「健康のためだから」と、好きな食べ物を我慢していませんか? 実はその“我慢”が、免疫力を下げる原因になっている可能性があります。和田秀樹氏は、「おいしい」「楽しい」と感じることこそが、体の免疫システムを活性化させる重要な要素だと指摘します。
今回のテーマは『「おいしい!」は最強のがん予防薬』。
○「おいしい!」は最強のがん予防薬
日本人の死因の第1位ががんであることは先述しました。厚生労働省の統計(2023年)によると、年間38万人以上の方ががんで亡くなっています。
がんは不運によって起こる病気だと思いがちですが、実は私たちの体の中では、細胞のミスコピーによって毎日数千個ものがん細胞のもとが生まれています。
それでもほとんどの人が発症しないのは、体の防衛軍である「免疫細胞」が、片っ端からがん細胞のもとを退治してくれているからです。
この免疫システムには、大きく分けて二つの部隊があります。
一つは、生まれつき備わっている「自然免疫」。常に体内をパトロールし、あやしい対象を見つけると攻撃する「NK(ナチュラルキラー)細胞」などがこれに当たります。
もう一つは後天的に獲得する「獲得免疫」。一度侵入した敵を記憶し、ピンポイントで攻撃するB細胞やT細胞といった部隊です(ワクチンはこの仕組みを利用したものです)。
ここで重要な事実があります。
つまり、年をとればとるほど、私たちは最前線で戦うNK細胞などの自然免疫を守るために、しっかり栄養をとらなければならないのです。
その鍵を握るのが、「材料」と「指令」です。まず材料とは、免疫細胞の膜の原料となるコレステロールです。ここでもやはり、しっかり食べて栄養をとることが基本となります。
そして指令となるのが笑いや快感です。「あ、これおいしい!」「楽しい!」という脳からのポジティブな刺激が免疫系に伝わると、NK細胞が一気に活性化することがわかっています。
逆に、「健康のため」と称して嫌いなものを無理して食べたり、ストレスを溜め込んだりしていると免疫力はガクンと下がります。
おいしいものを食べて笑顔になることは、毎日体内で生まれるがん細胞のもとを撃退するための、最も理にかなった医療行為だともいえるのです。
○『65歳からは戦略的ちょいデブ 心が軽くなる「脱・やせ信仰」のススメ』(和田秀樹/青春出版社)
65歳からは「ちょい太め」が一番長生き、そして幸せ!健康診断の「メタボ判定」に一喜一憂し、好きな食べ物を我慢してまで体重を抑えていませんか? ある程度年齢を重ねてから、真に恐れるべきは「肥満」ではなく「やせ(低栄養)」なのです。本書はシニア世代に向けて、「戦略的に小太り(ちょいデブ)を目指す」という新しい健康常識を提案します。「BMI25~30が最も長生き」「小太りは免疫力が高い」「肉こそが長寿の特効薬」など、医学的データに基づいた手法の数々を提案していきます。
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