レビュー
2020年の最大の出来事は、なんといっても新型コロナの席捲により、私たちの生活様式が大きく変化したことだろう。複数にわたる緊急事態宣言、数度の感染拡大などで、人の動きは大幅に制限された。
こうした中、新型コロナウイルスによって「買い物」のあり方が急速に変化した。買い物の多くがアナログからデジタルに移行し、店舗の持つ意味や価値も変わってきている。これまでは、店舗の立地や店舗内の棚の場所に価値があった。だがいまや買い物の一等地はデジタル上の棚、本書でいう「デジタルシェルフ」にある。価値があるのは消費者の目につく場所、つまり検索上位の場所になったというわけである。
ECの進化は、第1世代「目的」、第2世代「発見」と来て、今後は第3世代「楽しさ」の方向にかじを切っていくというのが、日米中のデジタル消費の最先端を知る著者の予想である。買い物に関する価値観が変化する中、企業は消費者とどう「共創」するかを考える必要がある。
近い未来に実現するかもしれない世界にどう対応するか。その問いに対する1つの答えを、本書は示している。
本書の要点
・買い物は「仕方」と「探し方」で分類できる。仕方には6つのパターンがあり、発見は「目的系」と「発見系」という2つのパターンに分けられる。
・アマゾンと楽天の強さの理由の1つに、失敗を避けるための仕組みがある。楽天は1回目の買い物に、アマゾンは2回目以降の買い物に強い。
・EC大国の中国ではリアル店舗の出店ブームが起き、米国ではダークストアという形式の店舗モデルが生まれている。
・EC進化の第3世代は「楽しさ」だ。消費者と顧客の共創が進む社会では、買ったあとの顧客体験をどのようにつくるかがカギとなる。
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