レビュー

ラーメンという料理は、あまりに身近であるがゆえに、その奥深さを改めて考える機会は意外と少ないのではないだろうか。本書は、そんなラーメンの世界を、長年ラーメンを食べ歩き、メディア出演でも知られるラーメンライター・井手隊長ならではの視点で解説した一冊である。


本書は全9章で構成されている。ラーメンの歴史、ラーメンスープ、製麺、トッピング、ラーメン店の集客、チェーン店のラーメン、冷凍・チルド・カップラーメン、ご当地ラーメン、そしてラーメンの未来まで、まさにラーメンの世界を網羅した内容だ。テーマの幅広さだけでなく、一つひとつの題材を丁寧に掘り下げながら、その背景にある職人の技術や経営の工夫、さらには文化としての広がりまで読み解いていくのも、井手隊長ならではである。
たとえばトッピングの章では、チャーシューやワンタンといった身近な具材から、店ごとの哲学や職人の手仕事の価値が浮かび上がる。さらに別の章では、ラーメン店の集客やチェーン展開といったビジネス面にも踏み込み、ラーメンという食文化がどのように広がり、時代を超えて再構築されてきたのかを多角的に描いている。
ラーメンを愛する「ラヲタ」の目線で語られる文章は軽快で読みやすく、それでいて発見が多い。本書を読めば、次に食べる一杯が、きっとこれまでよりも味わい深く感じられるだろう。

本書の要点

・醤油は日本人の味覚に深く根付いた、香りやコクを自在に設計できる調味料である。多様なラーメンが生まれる中でも、醤油ラーメンは原点として高い人気を保ち続けている。
・ワンタンは手間がかかり利益にも直結しにくいため扱う店は少ない。だからこそワンタンメンを看板に掲げる店は手仕事への情熱があり、名店である可能性が高い。
・「一風堂」と「一蘭」は、豚骨の臭みを抑えた味づくりと独自の店舗体験によって支持を広げ、豚骨ラーメンを博多のローカル食から全国、そして世界へ広げた存在である。



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