レビュー

デパートの洋菓子コーナーを見渡すと、各々の店舗がその店ならではの個性を放っていることに気づく。さらに、店頭に陳列されている商品を手にとると、一目でそのお店の商品だとわかるような包装が施してある。

普段、要約者はこうした商品を「なんとなく」購入しているが、企業や商品のブランディングに携わるプロフェッショナルらによって、戦略的に選ばされているのかもしれない。本書を読んでそんなふうに見方が変わった。
日本で生まれ育った著者らは、ニューヨークの美術大学、School of Visual Artsでデザインを学んだ。卒業後は仕事で経験を積み、2008年にデザイン会社HI(NY)[注・ハイ ニューヨーク]を設立した。米国コカコーラの新商品ラインのブランディングを手がけるなど、日本人デザイナーとしてグローバル・マーケットで成功した著者らは、日本人の「ブランディング」への理解の浅さに警鐘を鳴らしている。
日本には素晴らしい商品やサービスがあるのに、グローバル・マーケットにそれらを「伝える」ことができていないと著者らは語る。
そうした危機感から本書では、著者らが考え、世界中の顧客に対して手がけてきた「ブランディング」の方法や実例を惜しみなく紹介する。
本書は、「マーケターの書いた難しいブランディング書籍よりも気軽に、そしてデザイナーの書いたブランディング書籍よりも実践的に」読めるように書かれてある。これからグローバル・マーケットでビジネスをする人も、すでにビジネスをしている人も、本書から成功のための大きなヒントを得られるはずだ。

本書の要点

・{{li:ブランディングとは、時代や環境、顧客のニーズを考え、企業や商品やサービスのもつ「らしさ=個性」を戦略的に引き出し、その価値を全てのタッチポイントにおいて正しく演出し、効果的に伝わるかたちに落とし込むことだ。}}
・{{li:ブランディングを支える柱は、ブランドの中枢部分であるブランド・システムと、その軸に基づく制作物であるブランド・コラテラルの2つだ。全てのブランド・コラテラルは、ブランド・システムの方を向き、一貫性を持っていなければいけない。

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