“SNSのフェチ天使”とも呼ばれるグラビアアイドルで起業家のくりえみが、自身の3rd写真集『革命家』を2月14日に発売した。「当たり前を当たり前だと思わない概念」を発信する彼女らしいタイトルが付けられた本作では、男性だけでなく女性にも憧れてもらえるような内容を心掛けたという。
今回、本作に込められた思いから現在の活動に至るまでの経緯、彼女の起こす「革命」の原動力まで、本音で語ってもらった。

【写真】挑戦を恐れない“革命家”、くりえみ撮りおろしカット【10点】

──『革命家』と名付けられた今回の写真集について、前作との違いを意識した点はどこかありますか。

くりえみ 前作『くりめぐり』の写真は全部ノーレタッチで、シワもシミも含め、そのままの肌の「生っぽさ」を意識していました。今作はそれとは違い、しっかりと綺麗に作り込むことをテーマにさせてもらっています。前回はどちらかと言うと男性目線の写真集だったと思うんですが、今回は女性にも憧れてもらえるような写真集を意識しました。

──男性ウケと女性ウケで、具体的にはどんな違いがあると感じていますか?

くりえみ 写真のアングルは大きな違いの1つだと思います。同じ衣装で同じ露出度であっても、撮り方次第でまったく変わってくるんです。例えば、男性目線では胸やお尻といった性的なパーツに目が行くようなことがあると思います。私もセクシーなことは好きなのでそれを否定するつもりはまったくありませんが、女性はどちらかと言うとボディラインのバランスなど、体全体を見ている気がします。綺麗だしエッチだけど、女性が見て「こういう体、良いな」と思ってもらえるような見せ方は心掛けましたね。

──男性ウケ・女性ウケの視点はどのように養っていったんですか?

くりえみ 自分はもともと女性を性的な目で見たい気持ちが強いので(笑)、自己表現をする時にも男性視点で考えることが多かったんです。ところが、自分を発信したりメディアに出させてもらったりしていく内に、「あまりローアングルで撮るのはやめなよ」と苦言を呈されることもありまして。
私は好きでやっていたことだし、もっとやりたかったんですけど、攻めた表現をしすぎると出版社さんによっては扱いづらくなることもあるみたいで……。認知度が上がってメジャーになればなるほど「脱がないでほしい」と言われることはありますね。最初は私も反発していたんですが、最近はただ露出を増やす見せ方ではなく、女性視点でいいなと思える見せ方もあるのかなと思うようになってきました。

──ご自身で会社経営などをされていることもあって、プレイヤー視点だけでなく、経営側の視点にも寄り添えるようになったということでもあるのでしょうか。

くりえみ 私自身はもっと脱いでもいいと思っていますしそれに誇りも持っていますが、周りはそう見ないんです。「もっと脱いじゃったか」「落ちたな」「ここまでやっちゃったら地上波は難しいでしょ」と見られることもある。自分の「好き」だけを発信していると失うものもあるということに気付いたので、周りの大人たちのために好きなことを抑えています(苦笑)。

──作品のタイトルにもある「革命」という言葉は、起業をされたことや新しい事務所に所属されたということも含まれるかと思います。くりえみさんの中ではこの言葉をどのように捉えていますか。

くりえみ 「当たり前を当たり前だと思わない概念」がすごく大事だと思っているんです。私も徐々に露出を減らしてはいますが、「どれだけ露出しても綺麗だったらアートなんじゃないか」という気持ちは変わらずあります。他にも、会社をやっていると「この事業は無理だよ」と言われることもありますが、「無理なことはない」と私は考えています。
視点を変えるだけで無理なことも可能になるし、不可能なことはない。「当たり前を当たり前だと思わない概念」を身につけることが、私の中での「革命」です。

──くりえみさんが現在のような起業家としての活動をしようと考え始めたのはいつ頃からですか。

くりえみ 以前いた事務所を辞めた頃、「雇われて働くのはもう終わりにしたい」と考えるようになりました。それで24歳くらいの頃に起業をして、個人事務所を作ったんです。「私は誰かに言われて何かをするのは向いていない」ということに気付いたので、その後も事務所に所属はしましたが、「私自身のクリエイティブ活動を優先してもらえること」を第一条件にしています。誰かのサービスを使うことよりも、自分で考えて自分が作るものにすごく価値を感じるようになったんですよね。

──そういう考えに至るまで、どなたか影響を受けた人はいますか。

くりえみ 投資家の知り合いで影響を受けた人はいます。時間にすごく融通が利く上に、普通の人が一生で働いて得るような金額を数カ月で得ているのを見て、「そういう人も世の中にはいるんだ」と驚きました。それからは自分という素材を使って最大にお金を稼ぐことを考えるようになりました。

──くりえみさんの活動のモチベーションは、成功の果てにある「時間」と「金」ということですか?

