「最近、疲れやすくなった」「急に老けた気がする」――そんな変化を感じていませんか。
近年、細胞の働きと深く関わる「ポリアミン」という成分が、“老化との関係”で注目されています。
この記事では、『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(松藤千弥/アスコム)から抜粋して、ポリアミンを多く含む食材について紹介します。
○ポリアミンを多く含む食材とは
どんな食品にポリアミンが多く含まれているのでしょうか。
西村和洋さん、五十嵐一衛さんらが所属していた千葉大学の研究グループは、日本で市販されているさまざまな食品のポリアミン含量を測定し、報告しています。
ここでは、その結果をもとに、ポリアミンを多く含む主な食材を、食品のカテゴリーごとに示します。
穀類:小麦胚芽、胚芽米、黒米、トウモロコシ
野菜:ピーマン、カボチャ、モロヘイヤ、ブロッコリー、ルッコラ、トマト、オクラ、ネギ、ダイコンの葉
豆類:大豆、黒豆、納豆
ナッツ類:ピスタチオ、マツの実
キノコ類:シメジ、エリンギ、マイタケ、シイタケ、ナメコ、マツタケ
乳製品:ブルーチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ
魚介類:ワカサギ、タラの卵(タラコ)、ウナギの肝、サザエ(内臓含む)、ツブ貝(内臓含む)、シジミ、イクラ、タラの白子
肉類:レバー(鶏・豚・牛)、牛の腸、鶏の心臓、砂肝
フルーツ類:オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンゴー、ドリアン
調味料:魚醤、オイスターソース、味噌、しょう油
飲み物:甘酒
カテゴリー全体として特にポリアミンが豊富なのは、豆類とキノコ類です。
豆類は、豆そのものを食べることが重要です。
豆腐や豆乳などの加工食品では、製造過程で含有量が減少することがわかっています。
キノコ類は、私たちが日常的に食べている多くの種類に豊富に含まれているので、好みのキノコをふだんの食事に取り入れるといいでしょう。
野菜や果物については、ポリアミンを多く含むものと、あまり含まないものがあります。
そのため、前に示したリストから毎日1種類は意識して食べるというのがおすすめです。
興味深いことに、ピーマンは完熟した赤より、未熟な緑のほうがポリアミンが多いという報告があります。
同じ野菜でも、種を実らすためにポリアミンをたくさんつくっている若い実と、熟してポリアミンがあまり必要ではなくなった実とでは、違いがあるのです。
このことから、旬の季節野菜であっても、若い実や葉、つぼみを食べるタイプの野菜のほうが、ポリアミンを多く含んでいる可能性が高いと考えられます。
野菜の鮮度とポリアミン含量の関係については、いくつかの研究結果が報告されていますが、保存によってポリアミンが増える場合も、減る場合もあって、一概にはいえません。
これは、収穫後も野菜の細胞が生きており、温度や保存条件によって代謝の状態が変化するためと考えられています。
たとえばブロッコリーでは、低温で保存するとストレス反応としてプトレッシンが増える一方、常温ではスペルミジンが大きく減りやすいことが報告されています。
このように変化の方向は一定ではないため、野菜の鮮度だけに神経質になる必要はありません。
むしろ、日常的に野菜を十分にとることの方が重要だといえるでしょう。
肉類では、臓物系が目立ってポリアミンを多く含みます。
牛・豚・鶏の切り身として、広く食される筋肉は、あまりポリアミンが多くありません。
これに比べて、肝臓、小腸、大腸などの臓器は、タンパク質合成や、細胞の入れ替わりが活発であるため、ポリアミンを多く含む傾向があるのです。
特にレバー(肝臓)のポリアミン含有量は高く、鶏レバーがもっとも高濃度と報告されていますが、豚レバー、牛レバーにもたくさん含まれます。
また、鶏の心臓や砂肝もたくさん含まれているので、それらを手軽に食べられる焼き鳥はポリアミンの摂取に適した食事といえます。
魚類は種類により違いはありますが、魚の筋肉である切り身にはポリアミンはあまり多く含まれていません。
これも肉類と同じ理由で、筋肉中の含有量があまり多くないためです。
