今回のニュースのポイント


2029年度の発行額は約1.7兆円に拡大:野村総合研究所(NRI)の予測によると、国内の主要12業界におけるポイント・マイレージの年間最少発行額は、2029年度に1兆7,257億円に達する見通しです。


2024年度は1.37兆円で過去最高を更新:2024年度の民間発行額は、前年度比約6%増の1兆3,695億円と推計。

うち、クレジットカードやコード決済などの「キャッシュレス決済」が約53%(7,318億円)を占め、成長を牽引しています。


金融業界の経済圏競争が加速:三井住友フィナンシャルグループの「Olive」や三菱UFJフィナンシャル・グループの「エムット」など、銀行や証券の利用状況に応じてポイント還元率を高める「経済圏」の囲い込みが、発行額拡大の背景にあります。


 ポイントはもはや単なる「おまけ」や販促手段ではなく、日本経済を動かす重要な一部として機能し始めています。野村総合研究所(NRI)が発表した最新の予測は、ポイント・マイレージが実質的な購買力を持つ「第二の通貨」とも言える存在になりつつある現状を浮き彫りにしています。


 NRIの試算によれば、2024年度の国内ポイント発行額(民間部門)は1兆3,695億円と過去最高を更新しました。この巨大市場の半分以上を支えているのが、キャッシュレス決済です。公共交通機関でのタッチ決済導入や、これまで現金が主流だった中小店舗、医療機関などへのキャッシュレス浸透により、ポイント発行の土台となる決済取扱高は今後も安定的に拡大し、NRIの予測では、2029年度には市場規模が1.7兆円を突破すると見込まれています。


 背景には、消費者の生活スタイルの変化と、企業の戦略的な思惑があります。行政のポイント還元事業やコロナ禍での非接触ニーズを経てキャッシュレスは生活インフラとなりましたが、昨今の物価高騰がこれに拍車をかけました。節約志向を強める消費者にとって、ポイントは実質的な値引きそのものであり、より効率的な獲得を目指す「ポイ活」が一般化しています。


 今回の上昇傾向を構造的に支えているのが、金融グループによる「経済圏」の中核としてのポイント活用です。メガバンク各社は、銀行口座、証券、ローンといった周辺サービスを紐づけるほど還元率が上がる仕組みを導入し、顧客を自社の経済圏に強力に囲い込んでいます。

NRIも、決済データの分析を通じたダイナミックなマーケティングを指摘しており、ポイントが決済データや金融サービス、日常の購買行動をひとつのIDで束ねるための「共通言語」的な役割を強めていることがうかがえます。


 注目すべきは、消費者が獲得し損ねている「取りこぼしポイント」が、年間8,859億円という膨大な規模に上るという点です。NRIも、この取りこぼしが縮小すれば発行規模拡大の一因になり得ると分析しており、まだポイント市場に大きな成長余地が残されていることを意味します。還元率が生活コストを左右する時代において、どの経済圏に身を置くかが家計の重要な変数になっています。


 今後は、さらに精緻なデータ分析に基づいたダイナミックな還元施策が広がることが予想されます。1.7兆円という発行額はあくまで「最少発行額」の推計であり、キャンペーン等の追加発行分を含めれば、その実態はさらに巨大なものとなります。ポイントが経済圏という閉じた領域を超え、いかに社会全体のインフラとして再設計されていくのか、今後も拡大が続くとみられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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