日本代表GK鈴木彩艶(シント=トロイデンVV)は、AFCアジアカップ・グループステージ第1節ベトナム戦につづき、イラク戦でも2失点。同選手への批判が熱を帯びる中、明治安田J2リーグ水戸ホーリーホックの河野高宏GKコーチが持論を述べている。

 パリ五輪世代の有望株として期待を集めていた鈴木は、14日開催のベトナム戦でスタメン出場も、前半のうちにセットプレーから2失点。特に2失点目はヘディングシュートに対する処理が甘かった点で批判の対象となっていた。

 そしてイラク戦では前半キックオフ直後から主導権を握られる中、5分に自陣右サイドからゴール前に上がったクロスをパンチング。しかしセカンドボールがFWアイマン・フサインの正面に行くと、フサインにヘディングシュートで押し込まれて、先制点を献上。前半アディショナルタイムにもフサインにゴールネットを揺らされた。

 この前半5分の失点シーンを巡っては、X(旧ツイッター)で「鈴木彩艶酷い」「パンチングではなく、キャッチすべきだった」「日本代表のGKレベル低い」といった厳しい声が噴出。

 代表OBの田中マルクス闘莉王氏は20日夜に自身のYouTubeチャンネルを更新すると、鈴木のプレーについて「ボールがセンタリング(クロス)から流れてきたら、真ん中に弾くのではなく、ボールを流すように後ろに弾かないといけない。あのセンタリングは2回くらい見たけど、キャッチできなかったのかな。キャッチできないなら後ろに流さないといけない。基本の基本」と、判断ミスを指摘していた。

 一方、河野氏は21日夜にXで「僕がザイオン選手のポジショニングが悪くなかったと評価してるのはこういう理由です」と切り出すと、2019年4月3日に行われたJ2リーグの愛媛FC横浜FCのDAZN中継映像をアップロードした。

 この動画では、前半アディショナルタイムにおける愛媛所属FW藤本佳希のゴールシーンが捉えられている。

愛媛は敵陣ペナルティエリアの左隅からMF山瀬功治がクロスを上げると、GK竹重安希彦がゴール中央手前にポジションを取っていたところ、藤本がニアサイドに飛び込み、頭で合わせてゴールネットを揺らした。

 このゴールシーンを踏まえて、河野氏は「ポケットを取られた時、優先順位が高いのはシュートとニアへの速いクロスへの対応です」と、ゴールキーパーのポジショニングに関する原則を説明。かつて水戸やガイナーレ鳥取でプレーしていたGK福留健吾は「完全に同意」と河野氏の投稿に反応すると、「このボールの位置ではニアポストの横辺りにボールに正体して立つのが原則ですね!さらにこの位置からだとカットバックの状況もあるのでGKとしては可能性のあるアクションが多い状況になりますよね」と綴っている。