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『おかえりモネ』第75回「何が向こうだよ」「もう全部やめたいわ」「なんでお姉ちゃんなの」…しんどい

『おかえりモネ』第15週「百音と未知」

第75回〈8月27日(金)放送 作:安達奈緒子、演出:一木正恵〉

※本文にネタバレを含みます

※『おかえりモネ』第76回のレビューを更新しましたら、Twitterでお知らせします


亮(永瀬廉)が東京に来たきり行方不明になった。それには震災で行方不明になった妻・美波(坂井真紀)のことがあると亜哉子(鈴木京香)の電話で知った百音(清原果耶)未知(蒔田彩珠)は心配で――。

【レビュー一覧】『おかえりモネ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜第75回掲載中)

「なんでいつまでもしんどい想いしないとならないの?」と未知は堰を切ったように百音に問いかける。

5年経っても解決しない気持ちがある。持て余す気持ちを抱えながら土地に残る亮や未知の想いに触れた百音の表情の移り変わり(カメラにも感情があるようにちょっと動いている)には、一言では言い表せない陰影があった。

「美波が死んだって俺が決めるんですか」

亮が東京に来る前に、新次(浅野忠信)と亮と美波の母・横山フミエ(草村礼子)が住職・後藤秀水(千葉哲也)立ち会いのもと会って、震災で行方不明になったままの美波が亡くなったことを認める手続き(死亡届)についての話し合いがもたれた。

フミエは自分も年だし、一旦区切りをつけたいと考え、新次は亡くなったと決めたくない。ふたりの気持ちは交わることがない。「美波が死んだって俺が決めるんですか」と問う新次の姿を亮は何も言わずに見つめていた。

その後、新次は止めていた酒を飲んで警察沙汰になるほど大暴れする。このときの耕治(内野聖陽)のふっとばされ方とやりきれない顔で新次を抱えるところが哀しみを増幅させる。亮はそれを目の当たりにしてはいないとはいえ、心配して電話してきた百音に「もう全部やめたいわ」と思わずこぼしてしまうほど捨て鉢な気持ちになってしまう。

『おかえりモネ』第75回「何が向こうだよ」「もう全部やめたいわ」「なんでお姉ちゃんなの」…しんどい
写真提供/NHK

「なんでお姉ちゃんなの」

亮が長年ためてきた気持ちを明かすことができるのは百音だった。未知の電話には出ず、百音の電話に出てついに弱音を吐く亮を百音の傍らで聞く未知はいたたまれず、「なんでお姉ちゃんなの」と責める。

そのとき東京で買った服を投げつける未知に、亮が自分より百音のほうに親しみを感じていることへの嫉妬ではなく、百音が地元を離れたことへのわだかまりを強烈に感じた。亮と未知は震災を地元で体験し、そのまま地元に残って復興に尽力している。漁師や水産業がものすごく好きだったわけではなく、目の前にある数少ない最善の仕事だったから一生懸命やっている。

一方、百音は震災の時に島にいなくて、くよくよしながら島を出て登米で働き、東京に出た。そして今、テレビに出てキラキラと輝いている。素敵な医者と恋もしている。亮や未知にとってあり得たかもしれない姿なのである。

百音は百音で彼女なりに悩み考えて故郷のために回り回って何かできることを模索している過程であるが、亮や未知にはそれがわからない。ただただ胸が痛むのだろう。だが逆に、亮にとっては地元の人には傷をなめ合うようになるから言えないことを、故郷を離れた百音になら言ってもいいように感じたのではないだろうか。

未知もまた「お姉ちゃん、津波見てないもんね」とか「お姉ちゃんずるい」とか「なんでお姉ちゃんなの」とか、姉をはけ口にするしかない。同じ環境の人には言えないから。


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