SixTONES 新しい景色、みたいよな? ――『1ST』に輝くSTardomを駆け上がる6人の未来
(c)Sony Music Labels

音楽に関心が集まっているSixTONESが待望の1stアルバムを発表

SixTONESの1stアルバム『1ST』(ファースト)が2021年1月6日にリリースされる。

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12月6日の「音の日」にSixTONESのYouTube公式チャンネルでは「SixTONES broadcaST『666 1ST LiSTening』~アルバム“ほぼ”全曲解禁します~」として6時間66分、6のつく時間にアルバム収録曲を解禁。

これを皮切りに、「ST」のMV公開、一向にメンバーが登場しないPR動画(CM動画)に続いて、「SixTONES "1ST" digeST movie」ではMVのダイジェスト映像を公開。
早くも100万回再生を突破した。いつだってユニークな展開で、待ちきれないファンの心をこれでもかと揺さぶるSixTONES。

本稿では、先行して聴いた『1ST』の中から、全3形態に共通する新曲をはじめ、初回盤「原石盤」、「音色盤」から注目曲を一挙レビューする。

SixTONES初のフルアルバム、一言で言えば度肝を抜かれた。

「ST」から始まるSixTONESの音楽

1STアルバムのリード曲「ST」は意外にも静かな始まり。シングル曲にも共通するが、SixTONESの楽曲はイントロから惹きつけられる。すぐにギターの音が重なり、加速する。


はじまりと終わりでは印象ががらりと変わる。<泣き笑っても憂いても未来は 強い光の方だ>と己を鼓舞するような熱いメッセージと共に、エモーショナルラウドロックへと表情を変えた。歌詞には、liSTen、STatement、hiSToric、STand、STory……と、“ST”を使った言葉選びも楽しい。1STアルバムのSTartに相応しい堂々たる一曲。

2ndシングル「NAVIGATOR」から、力強いダンスチューン「Special Order」へと続く。ワイルドな中にもセクシーさが漂う。
ステージを意識したであろう選曲で、お披露目の時が待ち遠しい。

音の爽やかさと歌詞の切なさのギャップがある「Curtain Call」、EDMチューンの「Dance All Night」は、サビに向かうにつれて高揚していく。

シングル曲とは違うメンバーが歌い出しを担当した楽曲もあり、改めてメンバー全員が歌えるグループであることを思った。どんなジャンルにもフィットする歌声、ハーモニー…6つの音がどんどん広がっていく。

クラップで参加したい「S.I.X」(エス・アイ・エックス)。これまでにないC&R曲で、SixTONESらしいアッパーソング。
簡単なクラップで、カッコいい世界へと招き入れてくれる。会場が一体になったらさぞかし気持ちいいいだろう。

ひとしきり盛り上がったら、「Coffe&Cream」でクールダウン。ゆっくり進行するCill系HIPHOPが心地いい。

様々ジャンルの楽曲を束ねるプレイリストのセンスに唸った、9曲目にはデビュー曲の「Imitation Rain」。「最高の旅を始めようこの曲で」ーーコンサートツアー「TrackONE -IMPACT-」での披露から一年。
楽曲を手掛けたYOSHIKIからの大きなプレゼントを、しっかりと自分たちのものにしてデビューを果たした。

大切な宝物を手にした6人が、大きな扉を開けると、強い光が射し込む……そんな情景をイメージする「Lifetime」へと進む。ゆっくりと進行する上質な音に、一人ひとりの伸びやかで丁寧な歌唱で繋いでいく壮大なバラード。『1ST』本編の締めくくりにして、彼らの始まりを表しているとも捉えられる。

アイドル、アーティスト、ROCK、HipHop、EDM…肩書やジャンルにとらわれず、歌いたい楽曲を、自分たちのスタイルで歌う。視線は高く、目指すは海の向こうに広がる世界。
<君と 生きてく Lifetime> これからもファンと一緒に歩んでいこうと、SixTONESのメッセージと温もりが伝わってきた。

