2006年の公開以来、"働く女性のバイブル"として愛され続けてきた映画『プラダを着た悪魔』。その続編にあたる『プラダを着た悪魔2』が公開されてから約1カ月が経った。
国内興収40億円(5月24日時点)を突破する勢いを見せている一方で、ネット上の反応は賛否両論。なぜ本作はこれほど評価が分かれたのだろうか。

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その理由について言及する前に、まずは前作の内容を振り返っておきたい。物語の舞台は、誰もが憧れる一流ファッション誌「ランウェイ」の編集部。ジャーナリスト志望の主人公アンディ(アン・ハサウェイ)は、夢への足がかりとして同誌のカリスマ編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタント職に就く。しかし、そこで待ち受けていたのは"悪魔的"な要求が次々と降りかかる過酷な日々だった――。

はじめはファッションに無関心で愚痴をこぼしてばかりだったアンディ。しかしアートディレクターのナイジェル(スタンリー・トゥッチ)に諭されたことをきっかけに意識を改め、仕事へ真剣に向き合うようになる。服装も洗練されたものへと変わり、やがてミランダからの信頼も勝ち得ていく。"未熟だった主人公"が一流の世界で成長していく姿こそ、本作最大の見どころだった。

一方、今作では打って変わって"すでにキャリアを築いた彼女たち"のその後に焦点が当てられている。前作のラストでミランダのもとを離れたアンディは、報道記者として多忙な日々を送っていた。
しかし「ランウェイ」存続の危機をきっかけに、再び編集部と関わることになる。

そこには相変わらず圧倒的な存在感を放つミランダ、そして彼女の右腕として働き続けるナイジェルの姿が。さらに「ランウェイ」の広告枠の多くを担うラグジュアリーブランドには、かつてアンディとともにミランダのアシスタントを務めていたエミリー(エミリー・ブラント)の姿もあった。

もちろん、今作でも仕事に打ち込むアンディの奮闘が描かれる。だがファッションに疎く、目の前の仕事をこなすだけで精一杯だった前作とは異なり、彼女は物語開始時点ですでに一人前のキャリアウーマンだ。

序盤こそ思うような成果が上げられず悪戦苦闘する一幕があったが、自分に与えられた任務は着実にこなしていく。ファッション面においても前作で磨き上げたセンスは健在で、ミランダのもとを離れていた間に "ダサいアンディ"に戻っていた、なんてこともない。パーティー用のドレスを選ぶ場面でも、ナイジェルが勧めたものではなく、最終的に自ら気に入った一着を選んでいた。

そういった意味では、前作のような"成長していく喜び"や"垢抜けていく過程を見守る楽しさ"は薄れてしまっていると言えるかもしれない。アンディがミランダ仕込みの実力を存分に発揮するような物語でもなく、彼女の活躍ぶりは良くも悪くも現実的。その独特な立ち位置は、前作の爽快な成長物語を愛したファンほど賛否が分かれるポイントになりそうだ。

もっとも、『プラダを着た悪魔2』において"成長"がテーマではないことは明らか。
前作の公開から20年が経ち、時代も価値観も大きく変化した中で、アンディやミランダはどう生き、どう変わっていくのかを描くことが主題だったように思う。だからこそ本作は、成長を楽しむ物語というよりも、懐かしい登場人物たちとの"再会"を楽しむ作品だった。

いずれにせよ、『プラダを着た悪魔2』は前作への思い入れが強いほど賛否が分かれる作品だろう。その一方で、前作を愛した人ほど楽しめる要素が詰まっているのもまた事実である。一度目とは違う視点で観てみれば、初見のときとはまた違った魅力が見えてくるかもしれない。

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