【今週グサッときた名言珍言】


「無邪気ですね。子どもみたい」
(ヨネダ2000・愛/NHK「アイカタ」8月25日放送)


  ◇  ◇  ◇


 2021年の「THE W」(日本テレビ系)決勝が、初めての地上波テレビ出演、翌年には結成2年で「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)のファイナリストとなり、大きな話題を呼んだ女性コンビ・ヨネダ2000。

その決勝では、審査員が「ずっと何をしているのか分からなかったのに笑ってしまった」などと口々に評していたように、無意味でナンセンスなネタが特徴的だ。ネタ作成者は誠(26)。彼女について、相方の愛(28)が語った言葉を今週は取り上げたい。2人は「お母さん(愛)と子ども(誠)」のような関係性だという。


 吉本興業の養成所「NSC」東京校で出会った2人はそれぞれ別のコンビを組んでいたが、愛が誠を誘ってコンビを結成した。だが、当初はうまくいかず同期の男性芸人を加え、トリオに。彼を加えたのは、誠の書くネタは面白いのに、周りに理解されず結果が出ずに、愛が不安になっていたからだ。しかし、それもやがて解散。2人は別々の道を模索するが、結局「ヨネダ2000」として再出発した。


 そんな紆余曲折があったからこそ、自分たちが楽しいと思えるネタを貫こうと思えた。もはや客にウケなくても「あんなにおもしろいのになんでスベったの!?」と2人で笑ってしまうという(テレビ朝日「logirl」23年9月7日)。


 ある配信ライブで「マイナス13点」を取ったことがあった。

さすがに反省をしなければいけないと思い、2人で映像を見直した。すると2人で爆笑し「これは直さなくてもいい」という結論に達した。「自分の中でヨネダ2000が固まった瞬間だった」(同前)と誠は振り返る。誠が「スベってるけど楽しいな?」と思ったときに愛も同じように笑っているのだ。


「本当にやりたいことだったら周りなんてどうでもいいやと思います。お笑いはすごく好きでやりたいことなので、何か言われてもブレないようにしています」(メディオ「ch FILES」23年5月31日)


 そう言い切る誠に対し、「私は誠のやりたいことは普段から止めないようにしてるんです。誠が考えてきたことは、なるべく私が忠実に再現したい」(INFASパブリケーションズ「TOKION」22年10月7日)と語る愛。それはまさに母と娘のよう。そんな2人は、将来の夢をライブのトークコーナーで質問されたとき、まったく同じ答えを出したという(同前)。


「全人類を笑わせたい」


 彼女たちなら、その芸風のまま「わからないのに笑ってしまった」を広げていくに違いない。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


編集部おすすめ