草彅剛の主演ドラマ『罠の戦争』の第2話が1月23日に放送された。16日の第1話放送後はTwitterで世界トレンド1位になるなど、圧倒的な話題をさらったのが記憶に新しい。
ネット上では早くも「黒幕は誰なのか」という考察でも盛り上がりをみせている。

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同作は、これまで草彅が主演を務めてきた『銭の戦争』『嘘の戦争』に続く、戦争シリーズの3作目。実に6年ぶりのドラマ主演となる草彅は1話から期待を裏切らない演技を見せ、注目を集めている。

ストーリーは、自分のすべてを犠牲にして尽くしてきた政治家に裏切られた、草彅演じる議員秘書・鷲津亨が、強い権力を持つ者たちにあらゆる“罠”を仕掛ける復讐劇だ。

衆議院議員の犬飼(本田博太郎)の秘書を務める鷲津亨(草彅剛)は、20年前、仕事を失い路頭に迷っていた自分に手を差し伸べてくれた犬飼に恩義を感じ、全てを犠牲にして彼に尽くしてきた。亨の献身的なサポートで、犬飼は内閣府特命担当大臣にまで上り詰めたのだ。


そんな中、犬飼は、女性軽視の発言により周囲の強い反発を招き、特に幹事長の鶴巻(岸部一徳)や首相の竜崎(高橋克典)からは、冷めた目で見られるように。

大臣就任後初の政治資金パーティーでは、鶴巻や竜崎の他、犬飼の様子をうかがい怪しげな行動をとる青年・蛯沢(杉野遥亮)が招待客に紛れ込んでいた。亨が、他の議員秘書のメンバーと招待客の対応に追われていたところ、亨の妻・可南子(井川遥)から「息子が大ケガをして、意識不明の重体だ」との知らせが入る。事故にも見えるこの一件だが、どうやら何者かによって歩道橋から突き落とされたらしいのだ。

パーティー後に病院を訪れた亨は、心配をして同じく病院に駆けつけてくれた犬飼から、「事故と処理してほしい」と、思いもよらない事件のもみ消しを要求された。表面上は承諾の意を伝えたが、その時点でも内にはふつふつと怒りが。
犬飼が去り、一部始終を見ていた可南子と復讐を誓い合う際、その怒りは爆発する。復讐劇のはじまりだ。

第2話では、まずは政策秘書の虻川(田口浩正)を引きずり下ろす作戦に出た亨。度重なる女性秘書へのパワハラや原稿ミスなど、失敗を立て続けに起こす虻川だったが、さまざまな裏事情を知っていることからも、うかつにクビにはできなかった。そこで亨は、虻川が持っている裏帳簿を手に入れようと、蛯沢に虻川の見張りを依頼。蛯沢のおかげで裏帳簿を入手し、虻川を一気に失脚へと追い込んだ。


虻川との掴み合いシーンでは、「考えたこともないだろ?他人の痛みも悔しさも。だから平気で人を踏みつける。弱い者の痛み、せめて想像ぐらいしてみろよ!」と怒りをぶつけた亨。画面越しにも”ワナワナ”が伝わってくるこの演技に、「鷲津VS虻川に見入ってしまった」との声も多数聞かれた。

今回の草彅の演技で注目すべきは、「怒り」の演技に加え、「怒りを抑える表情」の見事さだ。秘書として尽くしている温厚な表情から、犬飼から思いがけない要求を突きつけられた瞬間の表情の変化、ふつふつと湧き出る怒りを抑えている顔の動きは凄まじさがあった。
犬飼を失脚させることを誓う場面では、怒りがどんどん大きくなり、最終的には震え上がるほどの怒りを表現した。「許せない」という感情がこちらまで伝わってくる演技は圧巻だった。

また、その感情を震わせた後の犬飼とのシーンでは、これまでの温厚な顔から恨みを持ちながら接する顔つきに変わっていてこれまた見事だった。

これには草彅の「目」の動き、表情が大きく関係している。ここぞというシーンでは鋭い眼光に変わるのだ。草彅は目で演技できる俳優で、例えば『任侠ヘルパー』でヤクザ役を演じた際は、荒々しい話し方だが、凄みの中に人間としてのやさしさが含まれているようにも見えた。


人間にはいろいろな面があって当然。役としてのイメージ付けは大事だが、草彅の演技からは、それをも上回るその人の人間らしさが感じられる。言葉にできない、内に秘める感情は、草彅のように演技が上手い人にしか表現できないだろう。

また、このドラマは同じ「復讐劇」をテーマにした『半沢直樹』と照らし合わせる人もいる。静かながらも何かを秘めた表情が印象的なキービジュアルや、抑えきれない怒りの演技、凄みが重なり合う役者たちの演技合戦が、そういわれる所以かもしれない。同じカンテレ制作で前クールに放送されていた『エルピス』も社会派ドラマだったことから、そこから続けて観る人も多いだろう。


草彅はこのドラマについて、前の戦争シリーズ2作が気に入っていたことから、ぜひ3作目をやりたいと思っていたそう。ドラマ放送前に答えたWebメディア「エルマガジェイピー」のインタビューでは、前作から6年あいたが、その間にいろいろな経験ができたので、結果的には良かったとも話している。

“罠”を仕掛けたり、仕掛けられたり。“ワナワナ”とした感情が1話から伝わってきた本作。「僕自身、ビンテージのギターとかジーンズが好きなので、歳を重ねたがゆえの味わいみたいなものは出せたらいいなと思ってます」(エルマガジェイピー)との言葉通り、これまでの良さを残しつつ、年齢を重ねることでさらに味わい深くなった彼の演技から目が離せない。

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