【次世代バラエティー女王を探せ!】#3


 いぜん(お笑い芸人)


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 女性お笑い芸人の中で、バラエティー番組出演が増えて、2025年下半期のブレーク候補として期待されているのが、中国出身のピン芸人「いぜん」。


 1998年4月23日生まれ、北京出身。

来日7年目で、芸人歴4年。吉本興業のNSC東京校27期の出身で、同期には青木マッチョ(かけおち)、元CA芸人のCRAZY COCOらがいる。


 現在は東京大学大学院で核融合を研究している高学歴芸人で、公式Xの自己紹介文には「私と一緒に核融合しましょうか(ハート)」という破壊力抜群のフレーズが盛り込まれている。2026年に大学院を卒業後は大手企業に就職が決まっていて、芸人との二刀流で活動する予定。


 フランクな口調で、愛らしいカタコトの日本語による毒舌を吐くが、まじめな人柄が伝わってくるからか、嫌みがなく好感度が高い。


 中国に関する名詞を盛り込みながら「~より~ねぇよ」とツッこむ決めゼリフが彼女の持ち味で、ネット上では「いぜん構文」「いぜんミーム」として、今や「ひろゆき構文」「石丸伸二構文」を上回る旬の構文として人気を集める(代表作としては千鳥と共演した際に発した「中国で大悟に抱かれてぇ女が並んだら万里の長城より長ぇよ」「ノブに抱かれてぇ女はパンダよりも少ねぇよ」)。


 指原莉乃に通じる親しみやすいエキゾチックなルックスも魅力的。トレードマークであるチャイナドレス衣装は、中国出身のアイコンというより、女性っぽさを出して毒舌とのギャップをアピールすることが目的だったようで、お笑い芸人としてのセルフプロデュース戦略もうまい。


 いぜんにいち早く目を付けて見いだしたのは、千鳥の大悟だった。2025年1月の「千鳥かまいたちアワー」に出演して注目されるきっかけになったほか、冠番組「大悟の芸人領収書」(ともに日本テレビ系)にゲスト出演した。


 また、8月27日に放送された「水曜日のダウンタウン」(TBS系)では、日本語がまったくわからない中国人と日本の芸人が漢字で伝言ゲームをするという企画で、中国語の通訳も兼ねたコーナー進行を、いつもとは違う落ち着いた口調で華麗にさばき、MC力も見せた。


 アドベンチャーワールドからパンダがいなくなってさみしい思いをしている人も、同じ年にブレークしつつある中国出身芸人いぜんのポジティブなトークを聞くと、ちょっと元気が出る可能性が上海タワーよりも高ぇよ、といぜん構文してみた。


(高倉文紀/女優・男優評論家)


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