レビュー

2024年1月から新NISA制度が始まった。また、日経平均株価は1989年につけたバブル期の最高値を更新し、日本は新たな局面に入ったとする声もある。

このような時代背景において、投資に対するリテラシーは高いほどいい。たしかに、近年のオンライン証券の普及や、SNSでのインフルエンサーによる情報拡散により、一昔前に比べると人々の金融リテラシーは高まった。
だが、断片的な情報に振り回され、あるいは米国株一択といった偏った投資スタイルに疑問を持つ方もいるのではないだろうか。本書は、投資の本質を学びたい、情報に左右されない投資スタイルを確立したい、といった望みを持つ方にうってつけの内容である。
本書は65万円だった元手を150億円まで増やした凄腕個人投資家である片山晃氏と、通算5000社以上の会社への取材経験と「不敗の投資家」の異名を持つ機関投資家、小松原周氏の2名がそれぞれの立場から投資について語った贅沢な内容だ。具体的な銘柄選定の手法や、投資におけるマインドセットまで幅広く投資に関する知識を学ぶことができる。
初版は2015年だが、「流行り廃りに左右されない、普遍的な中身にする」というコンセプトのもと執筆されており、改訂版ではさらにそれが進化している。今後も長く活用していけるはずだ。
チャンスは平等にはやってこない。投資に関する意識が高まり、相場がひっきりなしに転換する現代で、機会を逃さず積極的に資産を増やしたいと考える人にとって、心強い伴走者になってくれる一冊だ。

本書の要点

・片山氏が勝てる投資において重要だとするポイントは「変化」を見極める力と、変化から未来を仮定する「想像力」の2つだ。世の中の動向に注意を払い、常に想像力を働かせよう。


・小松原氏が投資において最も重視するのが「自分の投資スタイルを変えないこと」だ。自らの目で見定めた企業の競争力を信じ、外圧に負けない忍耐力を持とう。
・一昔前に比べ、投資行動は一般的になった。それでも、「未来を考え通す力」と「その未来を信じ切る力」という投資の原理原則は変わっていない。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。

exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。