病気になりにくいからだを作り、健康寿命をのばしていくためには、やはり食生活に気を配ることがとても大切です。中でも、野菜を意識してたくさん食べることが、必要不可欠。
なぜなら野菜は、抗酸化力や免疫活性力、さらに腸内環境を整える力を高める成分を豊富に含んでいるからです。

本記事では『病気知らずの決め手はやっぱり野菜だった』(森由香子/青春出版社)から抜粋してご紹介。今回のテーマは『野菜の摂取量と死亡率との関係を示す〝ある指標〟』。
○野菜の摂取量と死亡率との関係を示す〝ある指標〟

近年になり、各国の公衆衛生に関する政策のための指標として、平均寿命の代わりに〝ある指標〟が世界的に注目されるようになってきました。

その指標とは、「DALY(ダリ)」(Disability-AdjustedLifeYear)です。1990年代の初頭、ハーバード大学のクリストファー・マーレー教授らが開発した、障害の程度や障害を有する期間を加味して調整した〝生存年数〟のことで、日本語では「障害調整生存年」と呼ばれています。平均寿命とは違い、疾病や障害による負担も考えられた指標です。

たとえば「1DALY」は、病気などにより健康な生活が1年間失われたことを意味し、数値が小さいほど良いことになります。

そんな「DALY」の数値が、日々の食事に野菜と果物を増やすことでよくなることがはっきりしてきました。心臓病や脳卒中、つまり循環器系の疾病による死亡率が低下するのです。
福岡県久山町で長年にわたって行われている多目的コホート研究(共通の特性を持つ集団を長期間追跡することで、病気の発生や健康状態の変化を観察し、特定の要因と健康状態との関連性を明らかにする研究)でも、「果物・野菜摂取量が多いと全死亡リスクが低い」と報告されています。具体的には、果物・野菜摂取量が少ないグループに比べ、果物摂取量が多いグループでは全死亡リスクが約8~9%、心臓血管死亡リスクが約9%低く、野菜摂取量が多いグループでは約7~8%低いことがわかりました。
この結果は、多くの先行研究の結果と同様です。

実際には、日本人の野菜摂取量は、もっとも新しい令和6年の調査によると、男性は268.6グラム、女性は250.3グラムで、年齢階層別にみると、年齢が高い層で摂取量が多いことがわかりました。とはいえ、現状は70歳以上でも男女とも350グラム以上の人の割合は30%前後です。

日本人で1日の野菜摂取目標量である350グラムを達成している人はかなり少なく、厚生労働省は、日本人が野菜の摂取量を70グラム増やすことにより、循環器疾患の疾病負荷が小さくなると予測される、としています。

ちなみに、医学雑誌『theLancet』に掲載された調査報告によると、「日本人の死亡に寄与する食事要因」は、1番から4番めまでが、食塩の過剰摂取、全粒穀類摂取量の少なさ、果物摂取量の少なさ、種実類の摂取量の少なさ、で、野菜摂取量の少なさが5番目に挙げられており、「DALY」も同じ傾向がみられると指摘する研究者もいます。

古くから野菜や果物をしっかり食べることが推奨されていましたが、それが病気にならないためにどれほど大切であるか、近年のさまざまな研究で、より科学的に明らかになってきている、ということです。

○『病気知らずの決め手はやっぱり野菜だった』(森由香子/青春出版社)

近年の栄養学や免疫学の研究では、「野菜の力」の科学的な裏づけが、ますます明らかになってきました。たとえば、枝豆やブロッコリーなどに含まれる成分が、長寿分子「NMN」を体内で増やし、細胞の老化を防ぐ働きをすること。抗酸化成分が脳の老化を防ぎ、認知症のリスクを下げること。また、ブロッコリーやキャベツなどに含まれる成分が、糖化やがんの進行を抑える働きを持つこと――。野菜は「栄養補給」だけでなく、「細胞レベルで体を守る食べ物」だとわかってきたのです。本書では、病気になりにくいからだ作りに特に効果的な野菜をピックアップし、それぞれ主な栄養成分とその効果をはじめ、野菜の持つ力を高めるためにもっとも効果的な調理法や、ほかの食品との食べ合わせを紹介しています。
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