蘇る名馬の真髄
連載第46回:ゴールドシチー

かつて日本の競馬界を席巻した競走馬をモチーフとした育成シミュレーションゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)。2021年のリリースと前後して、アニメ化や漫画連載もされるなど爆発的な人気を誇っている。

ここでは、そんな『ウマ娘』によって再び脚光を浴びている、往年の名馬たちをピックアップ。その活躍ぶりをあらためて紹介していきたい。第46回は、競馬史のなかでも1位、2位を争う"美形"として知られるゴールドシチーをピックアップする。

『ウマ娘』では「100年に1人クラスの美少女ギャル」 競馬史...の画像はこちら >>
『ウマ娘』のなかには、「100年に1人クラスの美少女ギャル」とプロフィールに記されたキャラクターがいる。それが、ゴールドシチーだ。長らくモデルをしており、望まれるままの自分を演じていたという生い立ち。しかしある時、「走りこそが自分の本懐」と目覚め、レースでの勝利を目指すようになった――。

 この設定は、モチーフとなった競走馬・ゴールドシチーから来たもの。なにしろ、同馬は絶世の美形だったのである。

 サラブレッドの毛色のひとつに「栗毛」というものがある。そのなかでも金色に近い「尾花栗毛」の持ち主だったのが、ゴールドシチー。金色の馬体はもちろん、金色のたてがみと尻尾は多くのファンを魅了した。

この特徴はウマ娘の髪色にも反映されている。

 また、同馬は顔の中央に「流星」と呼ばれる白い模様が入っており、その姿がより美しさを際立たせた。こうしたことから"グッドルッキングホース"として名を馳せたゴールドシチーだが、その見た目だけでなく、"走り"においても十分なインパクトを残している。

 1986年、3歳(現2歳。※2001年度から国際化の一環として、数え年から満年齢に変更。以下同)でデビューしたゴールドシチーは、3戦目の未勝利戦を勝ち上がると、続くGⅢ札幌3歳S(札幌・ダート1200m)で2着と好走。直後のオープン特別・コスモス賞(函館・芝1700m)では鮮やかな勝利を飾った。

 そうして、その年末には3歳王者決定戦となるGⅠ阪神3歳S(阪神・芝1600m)に挑戦。3番人気に推された。

 スタートして、ゴールドシチーはややかかり気味に好位の2番手につける。4コーナーでは早くも先頭に立って、直線では後続のライバルたちを迎え撃つ形になった。直線半ばでサンキンハヤテが迫り、さらに外からファンドリスキーが強襲してきたが、最後にもうひと伸び見せたゴールドシチー。

先頭でゴール板を通過し、見事に戴冠を遂げた。

 GⅠ馬となったゴールドシチーは翌年、クラシック路線に参戦。前哨戦のGⅡスプリングS(中山・芝1800m)で6着に敗れたこともあって、一冠目のGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)では、11番人気と大きく評価を落としていた。

 しかし、レースでは後方待機から直線ですばらしい伸び脚を披露。勝ったサクラスターオーが大外から豪快に突き抜けたあと、馬群を縫って2着に食い込んだ。

 皐月賞馬サクラスターオーが戦線離脱して迎えた二冠目のGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)では、1番人気マティリアルに次ぐ2番人気の支持を得た。再び後方から運んで直線では大外から伸びてきたが、好位から先に抜け出したメリーナイス(1着)らに及ばず4着。人気に応えることはできなかった。

 その後、ゴールドシチーは夏の休養を経て、GⅡ神戸新聞杯(阪神・芝2000m)で3着、GⅡ京都新聞杯(京都・芝2200m)で失格(スタート直後に斜行して他馬が転倒)となったあと、三冠最終戦のGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)に臨んだ。

 ダービーに続いて2番人気の評価を受けたゴールドシチーは、好スタートから道中7番手あたりを追走。レースは淡々と進んでいったが、3コーナーの坂下から一気にレースが動いていく。そんななか、ゴールドシチーは直線でインコースを突いて追撃を図った。

 直線半ば、馬場の中央に進路を変えて着実に脚を伸ばしていくゴールドシチー。4~5頭が競り合うなか、先に内から抜け出したサクラスターオーを懸命に追ったが、最後は半馬身届かずの2着。悲願のクラシック制覇は叶わなかった。

 以降、ゴールドシチーは古馬の重賞戦で奮闘した。勝ち星にこそ恵まれなかったものの、GⅡ戦では何度か上位争いを演じて、5歳春のGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)では5着と善戦。存在感を示した。

 6歳となった1989年春、GⅠ宝塚記念(10着。阪神・芝2200m)を最後に引退。その日のパドックでも、同馬の美しさを見ようと集ったファンの視線を釘づけにした。

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