くりえみ そう思うじゃないですか(笑)。
でも実は私、時間もお金も本当はあまりいらないんです。確かにお金は好きだし欲しいんですけど、お金を得てブランド物のバッグが欲しいわけではない。「お金を稼ぐ」というゲームが楽しいだけなんです。

──成功する過程を楽しんでいるんですね。

くりえみ そうです。どんどんと自分の成功例を作っていく作業が楽しい。最低限、自分の好きな人や家族を守れるお金は必要だけど、それ以上に自分で何かに使いたいということではないんです。

──起業家として上手くいかなかったり、つまずいたような経験はありますか?

くりえみ 自分自身でつまずいたと感じているわけではないですが、周りからそう見えるとすれば、今がその時かもしれません。私の会社は投資で成り立っていたんですが、常に新規投資があったので、それを運用資金にしてサービスを回していたことで自転車操業のようなところがあったんです。ところがつい最近、新規投資が止まることになった。投資がないとサービスを回せないので、今は一旦、サービスを他の会社に売却することを考えています。それを“失敗”と言う方もいると思うんですけど、私にとっては勉強になる機会だったんですよね。
自分が至らなかった点を考えるきっかけにもなりました。サービスがグローアップしていく過程で、いつか売却することにはなっていたと思うので、今この段階でそういう知識を身に付けられたり、いろんな人脈に出会えたりしているのはむしろ成功かなと捉えています。

──起業家としての今後の展望と、タレント業の活動で考えていることがあれば聞かせてください。

くりえみ タレントとしては、2022年から2023年にかけて報道番組などで、コメンテーターのようなポジションで呼んでいただく機会が増えました。「論点がズレてる」と叩かれたりすることもありますが、世の中の意見を聞けることも含めて、私はすごく楽しいんです。自分でも自分に落ち度があることはわかるし、すぐにコメンテーターとして完璧になれるとも思っていないから、「ここがダメだったか」「確かにちょっと勉強不足だったかな」と素直に受け止めています。勉強することは好きだし、アイドルだった頃には「触れるな」と言われていた政治や宗教などの話題も率先して話せることが楽しいんです。メディアを通じて発言できることは光栄なことだと思っているので、今後もやっていきたいですね。

事業についても色々と考えていることはあります。例えば、タレントでフェムテック領域の発言ができる人ってあまりいないと思うんです。生理やセックスなどの話題には触れにくい立場の人も多いと思うので、私はその領域の発信ができることを強みに、様々なサービスにも派生できたらいいなと考えています。

──今後のグラビア活動についてはどのように考えていますか?

くりえみ もちろん続けたいですし、好きだから勝手に脱いじゃうんじゃないかなとは思っています(笑)。
ただ、グラビア活動をやっていると、言い方は良くないかもしれませんが、「事業が成功していることへの信憑性がなくなる」という声もあるんです。だから日頃から、今の自分の見せ方で本当にいいのか、ということは自問自答し続けています。その一方で、先ほど言ったフェムテック領域のサービスで言えば、今の私だからこそマッチするようなところもあるなとも感じているんです。他の経営者のように堅苦しいスーツだけを着るのは自分らしくないので、周りの意見も取り入れながら、自分のやりたいようにやりたいなと思っています。

(取材・文/山田健史)
▽くりえみ
6月14日生まれ、千葉県出身。タレント/グラビアアイドル→タレント/起業家。
2014年から2018年までアイドルとして活躍したのち、フリーでコスプレやグラビア写真をSNSに投稿。透き通る柔肌とドールのような丸く大きな瞳、男心をくすぐるフェチ写真に“SNSのフェチ天使”と称される。
Twitter:@kurita__emi
Instagram:kurita__emi

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