レビュー
「失敗は成功の母」という言葉があるように、失敗は憂うべきものではなく、次の「成功」へのステップである。本書は『世界「倒産」図鑑』の著者である荒木博行氏の最新作だ。
目次を見ると、かつて目や耳にした記憶はあるが「今はどうなったの?」という、懐かしの商品やサービスがずらりと並ぶ。登場するのは、アマゾン、マイクロソフト、ユニクロ、任天堂……と、名だたるグローバル企業ばかり。本書を読むと、華々しい業績を上げているトップ企業も、迷い悩みながら進んできたことがわかる。
新しいことを始めるとき、私たちはつい「成功モデル」を追ってしまう。過去に売れたものや成功例を探し、踏襲しようとする。一方、本書で紹介する「失敗」事例は、いずれも「攻めた結果」の失敗だ。さまざまな課題を抱える中、それを打開しようと知恵を絞り、果敢に攻めた結果「だめだった」ものである。だからこそ、ここに登場する企業は失敗を失敗で終わらせず、その後に見事に生かしている。「チャレンジ」と「失敗」は表裏一体であり、切り離すことはできない。彼らがトップ企業である所以は、チャレンジと失敗の反芻により得た学びを生かし、次の成功につなげているからである。
要約では全20事例のうち、5つの事例を紹介する。
本書の要点
・アマゾンはスマートフォン「ファイアフォン」で、「買い物体験の向上」を実現しようとした。しかし、ユーザーのニーズとのズレにより、撤退を余儀なくされた。
・ファーストリテイリングの野菜事業「スキップ」は、無駄を省いて利益を出す、ユニクロの流通構造を当てはめて展開しようとしたが、失敗。敗因は、「顧客起点」の考え方の欠如にある。
・任天堂のゲーム機「WiiU」はソフト製作業者を巻き込めず、孤立を招いた。
・セブン-イレブンの「セブンペイ」は、本来施すべきセキュリティ対策を行わず、不正利用が多発した。
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