今回のニュースのポイント


厚生労働省が令和8年1月に実施した「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)」によると、全国のホームレス数は2,481人で、前年度から110人減少(▲4.2%)しました。今回で21回目となる調査ですが、自立支援策などの効果により長期的には減少傾向が続いています。

地域別では大阪、東京、神奈川の3都府県で全体の約7割弱を占め、依然として大都市圏への高い集中が見られます。また生活場所は「道路」が25.7%で最多となり、これまで最多だった「都市公園」を初めて上回りました。


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 ホームレス数は減少傾向にある一方で、地域的な偏在や生活場所の変化といった構造は続いています。厚生労働省が4月27日に公表した「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)」によれば、全国で確認されたホームレス数は2,481人と、令和4年以降、継続して減少しています。この数値の減少という結果の一方で、その内訳や背景にある構造を見る必要があります。


 今回の調査で改めて確認されたのは、高い都市集中構造です。都道府県別では大阪府が803人で最も多く、次いで東京都(507人)、神奈川県(391人)の順となっています。大阪府・東京都・神奈川県の3都府県で全体の約7割を占めています。さらに東京都23区と政令指定都市に限ると2,014人となり、全国の約8割を占める構造となっています。一方で、岩手、山形、新潟、長崎など10県では確認数がゼロとなるなど、地域による状況の乖離が鮮明です。大都市圏には仕事の機会や支援施策が集中する一方で、生活コストの高さや住宅確保の難しさといった課題も併存しています。


 生活場所(起居場所)の変化についても、注視すべき動きが見られます。

これまでの調査では「都市公園」が最多となる年が多かったところ、今回はその数が減少し、「道路」(637人、25.7%)が最多となりました。公園の整備や管理強化、自治体による巡回の影響などから、生活の場が公園以外の路上や施設周辺へと移り、結果として把握が難しくなっている可能性も考えられます。


 背景には、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」に基づく継続的な支援施策や基本方針の効果があると考えられます。シェルターの提供や生活保護の適用、就労支援など、路上から脱却させるための出口戦略が一定の成果を上げている点は事実です。しかし、この調査には「目視で確認できるホームレス」に特化した調査手法ゆえの限界も含まれています。


 本調査の客体は、法2条に基づき「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」に限定されており、市区町村の巡回による目視で確認されています。そのため、ネットカフェや友人宅などを転々としながら自前の住まいを持たない「潜在的ホームレス」(住居喪失不安定居住者)の存在は統計上把握されておらず、実態との乖離が指摘されています。物価高や家賃上昇が続くなか、路上にこそ姿を現さないものの、生活基盤が極めて脆弱な層の存在が指摘されています。


 今後の焦点は、住宅支援と就労支援を一体で運用し、いかに生活基盤を安定させるかにあります。今回の結果は、目に見える路上生活者が減少する一方で、調査の範囲外にある「見えない困窮層」への目配りが一層重要になっていることを示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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