【写真】『銀河の一票』プロデューサーの佐野亜由美氏とドラマ場面カット【13点】
◆「自己責任論は否定しよう」
――毎話いろいろな社会課題が描かれていましたが、各話を描くうえで意識していることは?
佐野 前提として、本作は「政治は生活」ということを伝えることに注力しています。そのため、特定のイデオロギーに基づいた主張を描いて、視聴者に「ちょっと感覚が合わないかも」と拒否反応を起こされないようにしました。
――第4話では生活困窮者の現状が描かれていましたが、これも“イデオロギーの1つ”という見方をされそうですが。
佐野 いろいろな考え方があって良いと思いますし、何か特定のイデオロギーの否定をしたいわけではありません。ただ、1つだけ「自己責任論は否定しよう」ということは決めていました。
――それはなぜですか?
佐野 誰だっていつ病気になるかわからないし、いつ働けなくなるか分からないし、いつ“穴に落ちる”のかも分からないじゃないですか。そうなった時に「あなたが穴に落ちたのは全部自己責任です」と言われてしまう社会だと、不安で生きていけないと思うんですよね。近年、自助・共助・公助という言葉を聞く機会も増え、個人的に危機感を持っていて、自己責任論という考えは否定したいなと。私自身も何度も穴に落ちてきましたし。
――第3話では低賃金で働く介護職員、第5話では障がい者雇用などが描かれていました。
佐野 「この社会課題を描きたい」からスタートしているわけではなく、「このキャラクターはどういう人生を歩んできた人なんだろう」ということから考えています。例えば、あかりという人物を掘り下げていった時に、「この人はきっと、自分のためより、誰かのために我慢したり、頑張ったりする人なんじゃないか」という話になったんです。
――社会課題というよりは、登場人物の背景を軸にエピソードを決めていったのですね。
佐野 そうです。そこから「じゃあ今、何を抱えているんだろう」「なぜ都知事選にすぐ出られないんだろう」って考えていく中で、鴨井とし子(木野花)というキャラが生まれ、認知症や介護、成年後見制度の問題につながっていきました。
◆生活困窮は対岸の火事?
――何話にどの社会課題を描くのか、という順番も重要そうですが。
第4話は生活困窮者がメインでしたが、実は序盤に持ってくる予定はなかったんです。というのも、制作のために、いろいろ社会課題の取材をさせてもらっているのですが、その中でとある取材先から「生活困窮者問題は多くの視聴者にとって“対岸の火事”で、自分事としては考えてもらいにくいテーマだから、早めの回で取り上げないほうが良いのでは?」とアドバイスをもらいました。
――生活困窮者問題は視聴者から共感されにくい、縁遠いテーマだと。
佐野 はい。その時、私は「なるほど。確かにそうかも」って一回納得してしまったんです。
――ドラマ制作の場での議論が、そのままドラマでも描かれているのですね。
佐野 劇中に茉莉とあかりが意見を交わすシーンがありますが、実際に制作陣が感じている様々な“違和感の捉え方”はすごく大切にしています。そういった議論を繰り返す中で、当初の作品のイメージとは変わってきた部分もありますが、「こういう作品がやりたかったんだ」と思っています。
◆チームを毎回変える理由
――佐野さんが手掛けた『エルピス-希望、あるいは災い-』(同、2022年)もそうですが、政治をエンタメで描くことの意義はどのように考えていますか?
佐野 私はドキュメンタリーがすごく好きなんです。でも、ドキュメンタリーって本当に見られないんですよ。ものすごく時間もお金も労力もかけて作っているのに、視聴率が1%を切ることも珍しくありません。
――ドキュメンタリーを見るのはなかなか腰が重いですからね…。
佐野 いろいろな社会課題をエンターテインメントとして描くことで、それらに興味を持ってもらう入口になればと。
――橋渡し役になれれば、と思っているのですね。
佐野 はい。本作で選挙・政治の全てを描いている、なんて1ミリも思っていません。あくまで興味のきっかけになれば良いですし、そういった役割をエンターテインメントが担えれば良いんじゃないかと思っています。
――ちなみに、本作は『エルピス-希望、あるいは災い-』以来となる、実に約4年ぶりとなるプロデューサーを務めることでも注目を集めています。このことはハードルに感じていますか?
佐野 他の取材でも「『エルピス』以来の作品ですが~」と聞いてもらうことが多いのですが、正直なところ「そんな風に見ている人がいるんだ」と驚いてばかりです。
――あまり頭になかったと。
佐野 私自身、終わった作品のことを全部忘れちゃうんですよ。『エルピス』のスタッフと会っても、当時の話とか全然しませんし、例えば取材で話題にあげていただいても、「そんなシーンあったっけ?」となることも多くて…。期待通りの回答ができずに本当に申し訳なくなっています。
――そうだったんですね…。
佐野 あと、あまり過去の作品を覚えていない要因として、作品ごとにチームを変えていることも大きいのかもしれません。だから、『エルピス』について日常的に話す機会も少ないため、忘れてしまっているようにも思います。
――なぜ毎回チームを変えるのですか?
佐野 題材の特性や出演していただく役者さんごとに、そのとき一番良いものを作れると思うチームをゼロから集めているからです。また、全然違うメンバーで制作すると、「毎回違う国に行く」みたいな新鮮さがあって楽しいんですよね。
――最後に後半戦の見どころについて教えてください。
佐野 7話以降は、本格的に選挙戦が動き出します。今まで「この人、絶対何かあるよね」と思われていたけど、あまり描かれてこなかった人物たちが一気に動き始める。かなり怒涛の展開になると思います。
――どのような結末になるのか楽しみです。
佐野 実は「最終的にこういう場所に着地したい」という地点だけは、最初からなんとなく決めていたんです。でも、途中で物語は想像以上に広がっていって、最初に考えていたものとは全然違う方向にも行った。それなのに、最後にはちゃんと“最初に見えていた場所”に戻ってきた感覚があって。
【前編】『銀河の一票』P「政治は生活。放送後に投票率を0.1%でも上げたい」

![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)




![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)


