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まず、2014年に劇場公開された『STAND BY ME ドラえもん』は興行的に成功した作品といえるだろう。累計観客動員は600万人を超え、興行収入は80億円を突破した。第38回日本アカデミー賞では、最優秀アニメーション作品賞を受賞している。この作品が打ち出した80億円超えの興行収入は、歴代の『ドラえもん』シリーズで最高の数字でもある。
また本作品は『ドラえもん』の原作者・藤子・F・不二雄の生誕80周年記念で制作されたこともあり、原作から数々のエピソードを厳選してひとつの物語にするという力の入れよう。シリーズ最高の興行収入を達成したのは、多くのファンに支持された結果と言えるだろう。
しかし、本作品から6年後の2020年に劇場公開された『STAND BY ME ドラえもん2』は、ドラえもん50周年記念と銘打った作品だったものの、前作ほどの興行収入には至らず。同年に公開された2Dアニメ映画『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の興行収入も下回った。継続的に興行を成功させる難しさを感じさせる結果だ。
また、世界的にも評価の高いスタジオジブリも、3DCGのアニメ映画に挑戦している。コロナ禍により延期されながらも2021年に劇場公開された『アーヤと魔女』は、企画・宮﨑駿、監督・宮崎吾朗の布陣。2020年6月にカンヌ国際映画祭が発表した公式作品の1作にも選出され、海外でも注目を集めた。
その一方で、『アーヤと魔女』の興行収入は3億円と、『千と千尋の神隠し』(316億円)、『ハウルの動く城』(196億円)、『もののけ姫』(193億円)など社会現象と呼ばれるほどのヒットを呼んだ近年のジブリ作品の中ではもっとも苦戦した作品となった。
また「週刊少年ジャンプ」を経て、現在は「ジャンプSQ」で連載されているテニスマンガ『テニスの王子様』も、3DCGアニメ映画化された作品。2021年に劇場公開された『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』は、原作の許斐剛が製作総指揮をとった作品。それまでの劇場作品は2Dだったが、本作は3DCGによる映像化を実現。SNSでは「リョーマとさくのちゃんが教会で歌って踊り始めたあたりから完全に目が離せなくなりそのまま最後まで観た」「3D映画のテニスの王子様とかいうのやってるからつけてたらめちゃくちゃ急にミュージカル」と3Dならではの演出に高評価の声が上がっている。
ここまでの3作品の傾向から、3D化すれば2Dよりも興行収入が良くなるかというと、必ずしもそうではない。
『クレヨンしんちゃん』は初の3DCGのアニメ映画ということで注目は集まっている。ただ、『クレヨンしんちゃん』を3Dにしなければならない理由は?という声もあるのも事実。実際に公開された作品を見た人は、SNS上で「テンポ良し、3Dの迫力良し、ギャグ良し、ストーリーもしっかり良し!!」「内容は良かったけど、3Dに違和感があった」などと3Dに関しては意見が分かれている模様。
とはいえ、ディズニーのアニメ映画は3DCGで公開されることが多く、世界のトレンドは3D。今後、日本のアニメ界も3Dの方向に進んでいく可能性も高い。世界に通用する3Dアニメ映画が日本からも生まれることを切に願う。
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