは勇磨を探るための協力を仰がれ、勇磨からは味方になれと誘われた伯朗。板挟みにあった彼は自分の直感に従い、楓を信じることにした。

「やっぱり、楓さんが騙しているとは思えない……!」(伯朗)

伯朗は決断したが、だからといって楓の怪しさが払拭されたわけじゃない。彼女は元JALのCAではなさそうだし、両親にまだ明人を紹介していないというのも引っかかる。


楓は、自分のことを信じてくれた伯朗に「なんで信じてくれたんですか?」と質問した。

「本当のことを言うと、ちょっと迷ったりもしたんだけど(苦笑)。でも、もう考えるのが面倒くさくなってきて、最後は直感。そしたらさ、すぐに答えは出たんだよね。君は絶対に悪い人じゃない。このまま最後まで信じ抜こうって」(伯朗)

その言葉を聞いた楓は、自分のスマホを伯朗に差し出した。


「ご自由に見てください。私のことを色々とわかると思います。洗いざらい見てください」(楓)

「スマホを見れば私のことがわかる」ということは、伯朗に教えていない秘密が楓にはあるということだ。ただ、それは伯朗に見せられる秘密。だから、少なくとも楓は伯朗や明人に敵対する存在ではないと受け取れる。

小日向文世がいるとONになる視聴者の“疑うスイッチ”

もう1人の怪しい存在といえば、やはり兼岩憲三(小日向文世)だろう。

2話では、伯朗と楓が唐突に憲三と順子(坂井真紀)がいる兼岩家へ飲みに行った。
別にこの動線で謎解きが進展したわけでもなく、そもそもあのくだりがストーリーに必要だったとは思えない。実りがあるシーンじゃないのに、兼岩夫妻はなぜかドラマに毎回登場するのだ。怪しくないか?

あと、初回で憲三は伯朗の父・一清(R-指定)が描いた絵の数々を見せてくれた。それらを確認する楓の様子が妙に念入りだったのだ。しかも、生前の一清が最後に描いた絵は行方不明である。その絵は、今までの一清の画風とは異なる作品だったらしい。
行方不明中の一清の絵と、牧雄が探していた“矢神家の遺産より価値のあるもの”に関係はないのだろうか?

そういえば、1話で楓は兼岩夫妻のアリバイをさりげなく探っていた。やはり、憲三は怪しさ満点だ。あと、憲三は妙にいい人すぎる。本題と全く関係なさそうな人畜無害な人物(兼岩家と矢神家の遺産は全く関係がない)が実は黒幕という展開は、ミステリー作品のあるあるの1つだ。まあ、小日向文世が出ている時点で、全国の視聴者の“疑うスイッチ”は自動的にONになってしまうのだが。そういえば、『MIU404』(TBS系)で小日向が演じた役どころにも裏があったっけ……。


『危険なビーナス』2話でも相変わらず怪しい楓と憲三 なぜ2人が怪しいのか掘り下げてみた
第3話は10月25日放送。画像は番組サイトより

伯朗は謎解きしない主人公

楓と勇磨の間で迷った伯朗だが、どちらに付いたとしても揺るがないのは、彼がこの件(明人の失踪、矢神家の相続争い)に積極的に関わろうとしていないという点である。ミステリーの主人公なのに、彼は自分で推理をしない。主に謎解きをするのは楓だ。しかも、当の楓自身が怪しい存在という……。

推理をしないし、それどころか謎解きに消極的な伯朗が主人公。謎解きを担当するのは楓だが、彼女自体が怪しさだらけ。なんとも珍しいタイプのミステリードラマだ。いびつな両輪、新しい。
(寺西ジャジューカ)

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番組情報

TBS 日曜劇場『危険なビーナス』
毎週日曜よる9:00〜9:54

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/