早速トップセールスだ。いよいよ始まるゴールデンウイーク。

この時期の閣僚たちの外遊三昧は毎年の恒例行事だが、今年は様相がやや異なる。武器輸出の全面解禁に伴い、高市首相と小泉進次郎防衛相がそろって「太客」の国々を訪れ、メード・イン・ジャパンの殺傷兵器を売り込もうと躍起。臆面もなく「死の商人」外交を展開する気だ。


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 高市首相は5月1日から5日間の日程で、ベトナムと豪州を訪問。それぞれ首脳会談を行う。進次郎防衛相も5月3日から7日にかけてインドネシアとフィリピンに向かい、両国の防衛相と会談する。2人の狙いはひとつ。兵器のトップセールスである。


 高市政権は今月21日、防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、戦闘機や護衛艦、ミサイルなど殺傷能力のある兵器の輸出を解禁したばかり。このタイミングでの改定自体、高市・進次郎のGW外遊を意識したものだ。


 とりわけ豪州とフィリピンは、政府が想定する主要な武器輸出国。つまり「お得意サマ」だ。


 すでに豪州との間では、海上自衛隊の「もがみ」型護衛艦の改良型をベースに、豪州海軍の次期フリゲート艦を共同開発する契約を締結。さらなる輸出案件を目指す。


「『もがみ』の契約は最大100億豪ドル(約1.1兆円)に及ぶビッグビジネス。開発元である三菱重工業が潤うほか、三菱電機やNECなど軍需メーカー数百社の技術も使われ、日本の防衛産業全体に恩恵をもたらします」(政府関係者)


■「お得意サマ」を国賓接待


 南シナ海で中国と対峙するフィリピンに対し、高市政権は中古の「あぶくま」型護衛艦の売り込みを目指す。24日の閣議では5月26~29日に同国のマルコス大統領を国賓として招待することまで決定。天皇、皇后両陛下との会見や宮中晩餐会、高市首相との首脳会談を予定しており、兵器セールスのロコツな「豪華接待」にしか見えない。政権を挙げてVIP待遇でもてなし、護衛艦をお買い上げいただく算段だろう。恥も外聞もない、あからさまな「死の商人」外交である。


 1976年に三木内閣が事実上の武器禁輸を打ち出した当時、外相だった宮澤喜一元首相は国会答弁で「わが国は兵器の輸出で金を稼ぐほど落ちぶれていない」と喝破したものだ。あれから半世紀。この国は落ちるところまで落ちてしまったのか。


「同志国フィリピンの抑止力を向上させ、対中包囲網を強化する思惑でしょうが、中国を刺激すれば軍拡競争を促す『安全保障のジレンマ』に陥る。

GDP比2%前倒し後も日本の防衛費は約11兆円。対する中国は約43兆円で、兵力は約200万人です。軍の精鋭化を目指し、約30万人の削減を達成しましたが、その数は自衛隊と海上保安庁の総数よりも多い。主力兵器として急成長中のドローン技術を見ても、中国が日本をはるかにしのぎます。高市政権が中国の脅威をどこまで理解しているかは疑問で、自衛隊を統率する『文民』の先走り感だけが目立ちます」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)


 今や歴然の日中の国力差を現政権だけが受け入れず、それこそ半世紀前と同じ感覚でいられても困る。


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