SixTONESの軌跡…「原石盤」

「初回盤A:原石盤」には、ジャニーズJr.時代の楽曲5曲を収録。また、付属するDVDには、「ST」のMV、メイキング、ソロアングルが収録される。音楽を愛する彼ら、これまで大切に歌ってきたオリジナル曲の音源化を待ち望んでいたファンも多いことだろう。楽曲を思いのままに連れ出せる喜び。懐かしさを感じる一方で、新曲と並べても遜色ないところに、彼らの異彩っぷりが際立つ。新曲を一通り聴いてからの原石盤はまた格別だ。


SixTONESの音楽を堪能「音色盤」

音色盤と冠するだけに、SixTONESの音楽をたっぷりと堪能できる作品。メンバー2名ずつに分れたユニット楽曲3曲が収録されている。6つの音が持つパワーを感じた。

「EXTRA VIP」――ジェシーと、田中樹のユニット曲。ジェシーの歌声と、田中のラップで構成されたワイルド系HIPHOP。お互いの歌唱力をぶつけ合うような、ユニットならではのエッジの効いたナンバー。ワイルドながらもラグジュアリーな雰囲気で、MV、ステージパフォーマンスが楽しみ。

「My Hometown」――森本慎太郎、高地優吾のユニット曲。親しみやすい軽快なリズムで進行するチル系サーフロック。歌詞の細かな情景描写によって浮かぶのは彼らのルーツ。以前、「RIDE ON TIME」(フジテレビ)で、森本と高地が語ったエピソードや訪れた場所とがリンクする。どこか懐かしさもあり、自然とリズムに身を委ねられる。リラックスした二人の表情が浮かぶ。

「ってあなた」――京本大我、松村北斗とのユニット曲。“弱い男”の心情を歌ったドラマチックなバラード。高音を京本、低音を松村が担当。相性の良さを感じるハーモニーで、二人の歌声でしか打ち出せない世界観があることを知らしめた。感情たっぷりに歌い上げ、曲の終わりには胸がチクリと痛む。楽曲を聴いただけでも映画や舞台の観劇後のような気分。“きょもほく”の繊細なハーモニーがいつまでも耳に残る。

YouTubeでもMVの一部が公開されたが、ユニットごとに方向性が異なり、リラクシーなムードの森本&高地。パワフルな楽曲のジェシー&田中とは対照的に、京本&松村の弱さをみせた繊細な楽曲のチョイスが面白い。

通常盤に収録の2曲はジャンルの異なる衝撃作

通常盤には、「うやむや」とそして全編英語詞の「Mad Love」が収録されている。傑作と呼ぶべきか、問題作とも呼ぶべきか…「うやむや」。サイトにはこの曲だけ「gsdhiaofjisabcvlkghjhb hgfvsfhiuahspgdhfdhgfd」と記されている。一体どんな意味が……。

「Mad Love」はセクシーなHIPHOPで、ミステリアスな雰囲気も漂う。タイトル通り、狂おしいほどの愛を伝えている。英語詞特有のストレートな表現に、歌詞をなぞると愛おしさが増す。

力強さと美しさが共存するダンスパフォーマンス。繊細な歌声にラップ、叫び…あらゆる手法を自在に組み合わせて魅せるステージ。言語や音楽ジャンルも軽々と越え、SixTONESとして存在する。3rdシングルで「NEW ERA」と掲げた彼ら。それを本作でも表していた。

今回、複数の音楽専門誌にアルバムについてのインタビュー記事が掲載されたことが物語っているように、アーティストとしてSixTONESの音楽に関心が集まっているのも納得だ。

激動と呼ぶべき2020年だったが、シングル3作品にライブDVDをリリース、そして宝石のような作品をプレゼントしてくれた。「新しい景色、みたいよな?」――ステージで叫んだように、SixTONESは『1ST』と共に、STardomを駆け上がっていくのだろう。

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Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

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@hiromin2013