『危険なビーナス』禎子殺害の犯人候補、明人監禁の大本命はあの人しかいない6話

禎子殺害の犯人候補の筆頭は憲三『危険なビーナス』6話

11月15日放送『危険なビーナス』（TBS系）6話における最大のサプライズは、禎子（斉藤由貴）が亡くなった小泉家がまだ存在していたということだ。禎子の夫・康治（栗原英雄）が義妹・兼岩順子（坂井真紀）に送った写真では小泉家は取り壊されており、更地になっていたはずなのに。

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この事実が明らかになった瞬間、怪しさが爆上がりしたのは兼岩夫妻だ。

小泉家は順子の実家でもある。なのに、更地になった事実を彼女が確認していなかったのは無理がある。順子は小泉家の娘だし、相続人の1人でもあるのに。実家の現状を知らないのは、いくら何でも腑に落ちない。

順子の夫・憲三（小日向文世）は様子がおかしかった。伯朗が禎子の事故の件で順子に質問したとき、憲三はそれ以上の話をしないよう忠告するテイで話題を中断させた。

小泉家の鍵は順子が持っていたので、憲三が合鍵を作るのは容易なはずだ。

さらに、気になる点がある。今回、明人（染谷将太）が何者かに監禁されていることが明らかになった。タブレットを通じ質問してくる相手に、明人はこう返答している。

「必ずあなたを追い詰める。誰よりも頼りになりますから、僕の兄貴は」

明人を監禁している人物は、明人が乱暴な言葉ではなく、敬語で「あなた」と呼ぶにふさわしい者ということ。

対話相手が叔父にあたる人物ならば、明人の態度はしっくり来る。

小泉家が更地になった写真は加工技術によるもので、事実と違った。あの写真を送付したのは康治で、家が取り壊されていない事実は明人と康治の間だけの秘密だった。ひょっとすると、2人は兼岩夫妻を信用していなかったのかもしれない。小泉家を壊さなかったのは、禎子の死が事故ではなく誰かに殺されたと2人が確信したからだ（つまり、康治は禎子のことをちゃんと愛していたのだろう）。

加えて、憲三と禎子の夫・手島一清（R-指定）が飲み仲間だったという関係性も看過できない。

現時点では憲三が禎子殺害の犯人候補の筆頭だ。

家族との絆を認識することで能動的になる伯朗

なかなかストーリーが進まなかったこのドラマも、ようやく動き始めてきた。楓（吉高由里子）と共に小泉家を訪れた伯朗は、偶然にも明人が自分宛てに書いた手紙を発見した。

「兄貴、僕にもしものことがあった時は頼んだよ。母さんを殺した犯人を見つけてくれ」（明人）

5話で伯朗は義父・康治が自分のことを愛していたことに気付いた。そして今回は、弟・明人から頼りにされていることを知った。疎外感を味わっていたはずの伯朗も、家族との絆を遅まきながら認識していく。

部外者として矢神家に関わっていたはずの伯朗に、能動的に動くだけの理由が生まれたのだ。

6話の冒頭、禎子殺しの件で自分に疑いの目を向けてきた伯朗を支倉祥子（安蘭けい）は「らしくなってきたじゃない。それがなくっちゃ話にならない」と褒め称えた。そのとおりだ。そうこなくては。伯朗がその気になることで、物語はようやく動き始める。

第7話は11月22日放送。画像は番組サイトより

楓は伯朗を誘導し続けている

今さら楓が伯朗の敵だとは思わない。だとしても、謎は深まる一方である。伯朗と共に小泉家を訪れた際の楓は真骨頂だった。

（1）更地になったと思われた小泉家にたまたま合鍵を持ってきていた
（2）試しに伯朗にブレーカーを上げさせるとなぜか電気がついてしまう
（3）伯朗とアルバムを見ているとき、兄弟が空気銃を構えた写真の箇所で楓は伯朗に話しかけた。その会話をきっかけに伯朗は銃を隠した箱の存在を思い出し、その箱には明人が自分宛てに書いた手紙が入っていた

もう、完全に楓の手のひらの上なのだ。というか、その手紙だって本物かどうか定かではない。ひょっとすると、楓が書いたものかもしれない。

そもそも更地になった写真を加工できるのなら、明人と楓が一緒に写った写真だっていくらでも加工できるはずである。

楓はさりげなく伯朗を誘導し続ける。5話と6話で“部外者”から“当事者”へ立ち位置を変えた伯朗だが、その全てが楓が意図したとおりに進んでいるとしたら恐ろしい話だ。
（寺西ジャジューカ）

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Writer

寺西ジャジューカ

1978年、東京都生まれ。2008年よりフリーライターとして活動中。得意分野は、芸能、音楽、（昔の）プロレスと格闘技、ドラマ、イベント取材。『証言UWF』シリーズ『証言1・4』、『証言「橋本真也34歳小川直也に負けたら即引退！」の真実』『証言長州力』（いずれも宝島社）等に執筆。

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