ファーウェイ・ジャパンは9月末、中国・深センにあるファーウェイ本社で「HUAWEI TruSense」をはじめとしたウェアラブル機器向けの健康モニタリングシステムの技術や研究体制を日本のメディア向けに紹介しました。広東省東莞市・松山湖に位置する研究開発拠点・松山湖キャンパスの様子と合わせてお伝えします。


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[取材協力:ファーウェイ・ジャパン]

説明したのは、ファーウェイデバイス ウェアラブル&スポーツヘルスケア部門 バイスプレジデントの龔元松(キョウ・ゲンショウ)氏。同社でウェアラブル・ヘルスケア製品を統括する部門の責任者を務めています。

ファーウェイの2大主力事業は、無線/光ネットワークやクラウドコアネットワークといったICTインフラ事業と、一般消費者向けの端末事業です(現在はクラウド、クリーン発電などのデジタルエネルギー、車載ソリューション事業なども伸びつつあります)。半導体を中心に研究開発にも力を入れており、研究開発費用は2025年が売上高の5分の1を超える1,923億元、そして2026年1~6月期が売上高の約4分の1となる1,213億元に上ります。

端末事業は中国国内ではスマートフォンが中心ですが、日本市場ではウェアラブル製品、オーディオ製品が主力です。特にウェアラブル製品は、ゴルフ機能に注力したモデルや、日本の管理医療機器認証を取得した血圧測定対応モデルなど、エントリーからハイエンドまで幅広く展開。日本で販売するほぼ全てのスマートウォッチには、複数のセンサーから得た生体データを統合して健康管理に役立てる「HUAWEI TruSense」が搭載されています。
肌の色や気温の違いを前提にセンサーを改良

健康モニタリングの基盤技術であるHUAWEI TruSenseは、センサーからアルゴリズムまでファーウェイが自社開発しています。現在も研究開発が続くセンサーに関しては、肌の色、体毛の濃さ、手首の太さ、バンドの締め具合、気温などの外的要因が“ノイズ”となり計測精度に影響する場合があるそう。このため、センサーモジュールの分解能を高め、微弱な信号からノイズを除去する研究を続けているといいます。

また、計測の速さも重視するポイントとのこと。心房細動や期外収縮、睡眠時無呼吸は断続的に現れるため、計測に時間がかかると捉えられません。
「HUAWEI WATCH 5」などでは、本体側面に指先を当てて測るセンサー「X-TAP」を備えていますが、これは手首と比べ毛細血管の密度が高い指先で測ることで、手軽に精度の高い身体データを得る方法(機能名は「ヘルスケアチェック」)として採用されたといいます。なお、開発当初は測定に90秒かかっていましたが、グローバルで発表された最新モデル「WATCH 6」では60秒以内に短縮されたそうです。
180以上の研究機関と連携、日本からは「音声通知は不要」の声も

健康指標の研究は外部機関と共同で進めています。同社は現在、180以上の研究機関と連携して340以上の健康研究プロジェクトを実施しており、1,800万人以上の利用者が研究に参加しているとしています。

スマートウォッチなどでの計測精度の検証は、東莞市にある研究施設「ヘルスラボ」を中心に、医療や研究の現場で基準とされる測定機器と比べ、ウォッチの計測値がそれと一致するかを確かめる形で行っています。また新たな健康機能を開発する際は、病院などとデータ収集の契約を結び、データを取得してアルゴリズムを開発、検証と調整を重ねて実装へつなげるといいます。

なお、機能開発において国ごとの大きな課題はないといいますが、市場ごとの要望の違いはあるようです。例えば日本では詳細な取扱説明書を求められる傾向があり、「ランニング中の音声通知は周囲の迷惑になるため不要だ」という声があったと明かされました。
今後は新センサーとウォッチ上のAI処理に注力

製品に機能を増やしつつもバッテリー駆動時間を確保するため、最も重視しているのはシステム全体の設計だといいます。新機能を追加する際はほかの機能に悪影響を与えないかを検証するほか、既存の機能で取得したデータから新しい指標を算出できるよう、アルゴリズムの改善も継続。これによりセンサーを新開発せずとも電力消費を抑える効果が見込めます。

今後の研究対象には、新しいセンサーとAIの活用を挙げました。
現在のPPGセンサー(光電式容積脈波センサー)では、血管の太さや分布、血流の速さまでは測れませんが、これらを捉えるセンサーができれば、計測できる生体指標が増える見込みです。

また、AIでは、連続して蓄積した計測データを時系列の大規模モデルで分析する研究と、言語モデルを使って利用者ごとに助言を提示する研究を進めています。AIを進化させることで、端末側でデータ処理できる可能性もあるとしました。
巨大な研究開発拠点にパリ市庁舎を模した図書館が完成

東莞市の松山湖キャンパスは、ヘルスケア製品も含めた同社の大規模研究開発拠点です。約130万平方メートルという広大な敷地に、欧州の12都市になぞらえた12のエリアを設け、計100棟以上の建築物(多くは研究施設)を備えています。欧州の街並みをモチーフにしたのは「外国から来た研究者が故郷を感じられるようにするため」だといいます。

エリア間はテーマパークのような愛らしい外観の移動用トラムで結ばれ、見学時にはセブン-イレブンやファミリーマートといったコンビニエンスストアも見かけました。この研究拠点に勤務する研究者は25,000人に上り、彼らも「道に迷うことがある」というほどの広さです。

この研究開発拠点は2023年にも日本のメディアに公開されていましたが、今回は新たに完成したという図書館「三丫坡図書館(The Sanyapo Library)」も見学できました。外観はパリ市庁舎、内部はフランス国立図書館リシュリュー館の楕円形閲覧室を模した作りで、オリジナルの建築を尊重しながら設計に工夫を加えたとしています。

蔵書は20以上の言語・11万冊以上を揃え、流行の本や技術書などに加え、希少本、古書も保存しているといいます。多様な分野・ジャンル・テーマ・言語の本を通じて視野を広げる場所として、社員が勉強や娯楽に利用できるほか、今回のように社外から関係者や来賓を招待し同社を紹介する場としても使われるそうです。
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