一方、貝類はおすすめです。シジミやアサリのように、小さくて丸ごと食べるものは、内臓系も一緒に食べるのでポリアミンがたくさんとれます。
同じ理由で、ちりめんじゃこのように内臓も丸ごと食べられる小魚は、よい供給源になると考えられます。
発酵食品は少し注意が必要です。
全体的な傾向としては発酵微生物が産生するポリアミンにより、ポリアミン濃度が高いものが多いですが、ケース・バイ・ケースです。
たとえばチーズでは、カマンベールなどの熟成度が低いものはポリアミン量が比較的少なく、ブルーチーズなどの熟成度が高いものは非常に高濃度と報告されています。
納豆の場合は少し事情が異なります。
発酵過程で納豆菌によってポリアミンが消費される可能性があり、発酵後の納豆よりも大豆そのもののほうが多くポリアミンを含んでいるという報告があります。
とはいえ、大豆は調理しないと食べにくい食材です。
手軽に食べるという点では、納豆は使い勝手がよく、多くのポリアミンをとることができます。
ぬか漬けやしば漬けにもポリアミンが多く含まれています。
発酵させないタイプの漬物類は野菜由来のものしか含まれておりません。
反対に、ポリアミンがあまり含まれていない食材も紹介しておきます。
インスタント食品や菓子類といった加工食品です。
たとえば、カップラーメンやスナック菓子はほとんど含まれていません。
炭酸飲料を含む清涼飲料にも入っていません。
白米や小麦粉(精白小麦粉)にもほとんど含まれていません。
ただし、胚芽米や玄米、全粒小麦(全粒粉)にはポリアミンがしっかり含まれています。
これは当然といえば当然です。
ポリアミンは細胞が増えるときに必要な物質であるため、生命活動に重要な胚の部分にたくさん含まれます。
ところが、精米や製粉によってその部分が取り除かれると、残った白米や小麦粉にはほとんどポリアミンが含まれなくなります。
卵類や牛乳には、残念ながらポリアミンはあまり含まれていません。
ですが、これらは良質なタンパク質やビタミン類が豊富な優れた食品です。
タンパク質からはポリアミンの原料となるアミノ酸が生じるので、間接的に体内のポリアミン産生を支える食品といえます。
飲み物でいえば、コーヒー、紅茶、緑茶にもほとんど含まれていません。
ただ、緑茶の葉はポリアミンが豊富で、抹茶は高ポリアミン飲料といえます。
酒類は発酵によってつくられますが、あまりポリアミンは含まれていないことがわかっています。
ビールには一定レベルのポリアミンが含まれています。
しかし、その他のお酒に関してみると、ワインにはわずかにポリアミンが含まれるものの、日本酒や蒸留酒である焼酎やウイスキーなどにはほとんど含まれていません。
お酒からポリアミンをたくさんとることは、期待しないほうがいいですが、日本酒には腸内細菌がポリアミンをつくる原料となるアグマチンはたくさん含まれています。
その代わり、酒の肴で高ポリアミン食材を選ぶ工夫はできます。
焼き鳥屋で臓器系の串を選ぶなど、先ほど紹介した高ポリアミン食材を意識することが、いつまでもお酒を楽しめる秘訣といえるでしょう。
なお、日本酒をしぼった残り物である酒粕にはポリアミンの仲間が多く含まれていることが知られています。
全体を見渡すと、一般的に「体にいい」とされている食材にポリアミンが多く含まれていることがわかります。
「ポリケア習慣」を心がけることは、結果として体にいいものをたくさん食べることにつながっていくのです。
○『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(松藤 千弥/アスコム)
私たちの体は歳を重ねると、細胞レベルで少しずつ衰えていきます。これは誰にも避けることのできない変化です。ですが、その進み方は、日々の習慣によって大きく変えることができます。そして今、その細胞の衰えに働きかける成分として注目されているのが「ポリアミン」という長生き成分です。本書では、ポリアミン研究の第一人者が40年にわたる研究からたどり着いた『細胞の衰えをゆるやかにする食事術』『無理なく続けられる、日常の食べ方の工夫』を、誰でも実践できる形で紹介します。
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