レビュー

クラウド会計ソフトなどを手がけ、急成長を続けるfreee。本書は、freeeがどのようにして急成長する組織をつくり上げてきたのかを、CHROとして事業拡大を牽引してきた川西康之氏が解き明かす一冊である。


特に印象的なのは、組織づくりの核心を「無矛盾な状態」と表現している点だ。多くの企業では制度や施策が個別に導入され、その結果として方針の食い違いや現場の混乱が生まれることが少なくない。著者はそうした状況に対し、ミッションとカルチャーを組織運営の軸に据え、それに合わせてあらゆる制度を設計することの重要性を強調する。
freeeのカルチャーの中心に置かれているのが「マジ価値」という概念である。「ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする」というシンプルな姿勢を指す概念だが、さまざまな制約がある中で、この姿勢を徹底できる組織は決して多くないだろう。また、「理想ドリブン」や「あえて、共有する」といった具体的な行動指針も紹介されており、カルチャーが単なるきれいごとにならず、実務レベルの思考法として機能していることが伝わってくる。
さらに本書では、採用や評価についても明かされている。カルチャーを採用や評価といった制度にまで接続し、組織の価値観を守り続ける仕組みが丁寧に解説されており、この点にも多くの学びがある。
企業が拡大を続ける中、組織の一貫性をどのように設計するかを考えるうえで、ぜひ読んでおきたい一冊だ。

本書の要点

・ミッション・ビジョン・カルチャーを軸に制度を整合させ、組織を無矛盾な状態に保つことが、freeeの組織づくりの出発点である。
・freeeのカルチャーの中心には「マジ価値」という姿勢があり、ユーザーにとって本質的な価値を提供することを絶対的な判断基準としている。
・freeeの評価制度は、成果ではなく成長を評価する「インパクトマイルストーン制度」である。

インパクト創出力とたけのこ力という2つの軸で社員の成長を測り、さらに「キャリブレ制度」によって評価基準を揃えている。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