テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 ていうか、4K放送見たい人っています? ほとんどの人がスマホで動画を見ている今の世の中に「4K高画質」って意味ありますかね? それに、私も一応映像業界人のはしくれですが、普通の人の家にあるくらいの大画面テレビなら、ハイビジョンで十分だと思いますよ。そもそも、4K放送なんて盛り上がってたのは総務省とNHKくらいですよね。

民放を巻き込まないで公務員のみなさんだけで頑張っていただきたいとしか言いようがありません。


 だいいち番組制作費が減る一方で、現場は普通の番組作るのだって必死で節約してるのに、4Kなんて悠長に作ってられないっていうのが正直な実感だと思います。それに、4K高画質で番組を完成させるためには、スゲー金も手間もかかるんです。4Kで撮影すればそれで済む! ってわけじゃなく、4Kで編集したり4Kで中継しなきゃならないわけですし、それを4Kで電波に乗せなきゃならないわけですから。いちいちいろいろ機械設備も必要で、お金も手間もかかるし大変なんですよ。


■高品質にこだわるなら「音」をなんとかすべき?


 それに「高品質なコンテンツ」っていうなら、まずは「音」をなんとかしたほうがいいですよね。いまだに一部のジャンルを除くと、ほとんどの番組は、テレビ番組の撮影の時には、大部分はモノラルで収録しています。じつは、ステレオで音声を収録するのも結構大変だったりするんです。いくら画質だけ良くしたところで、音声はいまだにモノラル収録だったりするわけですからね。


 いまやスマホとか市販の小型カメラで撮影して、フツーのパソコンで編集して番組を作るのが結構当たり前の世の中になってるんです。スマホで撮ったものをスマホで見てる、っていう時代なんですよ。世間が求めてるのは、むしろスマホで撮ったものです。

高画質カメラで撮影したものなんかじゃない。


 たぶんコンテンツはどんどん「高品質で有料のもの」と「低品質で無料のもの」に二極化していく方向性なんだと思います。高画質のものが見たかったら、映画館とか大画面がある場所に行くか、有料配信で購入するか、の時代でしょう。放送は「低品質だけど無料」の方向性に行くしかないと思います。フットワークをどんどん軽くして、気軽に見てもらえるようなものを制作していかないとダメな時代ですから、4Kやるなら放送以外でやってくれ、と思います。「放送いる? 配信でよくね?」という時代に、高画質放送とかまったく時代錯誤だと思いますけどね。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


  ◇  ◇  ◇


 俳優の清水尋也容疑者が大麻による逮捕された影響はテレビ局にとってどの程度深刻なのだろうか? 関連記事【こちらも読む】ドラマやバラエティー番組の主要キャストが急に不祥事を…対応ルールはあるのでしょうか?…では、著者が疑問に答えている。


編集部おすすめ