篠原涼子主演で不倫に走る妻たちを描いたNetflexオリジナルドラマ『金魚妻』が話題だ。「放送時間帯は昼下がり。
視聴者は主に主婦層」というイメージはすでに過去のもの。今の不倫ドラマブームを支えているのは若い女性たちだ。青春の日々を瑞々しく表現するアイドルグループ「真っ白なキャンバス」の浜辺ゆりなも、そんな不倫ドラマの魅力にハマった1人だ。不倫はおろか結婚や恋愛もまだ縁遠い清純派アイドルの彼女はなぜ、そのドロドロの世界に魅了されたのか。ピュアな視点で、その深淵なる世界をナビゲートしてくれた。

【写真】キラキラとした真っ直ぐとした瞳で不倫ドラマの魅力を語る浜辺ゆりな【10点】

真っ白なキャンバスで活躍する浜辺ゆりなが不倫ドラマに出会ったのは、今から4年ほど前のこと。そのときに受けた衝撃は絶大で、ジェットコースターのように展開される物語に胸のドキドキが止まらなくなったという。

「もともと私は学園系の恋愛ドラマばかり観ていたんです。神木隆之介さんと広瀬すずさんが出ていた『学校のカイダン』(日本テレビ系)や『花より男子2(リターンズ)』(TBS系)あたりが特に好きでしたね。最初に観た不倫ドラマは『あなたのことはそれほど』(TBS系)だったんですけど、それまで接していたドラマとは何もかもが違っていて……。観たときのショックは言葉で言い表せないです。

 学園ドラマって結局は“誰かによって書かれた物語”という感じがするじゃないですか。
だけど、不倫ドラマはそうじゃないんですよ。人間の描き方がリアルすぎるし、綺麗事じゃ済まされないドロっとした感情が剥き出しになっている。だから引き込まれざるをえないんです。登場人物の意思がこれ以上くらいはっきりしているし、なんというか“全力で人間している!”って感動するんですよね。結婚という安定した環境があるにもかかわらず、自分からそれをブチ壊すわけですから。あまりにも欲望に忠実すぎて、ア然としてしまいます」

 こうしてありきたりなラブストーリーでは満足できなくなった浜辺は、番組改編期に「不倫」という単語を見つけるとすぐさま録画予約をするほどの中毒者となる。「夜に1話だけ」と軽い気持ちで再生ボタンを押し、気づいたら最終話まで一気に鑑賞して朝を迎えたことも一度や二度ではないという。高校の友達やグループのマネージャーも“不倫ドラマ沼”に巻き込んでいった。

「とにかく不倫ドラマでは信じられない展開が連発されるから、それについてLINEで討論するのが最高に面白いんですよ。意見が真っ二つに分かれることも多いですし。たとえば『あなたのことはそれほど』では東出昌大さんが浮気された夫を演じるんですけど、これが何を考えているのかわかないサイコパス的な薄気味悪さ全開の怪演なんです。でも私の友達は『あの一途な気持ちに泣いた』とか感情移入していたから、さすがに耳を疑いましたね。


 ドラマを観ながら、理想の結婚について話すことも多いです。結婚は本当に好きな人と一緒になる行為だと私は固く信じていたんですよ。でも不倫ドラマを観ると、その考えがグラついちゃって……。自分が本当に好きでも、相手は女性やお金にだらしない人かもしれない。それでも一緒になることが幸せなのか、そのへんは微妙かなって。そもそも結婚は恋愛の延長ではなく、生活していくためのものという考えだってありますしね。今の私にとっては不倫どころか結婚すらもはるかに遠い存在ですけど、本当の幸せが何なのか、不倫ドラマが考えさせてくれるのは間違いないです」

 かつて『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)が人気を博したとき、その内容に感化された主婦たちが不倫に走るという行為が話題になった。しかし、浜辺は「浮気だけは絶対ありえない」と強い口調で断じる。

「不倫ドラマを観れば観るほど、浮気は許されないという気持ちが強くなっていきます。だって必ず誰かが悲しむわけじゃないですか。実人生でやったら取り返しがつかなくなりますし。ドラマを観て不倫に憧れるなんて意味がまったくわかりません。
私自身は浮気なんて200%できないだろうけど、じゃあ好きでもない不倫のドラマをなぜ観るかというと、現実にはありえないからなんです。実在しないのがわかっているのにゾンビ映画を観るのと感覚的には似ているかもしれない」

 近年の不倫ドラマの特徴は、単なる惚れた腫れたのラブストーリーにとどまらない点にある。カネや殺人などのミステリー・サスペンス要素が絡むことが多く、複雑な人間関係や虚々実々の駆け引きに視聴者は息を呑むのだ。

「観ていてハラハラするし、どうなってしまうのか次の展開が気になって仕方ないです。あと不倫ドラマで注目してほしいのは、俳優さんたちの演技力! どうかしているような狂気をはらんだ演技が多いから、おもわず笑っちゃうこともあるくらいで……。たとえば第1話では幸せそうにしていた奥さんが、夫の浮気で家庭がめちゃくちゃに破綻すると最終話では復讐鬼みたいに豹変していたりするわけです。

人格が壊れていく様子、感情がブチ切れる瞬間、相手を追い詰めていく執念……不倫ドラマってかなり演技力が問われるジャンルだと思うんですよ。『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)の水野美紀さんや『ギルティ』(日本テレビ系)の中村ゆりかさんなんて、本当に圧倒されるような迫力ですからね。もともと中村さんは朝ドラに出ている美少女のイメージが強かったけど、ここで一気に女優としての才能が爆発した気がします」

 こうして浜辺は気づいたらアイドル界きっての不倫ドラマ通になっていた。多くの作品に接する中で“不倫ドラマあるある”も発見したという。

「やたらとワインがブチまけられるんですよ。私なんて赤ワインが出てきた時点で『これはヤバいかも』って身構えるようになってしまいました(笑)。
あとは緊迫した場面で雨が降りすぎ。それから怒っているときに雷が鳴るケースも多発します。他にも“初恋の相手や元カノと街で偶然会う確率が高い”とか、“DVなど複雑な生い立ちで育っている”とか、“登場人物がすぐ取り乱し、すぐ我を忘れる”とか、不倫ドラマならではのお決まり事を押さえておくと、より一層楽しめるかもしれません」

 真っ白なキャンバスでの活動中、「これはアイドル版の浮気では?」と疑問を持つことが浜辺にはあるという。「ゆりなが一番だよ」と言ってくれていたファンが、握手会で他のメンバーの列に並んでいる姿を目撃したときだ。

「DD(誰でも大好き=複数のアイドルを応援するファンのこと)という言葉がありますけど、そんなの許されていいんですかね? 自分の旦那さんが他の女性に走ったように激しく心が揺さぶられます。正確に言うと、推し変にも2種類あるんですよ。別のグループに流れるパターンと、同じグループの違う子に流れるパターン。正直、私としては後者のほうが精神的にキツいですね。嫉妬する気持ちを隠そうともしません(笑)。この際だから声を大にして言いたいですけど、ファンのみなさんも浮気なんてしないで一途に推しを追い続けてほしいです!」

 記事後編では、浜辺の厳選した「初心者にもお薦めの不倫ドラマ5本」を見どころとともに詳細解説していく。

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